プラズマテレビの生産が終了して、家庭用テレビの表示デバイスは、液晶パネルと相場が決まっていた。その後、大型の有機ELパネル(主に55V/65V型)の量産化が進んで画質のよさが高い評価を受けている。専門家によると、パネルの耐久性に関しては液晶も有機ELも同程度。テレビについての知識を深めよう。
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液晶と有機EL、耐久性ではどちらが上?
読者から質問
4Kテレビについて。パネルには有機ELと液晶の2種類があり、画質については前者が有利とのことですが、耐久性についてはどちらが上ですか? (M.Sさん 茨城県 76歳)
専門家の回答
編集部:
この質問は、テレビに詳しいAV評論家の藤原陽祐さんにお願いしましょう。
専門家の回答:
「プラズマテレビの生産が終了して以来、家庭用テレビの表示デバイスといえば、液晶パネルと相場が決まっていたわけですが、ここ数年、大型の有機ELパネル(主に55V/65V型)の量産化が進み、その画質のよさが高い評価を受けています。
表示する画像をバックライトで映し出す液晶に対して、有機ELは自ら光を発する自発光パネル。このため、視野角の制約がなく、動きボケもほとんど気になりません。
さらに、映像表現の基礎となる黒の描写力は圧倒的で、コントラスト比は無限大(100万対1以上)。ちなみに液晶のコントラスト比は5000対1前後です。
さて、ご質問の耐久性についてですが、液晶パネル自体の寿命は非常に長く、一般家庭の使用環境であれば5万時間以上、問題なく使用可能といわれています。
バックライトが蛍光管の時代は、1万5000時間から3万時間程度で、輝度が50%下がる半減期を迎えていましたが、現在主流のLEDバックライトでは、その寿命が約5万~6万時間程度まで延びています。
常時、明るさ最大、高温・多湿の環境で使用すると、トラブルが生じやすくなりますが、家庭用テレビのパネルとして、液晶は5万時間を超える耐久性能を備えているといっていいでしょう」
編集部:
なるほど。液晶テレビは1日10時間見たとしても5000日、つまり13年以上使えるということですね。有機ELテレビはどうでしょうか?
専門家の回答:
「対する有機ELですが、蛍光体を光らせて画像を表示する自発光パネルのため、静止画像を長時間表示し続けると、その画像が残ってしまう、いわゆる”焼き付き”が心配になります。
原理的に焼き付きが生じない液晶に比べると、大きなハンデとなるわけですが、最近の製品では、この問題についてはほぼ解消済みとなっています。
パネルの寿命ですが、現在、各メーカーが採用している最新の有機ELパネル(LGディスプレイ製)の場合、半減期は液晶と同じく5万時間以上となっています。
つまり、液晶にしても有機ELにしても、家庭用テレビの表示パネルとして、十分な耐久性を備えていることになります。ただこれはメーカーの保証時間ということではなく、あくまでもパネルとしての寿命の話です。
家庭用テレビの買い替えサイクルは、だいたい10~12年という調査データ(あるテレビメーカー調べ)がありますが、これも、テレビが使えなくなるからではなく、『もっと大きな画面が欲しい』『4K放送が見たい』など、新しい価値を求めて買い替えされるケースが多いようです」
編集部:
なんと、パネルの耐久性に関しては、液晶も有機ELも同程度なんですね。了解しました!