星座を楽しむなら、うだるような暑さが一段落ついた9月こそうってつけ。星座なんて皆目見当もつかないという人も多いだろうが、ご心配なく。そんなときは、天文系のスマホアプリを活用すれば万事解決。スマホを夜空に向けるだけで星座の名前がわかるアプリを始め、昔懐かしの「星座早見盤」を再現したアプリや、星空の撮影もこなせる夜間撮影カメラアプリなど、星空を見るのがますます楽しくなる逸品アプリを紹介しよう。
暑さがようやく峠を越えた今こそ「星空観察」に最適!
街なかで時折吹く風に心地よさを感じたり、帰り道のすがら日暮れの空を舞う赤トンボを見掛けたりなど、秋の気配は着実に色濃くなっている。
今年が桁外れの酷暑だったとはいえ、やはり夏の終わりが近づいていることに改めて気付されると、なにかと物寂しくなってくるものだ。
しかし、そんな処暑の時期だからこそ、ようやく快適に楽しめるイベントがある。それは夜空の星に思いを馳せる「星空観察」だ。
もちろん、星をできる限り美しく観察したいなら、空気が乾燥して透明度の高い冬がベストなのだが、熱心な天文愛好家ならともかく、ちょっと星に興味がある程度では冬の寒さは骨身にこたえる。
しかし、夏の終わりと秋の始まりがせめぎ合う初秋の時期──つまり9月以降なら比較的軽装のままストレスなく天体観測を楽しむことが可能だ。
夜風が少し肌寒く感じるならウインドブレーカーやカーディガンなど、薄手の上着を羽織れば十分だろう。
美しい星空はただ眺めているだけでも、心洗われていくような開放感を覚えるものだが、星座の名前や由来がわかれば、なお楽しみが増す。
ただし、困ったことに星座の名前や位置というのは一朝一夕に覚えられるものではない。
そんなときに役立つのが、やはり他ならぬスマホアプリだ。
いわゆる「天文」系のアプリは人気ジャンルということもあって、様々な種類が存在しているが、あまりに数が多すぎて優劣が判別しにくいはず。
そこで、今回はビギナーでもわかりやすい秀作アプリを中心にセレクトしてみた。
例えば、スマホを夜空に向けるだけで星座の名前を示してくれるガイドアプリを筆頭に、「星座早見盤」をリアルに再現した天文アプリといった定番系、ちょっと趣向を変えて宇宙ステーションのライブ映像を見られるアプリなども掲載。
もちろん、いずれのアプリも無料でインストールできるので、心ゆくまで星の世界に浸ってほしい。
(1)夜空にスマホを向けるだけで星座の名前が丸わかり!
Star Walk 2 Free
ふと見上げた夜空に星が輝いていると、誰しも名前や由来を知りたくなってくるものだ。
そんなときは、天体観測アプリ「Star Walk 2 Free」を使ってみよう。
本アプリ最大の特長は、なんといっても「AR(拡張現実)」機能により、実際の夜空とスマホの画面を重ね合わせて、天体や星座などの名前を把握できる点。
方角や傾きはGPSや電子コンパスを使って自動調節してくれるので、面倒な調節作業は一切不要だ。
基本的には、夜空にスマホを向けるだけで、画面上に天体や星座の名前を示してくれる。
さらに、画面のドラッグで星空を自由に見渡せるマニュアル操作に対応するほか、指定した場所や日時の星空も表示可能。
時間を早送りして天体の動きを観察できる「タイムマシン」モードも搭載している。
星座のイラストは緻密な3Dグラフィックで表現されており、実際の星空と重ねると迫力満点。
また、アプリの起動中には幻想的なBGMが常に流れるなど心憎い演出も満載で、天体観測気分をいっそう高めてくれる。
操作方法もいたって簡単。
実際の星空に星の名前を表示させたいときは知りたいときは、まずアプリを起動してメイン画面左上のコンパスをタップし、自動方位モードをオンにしよう。
次に、メイン画面左上のカメラアイコンをタップする。
これでARモードが起動して、実際の夜空とアプリの画面を重ね合わせて表示してくれる。
あとは夜空にスマホを向ければ、画面上に星座や星の名前を表示してくれる。
詳細を知りたいときは、まず天体の名前の部分をタップしよう。
次に、画面下部にも名前が表示されたら、続けてこちらをタップする。
これで詳細画面が開いて、天体に関する情報を参照することが可能だ。
(2)子供の頃に慣れ親しんだ「星座早見盤」をリアルに再現!
星座早見
童心に戻って星を楽しみたいなら、この「星座早見」がぴったり。
アプリの画面を見れば一目瞭然だが、おなじみの「星座早見盤」を忠実に再現した天文アプリで、操作方法も本物と寸分たがわぬという凝りようだ。
使い方を覚えている人も多いと思うが、念のため、操作方法を説明しておく。
まず、星空を見たい日時が決まったら、回転盤を回して、内側の日付と外側の時刻を合わせて日時をセットすればOK。
これで開口部に指定した日時の星空が再現されるという仕組みだ。
もちろん、そのまま回転盤を回して時刻を進めていけば、星の動きもシミュレーションできる。
アプリ上の星座早見盤は、ピンチイン・ピンチアウトで拡大縮小、ドラッグで回転盤の移動や回転を行える。
基本的には、これだけ覚えておけば問題なく操作できると思うが、もっと具体的な操作方法を知りたいという人のために、これから順を追って星座早見盤の使い方を説明していこう。
アプリを起動したら、まずピンチアウトで星座早見盤を拡大。
次に、星座を見たい日時を設定する。
回転盤をドラッグで回して、外側の日付と内側の時刻で希望の日時をセットしよう。下の画面では、日付を「9月1日」、時刻を「午後10時」に設定。
日時の設定が終わったら、画面をダブルタップ。
これで星座が表示された開口部を自動的にフォーカスしてくれる。
もちろん、開口部はピンチイン・ピンチアウトで拡大縮小表示が可能だ。
(3)「国際宇宙ステーション(ISS)」からの必見ライブ映像をお届け!
ISS HD Live
夜空を見上げて見えるのは、なにも星だけではない。
実は、地球の軌道上には4000機を優に超える「人工衛星」も飛び交っている。
比較的低い軌道上を飛んでいる人工衛星なら、気象条件などが良ければ肉眼でも十分観察可能。
一見すると流れ星のように思えるかもしれないが、その実、それが人類が叡智を結集して作り上げたハイテクの塊と気付かされると、宇宙へのロマンをいっそう掻き立てられるはず。
そんな人工衛星のなかでも、最もメジャーな存在といえば地上から400キロ上空に建設された有人実験施設「国際宇宙ステーション(ISS)」だろう。
全長73メートル、最大乗員数6人、総重量およそ420トンを誇る大規模なステーションで、施設内部ではアメリカや日本、ロシアなどの国々が協力し、地球や宇宙の観測、研究や実験などに日夜取り組んでいる。
私たちのはるか頭上で近未来SFさながらのミッションがすでに実現しているかと思うと、なんともワクワクしてくるが、そんな国際宇宙ステーションの存在をもっと身近に感じさせてくれるアプリが、こちらの「ISS HD Live」だ。
ステーションから撮影された地球のライブ映像や、乗員の中継なども鑑賞可能。さらに、宇宙遊泳や施設内部の録画映像も見ることができる。
また、ステーションの位置をリアルタイムで地図上で確認できるほか、ユーザーのいる場所から肉眼でISSを見られる日時も把握可能。
さらに、ストリートビュー形式の360度写真で施設内を拝める「ISSツアー」も備えるなど、本アプリ1本で国際宇宙ステーションの魅力をとことん満喫できる。
使い方もとっても簡単。
メイン画面上部ではステーションの現在位置地と軌道、下部ではライブ映像をそれぞれチェックすることが可能だ。
NASAの公式チャンネルや宇宙遊泳の録画映像など、その他のコンテンツはサイドメニューからアクセスできる。
肉眼でISSを鑑賞したい場合は、サイドメニューの「宇宙ステーション検出器」をタップ。
ステーションの把握できる可能性があるスケジュールを最大20日間までチェック可能だ。
(4)子供の心を無限の星空へと優しくいざなう天文学習アプリ
Star Walk 2 – 子供のための天文学のゲーム
・Android版はこちら
旺盛な好奇心を持つ子供たちに、都会ではお目にかかれないような美しい星空を見せれば、たちまち無限に広がる宇宙の虜になってしまうことは想像に難くない。
しかし、正しい天文知識を子供向けにわかりやすく教えてあげるのは、非常に難しいものだ。
そんなときに役立つのが、子供向けの天文学習アプリ「Star Walk 2 – 子供のための天文学のゲーム」。
太陽系の惑星はもちろん、星座や恒星、さらには宇宙ステーションまで、子供が特に興味を持ちそうな天文学の知識について、親しみやすいアニメ映像とともに音声でわかりやすく解説してくれる。
もちろん、子供向けといっても大人でも参考になる情報ばかりなので、天文学に再チャレンジしたいという人にも文句なくオススメだ。
天文学のレクチャーはゲーム仕立てで進行する。
アプリを起動したら、まずナビゲーター役の「牛」をタップしよう。
続いて、指定された天体を星空から見つけよう。
天体を発見したらタップして、画面右下のブックアイコンを実行する。
画面下にある4つのアイコンを左から順番にタップ。
これで天体に関する解説を音声やアニメーションで再生してくれる。
指定された天体に関する説明をすべて聞くと、次の天体のロックが解除される。
あとは同様の手順で、すべての天体のロックを解除していこう。
なお、星座のロックを解除すると、メイン画面の「天文台」から星座観察も利用できるようになる。
星座観察中に画面左下のコンパスをタップすると、方位の自動コントロールが有効になり、実際の星空と見比べながら星座を観察することも可能だ。
(5)壮大な「テラフォーミング」ゲームで宇宙気分にどっぷり浸ろう!
TerraGenesis
星空を見ていると否が応でも宇宙へのロマンを刺激させられるものだ。
そんな思いの丈はSF映画やコミックなどにぶつけてみるのもいいが、ちょっと趣向を変えて宇宙を舞台にしたスマホゲームにトライしてみるというのはどうだろうか。
そこでオススメしたいのが、「惑星開拓」を舞台にした近未来シミュレーション「TerraGenesis」だ。
プレイヤーは開拓者のリーダーとして、惑星や衛星をテラフォーミング(人類が生存可能な環境へと作り変える)していくことになる。
ゲームの基本的な流れは、まず資源を採掘することで資金を稼ぎつつ、惑星の気圧や酸素濃度、海、生物量などの環境をテラフォーミングし、開拓先の惑星環境を地球へと近づけていくというもの。
その他にも、近未来風テイストの仕掛けが満載で、例えば、遺伝子を操作して新生物を創造し、地球とは異なるオリジナルの生態系を作り上げることも可能だ。
開拓先として利用できる星は、火星や金星、木星などの惑星のほか、月や土星の衛星など、極めて多岐に及ぶ。
無料プレイでは「火星」のみ選択可能だが、実績をアンロックしたり、課金をすることで他の星も利用できる。
数世紀を費やして不毛の惑星をテラフォーミングし、ゆくゆくは地球から独立を果たすという、壮大なSFストーリー。開拓が進むにつれて緑や海に覆われていくさまをリアルで再現した美しい3Dグラフィックなど、星空にロマンを感じられる心を持つ人ならハマることうけあいだ。
シミュレーションはいまいち苦手という人もいるかもしれないが、その点も心配御無用。
ビギナー向けにチュートリアルもしっかり用意しているので、誰でも簡単にゲームの進行をマスターすることが可能だ。
まとめ
山や海など、空気の澄んだ場所では、まさに「星の天蓋」ともいうべき絢爛豪華な大パノラマを目にすることができる。
誰しも、あまりの美しさに息を呑んでしまうものだが、残念ながら多くの人はそこ止まりではある。
もし、星座の名前がわかったら、家族や仲間に教えてあげることもできるし、なにより宇宙への思い入れもなお強くなっていくはずだ。
ぜひとも今回取り上げたアプリを活用して、星々の知識はもちろん、宇宙への憧憬をいっそう深めていってほしい。
◆篠原義夫(フリーライター)
パソコン雑誌や家電情報誌の編集スタッフを経て、フリーライターとして独立。専門分野はパソコンやスマホ、タブレットなどのデジタル家電が中心で、初心者にも分かりやすい記事をモットーに執筆活動を展開中。