電話を使った詐欺で代表的な「オレオレ詐欺」の認知件数は、2018年で9145件。被害額は、約189億円にのぼるというから驚きだ。「還付金等詐欺」「架空請求詐欺」「コンビニギフト詐欺」「フィッシング詐欺」「ワンクリック詐欺」など、詐欺に遭わないためのノウハウを専門家が伝授!
手口を知って完全撃退!教えます!電話で詐欺に遭わない法
電話による詐欺事件が後を絶たないが、その手口を知り、対策を施せば、大きな被害は防げるはず。日常的な心構えなど、重要なポイントを解説していこう。
監修者のプロフィール
国崎信江(危機管理アドバイザー)
危機管理教育研究所代表。女性・母親として、生活者の視点で防災・防犯・事故防止対策を提唱。テレビ出演・講演など、精力的な活動を行っている。
(文中の『 』二重カギカッコ内は、危機管理アドバイザー・国崎氏のコメントです)
電話を使った詐欺
今、被害が大きく、最も身近に起こりうるのが、電話を使った詐欺だ。代表的な「オレオレ詐欺」の認知件数は平成30年で9145件。被害額も約189億円にのぼっている。犯人が言葉巧みに直接話しかける手口のため、多くの人がだまされやすい。
オレオレ詐欺
電話で息子や孫をかたり、お金をだまし取る
電話を使った詐欺の代表格。電話(主に固定電話)に出るなり「オレオレ」と息子や孫をかたり、「会社の金が入ったカバンを駅に忘れた」などと話し出す。電話が終わると、今度は駅員を装った詐欺団の一員から電話があるなど、実に巧妙。実際にお金を受け取りに来る者は「受け子」と呼ばれている。『この手の詐欺は、「女性を妊娠させ、お金が必要」といったバリエーションもあり、要注意です』
還付金詐欺
公的機関の職員を名乗り、ATMでの振り込みに誘導
税務署や市役所職員を名乗り、「還付金が受け取れます」と電話をしてきてATMに誘導し、逆に詐欺団の口座にお金を振り込ませる。年金や給付金、マイナンバー制度に便乗した手口もある。「クレジットカードが不正利用された」という電話の後、カード会社の社員を名乗る人物が自宅に訪れ、カードの再発行を理由にカードと暗証番号を持ち帰る手口もある。
金融商品取引名目詐欺
儲け話を持ちかけ、お金を振り込ませる
「A社の未公開株を今なら安く買える。値上がり間違いなし。絶対に儲かる」といったセールスふうの電話があり、「限定○名様」や「今日中」「今すぐ」などといって考えるすきを与えずに、振り込みをさせる。『必ず儲かるという話なんてありません。全部ウソだと思ってください』
お金がらみの電話は要注意
自宅の固定電話にかかってくるお金がらみの話は、詐欺であることが多い。
架空請求詐欺
使ってもいないサービスや商品の料金を請求してくる
「有料サイトの利用料金未納分がある」などの電話があり「未払いの場合は損害賠償請求する」「裁判を起こす」などと、使っていないサービスの料金を支払わせる。「かつて契約した布団の代金」だとか、「老人ホームの権利購入のための名義貸し」といった名目の場合もある(これらは電子メールで届く場合もある)。『最近は、東京五輪に関連した商品の代金や、令和への改元に伴う契約改定の手数料といった、時事ネタに便乗した詐欺もあります』
融資保証金詐欺
「低金利で融資するので保証金を払え」と言ってくる
主に個人事業主をねらうことが多いが、一般人もねらわれる。電話やメールで「低金利で融資します」といい、うっかり融資の申し込みをすると「融資額の○%に当たる△△万円を保証金として先に預からせてくれ」といってくる。
コンビニギフト券詐欺
身に覚えのない料金「ギフト券で払え」と請求
架空請求詐欺の一種で、「有料サイトの未納料金がある」などと電話やメールで脅し、「アマゾンやアップルのギフト券で支払えるから、今すぐコンビニで買ってきて」と促す。そして、購入したギフト券のコード番号を電話で読み上げさせる手口。コード番号さえわかれば、額面金額が詐取できる。
ギフト券はコード番号が大事
そして、購入したギフト券のコード番号を電話で読み上げさせる手口。コード番号さえわかれば、額面金額が詐取できる。
電話を使った詐欺への対策
「知らない電話番号には出ない」が効果的
消費者庁は「固定電話を常時留守番電話にしておき、かけてきた人が知り合いなら電話に出る」という方法を推奨している(詐欺グループは留守電だと、名乗らずに切る)。
『電話に出ても「はい○○です」とは名乗らず、「もしもし、どらち様ですか?」といいましょう。「オレだよ、オレ」といわれたら、息子や孫の名前ではなく、親や夫の名前をいいます。それに乗ってきたら、詐欺確定ですね』
電話の相手が詐欺だと気づいたり、怪しいと思ったりしたら、迷わず電話を切ろう。
『架空請求や金融商品詐欺の電話だったら、「これから出かけるから」といって、すぐに切りましょう。防犯機能のある固定電話を使うのもいいですね』
イラスト/早川修
文/福多利夫(フリーライター)