こんにちは。動物大好きな写真家のユリカメラこと、寺島由里佳と申します。今日は、イギリスの有名紙(Daily Mail)で「世界で最も旅をしているネコ」と紹介された「旅にゃんこ」、だいきち&ふくちゃんの写真を題材に、上手なネコの撮り方を紹介したいと思います。分かりやすくするために、今回は2つのポイントにフォーカスして解説しますね。
「光の向き」に注目にゃ
「サイド光」を極めるのにゃ!
写真を撮る上で、まず重要なのは「光」です。
順光、サイド光、半逆光、逆光、トップライトなど、たくさんの種類があります。
それぞれ、どこからの光なのかを簡単に説明すると…
- 【順光】真正面からの光
- 【サイド光】左右横からの光
- 【半逆光・逆光】被写体の斜め後ろ、真後ろからの光
- 【トップライト】被写体の真上からの光
その中でも、簡単に取り入れやすい光の種類は「サイド光」。
太陽光を、被写体(ネコ)の「横から」入れることで、適度な立体感とコントラストがつき、印象的な仕上がりになります。
逆に、太陽光を被写体(ネコ)に「真正面」から当ててしまう順光は、光の強さによりますが、のっぺらとした薄い印象になってしまう。
わかりやすい例えだと「写ルンです」。フラッシュを当ててしまった時に、「何だか立体感がない写真」が現像されてしまったことはないでしょうか。それにとても近い現象になります。
「逆光」を味方にするにゃ!
「影」をうまく活かす方法として、「逆光」を取り入れるとよいでしょう。
夕暮れをバックに撮影すると、「シルエット写真」が完成します。
被写体(ネコ)の顔の輪郭やシッポの表情を影で表現すると、普段とはまた違った写真、ユニークな写真に仕上げることができます。
「日陰」や「曇り空」はフラットで優しい印象になるにゃ!
晴天の中での撮影は、とても心地が良いもの。
しかし、夏などの強い日差しの中での撮影は、被写体(ネコ)に強い影を落としてしまい、コントラストがかなりきつい写真になってしまいます。
そんな時は、被写体(ネコ)を日陰に誘導して、光を「均一」にしてあげると良い解決策になります。
曇り空の天候下で撮影すれば、日陰と同様に均一に光が注ぐので、ネコの表情や、毛並みなどがふんわりとした「優しい写真」に仕上がるでしょう。
室内は「窓際」の明るい場所がおすすめにゃ!
自然光の中よりも、室内での撮影は、やはり暗くなってしまいがち。
そんなときは、窓際などの明るい自然光が差し込む場所に、被写体(ネコ)を誘導しましょう。
さらに、室内の光が、もし暖色系の白熱灯が被写体(ネコ)を照らしていたら、撮影の時は消灯してみましょう。オレンジ色に「被ってしまう」現象を防ぐことができます。
「構図」を意識するんだにゃ
「3分割法」をマスターするにゃ!
写真の基本的な構図には、さまざまな種類があります。
日の丸構図、三分割法、対角線構図、額縁構図など…。まだまだ多くの覚えておきたい構図があります。代表的な構図の特徴を簡単に紹介しましょう。
- 【日の丸構図】フレーム内のど真ん中に被写体と配置
- 【3分割法】縦横それぞれに均等に2つの線をひき、3分割したクロスするポイントに配置
- 【対角線構図】フレーム内に被写体を斜めに配置
- 【額縁構図】文字のごとく額縁のような輪郭を配置
その中でも、特におすすめな構図は、3分割法です。
簡単に取り入れやすく、バランスの取れた写真が撮れるのです。
写真は、「余白の取り入れ方」が写真の良し悪しに関わってくるので、3分割法のバランスの取り方がとても重要です。
バランス感覚を身に付けたい時は、「グリッド線」をカメラ設定してみましょう。スマホでもこの機能がある場合もあるので、調べて設定してください。
「日の丸」構図もいいものだにゃ!
日の丸構図は「初心者が陥りがちな構図」とよく言われがちですが、3分割法をマスターした後は、きっと大丈夫!
「余白の活かし方」が身についた頃に、あえて日の丸構図を取り入れてみると、様々なバランスの写真に仕上がるのではないでしょうか。
余白をたっぷり取り入れた「ポツンと構図」は、どことなくかわいい印象になるのでおすすめです。
「窓枠ごと」フレームに入れみにゃ!
「額縁構図」は、フレーム内に、「さらにもう1つの特徴となるフレーム」を取り入れる構図のことです。
例えば、室内であれば、出窓などの枠ごと被写体(ネコ)と共に撮影してみましょう。いつもと違う写真表現の幅が広がり、魅力の引き出しが増えます。
さらに、普段、可愛くてついつい「寄りがち」な写真ばかりだったのが、フレームごと入れ込むことで、必然的に「引き」の写真になるので、全身を写すこともできるでしょう。
「余計なもの」が写らないようにするにゃ!
室内や外での撮影でも気をつけたいポイント。
それは、夢中になるとうっかりしがちなのが、被写体(ネコ)以外の「背景」にも注目することです。
被写体以外に、「目立っている物」や「目立つ色合い」などないでしょうか。撮影する前に、一度チェックしてみましょう。
気になる物があったら、取り除いたり、被写体(ネコ)で隠したりして、「構図の移動」をしてみてください。
そうした小さなことを気をつけていくことで、クオリティの高い写真に近づいていけるのです。
動物が大好きな写真家がおくる「上手なネコの撮り方」。明日にでも取り入れてみたいポイントはあったでしょうか。
写真は、トライ&エラーを繰り返していくことで、一つ一つステップアップしていくと思います。楽しみながら、試行錯誤していけたらいいですね!
知ってますか?
旅にゃんこ だいきち&ふくちゃん
世界28ヵ国で報道され、動画再生回数500万回を突破
1896年創刊のイギリスでもっとも古いタブロイド紙「Daily Mail(デイリー・メール紙)」で、「世界で最も旅をしているネコ」と紹介された「旅にゃんこ」。
氷点下の北海道・阿寒湖で保護された「だいきち」と、新宿の公園に置き去りにされたダンボールの中から拾われた「ふくちゃん」、そして飼い主の長澤大輔・知美さん夫妻による日本再発見の旅を描いた写真集。
世界28ヵ国で報道され、動画再生回数500万回を突破した、いま話題の2匹が47都道府県をめぐる。
著者について
私たちの旅のスタイルは、風の吹くまま気の向くまま。ネコといっしょで、とにかく自由。天候や気分次第で、人もネコも楽しめそうな場所へ自然に足が向かいます。
そんな旅の「ついで」のカメラワークなので、実をいいますと、写真映えや撮影によい条件など事前に考えずに撮影してきました。ネコにとって気持ちのよい天候だとしても、撮影にとって好条件とは限りません。さらに、日向から日陰に移動していくネコの姿に、カメラの設定が追いつかないこともしばしば。
ですから、旅の最中に「このシーンいいな」と急にひらめくと、なりふりかまわず、うつぶせやあおむけ、さらには、匍匐前進でネコたちにレンズを向けます。匍匐状態でうっかり寝落ちし、目覚めたらネコたちも添い寝していたことがあったり、撮影に夢中になりすぎて海や川に落ち、全身ずぶ濡れになったりしたこともあります(笑) 。
私にとって旅ネコの撮影とは、気ままなひらめきから生まれるアートワークなのかもしれません。
◆長澤大輔(ながさわ・だいすけ)
兵庫県出身。ネコたちも社員として勤務している株式会社A&S代表取締役。
知美夫人とは趣味の登山中に知り合ったことがきっかけで結婚。
「ネコのヒモ」を自称するほど、ネコのヒモを握ってネコたちの旅のおともをすることに生きがいを感じている。
◆長澤知美(ながさわ・ともみ)
鳥取県出身。株式会社A&S取締役。
自然環境関係の仕事で北海道阿寒湖に赴任していたときに、
だいきちと出会う。子供ものころから自然や動物が大好きで、
アウトドア、写真撮影のほか、地球環境をテーマとした作品づくりが趣味。