パソコンは壊れても買い換えが利くが、写真や書類などの保存データはそういうわけにはいかない。運良く復元できればいいが、無理だった場合はデータは永遠に失われてしまう。そんな憂き目に遭わないために、普段から定期的にバックアップしておくのが最善だ。今回紹介するバックアップアプリを使えば手間は最小限で済む。もちろん、2020年1月14日にサポートが終了するWindows7から10へのアップグレードに際しての、データバックアップにもうってつけだ。
大切なデータを守る「バックアップ」
思い出の写真や重要な書類など、大切なデータを失わないためには常日頃からのバックアップが欠かせない。もちろん、そんなことは誰しも重々承知しているだろうが、つい面倒に感じて後回しにしてしまいがちだ。
しかし、そんな心の間隙を突いて、予期せぬトラブルは起こるもの。パソコンが壊れたり、OSが起動しなくなったりしたときなど、深刻なPCトラブルに見舞われて初めて、バックアップの大切さを痛感することになるが、後悔先に立たず。いくら悔やんだところで、失われたデータが戻ってくることはない。
あるいは一縷の望みをかけて、データ復旧サービスに依頼する手もあるが、料金はケースバイケースではあるものの、決して安くはないし、確実にデータが復元できる保証もない。
もっとも、こうして、いくらバックアップの重要性を説いたところで、よほど差し迫った事情でもない限り、おそらく他人事の感は消えないことと思う。確かに通常、バックアップ作業は相当手間がかかるし、ビギナーには難しくもある。面倒で先送りにしたくなるのは、よく理解できる。
煩わしい「バックアップ」作業は専用アプリに任せてしまおう!
しかし、あるさえ方法さえ使えば、やっかい極まりないバックアップ作業がいとも簡単にできてしまう。その方法とはズバリ「バックアップ専用アプリ」の活用だ。
ウィンドウズ標準のバックアップ機能や、手作業のバックアップは筆者ですら御免こうむりたいほど面倒だが、対して、バックアップアプリは「専用アプリ」だけあってわずかな操作で目的のデータを簡単にバックアップできる。
ただし、バックアップアプリならどんなものでも構わないかというと、決してそういうわけではない。多機能でも操作が難しいものもあるし、かといって、シンプルで操作が簡単でも機能面が貧弱ではとても使い物にならない。
そこで、オススメしたいのが、数あるバックアップ専用アプリの中でも特に定評の高い「FBackup」だ。海外アプリだがインターフェイスの大半は日本語化されているので、基本的な使い方さえマスターすればビギナーでも迷わず利用できる。
おすすめは高機能バックアップアプリ「FBackup」
「FBackup」の主な特徴
・ウィザード機能を搭載し、簡単にバックアップを作成できる
・いったんバックアップ設定さえ作れば、次回以降の作業はワンクリックで済む
・任意のスケジュールで自動バックアップが可能
・クラウドストレージへのバックアップにも対応
・個人用、商用ともに無料
・アプリやゲームのデータもバックアップできる(要プラグイン)
・Windows7のバックアップ機能では扱えないデータもバックアップできる
「FBackup」の特徴を上記にピックアップしてみたが、これらはあくまで主要なものに過ぎない。これほど多機能ながら「無料」で使えるのが大きな魅力だ。
次節以降ではインストール方法や基本的な使い方を詳しく解説していくので、ぜひとも気軽に試してほしい。
「FBackup」のインストール方法
インストール手順(1)
「FBackup」は公式サイトで入手できる。下記のURLにアクセスし、「DOWNLOAD FBACKUP (FREE)」をクリックしよう。
FBackup公式サイト
URL:https://www.fbackup.com/
インストール手順(2)
別ページに移動したら、同じく「DOWNLOAD FBACKUP (FREE)」をクリック。別ページに遷移後、自動的にセットアップファイルのダウンロードが開始する。
インストール手順(3)
ダウンロードが完了したら保存先フォルダーに移動し、「fbsetup-full.exe」を実行する。
インストール手順(4)
インストール画面の使用許諾契約を確認したうえ、セットアップ画面の「今すぐインストール」をクリックする。別のフォルダーにインストールする場合は、「変更」ボタンから設定しよう。
インストール手順(5)
セットアップが完了したら「起動」をクリック。これで「FBackup」が起動する。
セットアップは以上で完了だ。
次節では、実際に「FBackup」を使ってバックアップを実行する方法を解説する。
「FBackup」アプリを使ったバックアップの仕方
「FBackup」ではバックアップ先として、外付けHDDなどの外部ストレージのほか、USBメモリーやDVD、ブルーレイディスクなどのリムーバーメディア、ネットワークドライブ、クラウドストレージを選択可能。どれを選んでも構わないが、ビギナーの場合は安価で入手しやすい「USBメモリー」を選ぶのがもっとも無難だろう。
バックアップできるデータは、任意のフォルダーやファイルのほか、「マイドキュメント」や「マイピクチャ」「マイミュージック」などの個人ファイルなど、基本的にはあらゆるデータに対応している。さらに、「Chrome」や「Edge」「Internet Explorer」「Outlook」など、アプリのデータをバックアップすることも可能だ。
しかも、利用できるアプリは「プラグイン」を追加することで増やすことも可能。例えば、アドビシステムズのフォトレタッチアプリ「Photoshop CS」や、マイクロソフトのメールアプリ「Windows Live Mail」といった実用アプリから、「Age of Empires 3」や「Call of Duty」といった有名ゲームまで、なんと120種類以上もプラグインを用意している。
アプリのデータをバックアップするのはパソコン上級者でも骨が折れるものだが、そんな面倒な作業もサポートしてくれているのは実にありがたい限りだ。
パソコンの保存ファイルを「USBメモリー」にバックアップする
まずは基本中の基本、パソコンの保存データをバックアップしよう。
先述したように、バックアップ先には「外付けHDD」や「CD/DVD/ブルーレイ」など、多彩なメディアを選べるが、今回は価格もお手頃でビギナーでも扱いやすい「USBメモリー」を利用する。
容量はバックアップデータのサイズと予算次第ではあるものの、可能なら余裕をもって128Gバイト以上は確保したいところだ。
バックアップ手順(1)
USBメモリーを用意したらパソコンに接続したのち、スタートメニューから「FBackup」を起動。ウィザード画面が表示されたら、メニューの「バックアップ」をクリックする。
バックアップ手順(2)
次に「作成」をクリック。
バックアップ手順(3)
この画面では、バックアップ先となるストレージやメディアなどを選択する。
今回はUSBメモリーを利用するため、サイドメニューから「リムーバブル」を選び、続いて左ペインでUSBメモリーのドライブ番号を選択する。
次に、バックアップしたデータを保存するフォルダーを「参照」から指定する。後ほど整理しやすいように専用フォルダーを作るほうが無難ではあるが、USBメモリーのルートフォルダ(ドライブ直下)を指定しても構わない。
すべての設定が完了したら、画面右下の「次へ」をクリック。
バックアップ手順(4)
この画面では、バックアップ元のデータを選択する。
初期状態の画面のままだとデータの選択が若干しにくいので、まず画面左上の「Change source selection style」をクリックして表示スタイルを変更しよう。
表示スタイルを変更したら、画面左下の「フォルダ追加」と「ファイル追加」からバックアップするデータを選択。データの選択が完了すると、画面上に追加したデータがリストで表示される。バックアップ元は複数選択もできるので、必要なデータを適宜追加していこう。
バックアップ元の選択が完了したら、画面右下の「次へ」をクリック。
バックアップ手順(5)
この画面では、バックアップするファイルの種類をフィルタリングできる。
例えば、バックアップするデータをPNGやJPEG形式の画像ファイルだけに絞り込んだり、逆にそれらのファイル形式を除外したりすることも可能だ。
今回は、特に指定する内容はないので、そのままの状態で画面右下の「次へ」をクリック。
バックアップ手順(6)
この画面では、作成するバックアップデータの種類を選択する。
「フル」は、バックアップデータをZIPファイルにひとまとめにして圧縮可能。一方、「ミラー」は非圧縮のまま、オリジナルの状態でデータを保存してくれる。
基本的には、どちらを選んでも構わないが、ビギナーの場合はなにかと扱いやすい「ミラー」を選んだほうがいいだろう。なお、バックアップデータはパスワードで保護することも可能だ。
今回は「ミラーを作成」「いいえ、保護しません(パスワードなし)」をそれぞれ選んで、パスワードなしの非圧縮データでバックアップを作成する。
設定が済んだら、画面右下の「次へ」をクリックして次に進む。
バックアップ手順(7)
この画面では、自動バックアップのスケジュールを作成できる。
今回は手動でバックアップを行うため、そのままの状態で画面右下の「次へ」をクリック。
バックアップ手順(8)
この画面では、バックアップデータの名前とアイコンを設定できる。
変更しないままでも構わないが、あとで混乱しないように、わかりやすい名称をつけておくことをおすすめする。
アイコンの変更は「アイコン変更」から指定可能。こちらも後々見分けやすいように、データ内容を端的に示すアイコンを指定しておくと便利だ。
「詳細」も入力不要だが、注意したい点などあればメモしておくといいだろう。
設定が完了したら、画面右下の「保存」→「保存して実行」をクリック。これでバックアップ処理が直ちに開始する。
メイン画面のバックアップ項目下部に「成功~」と表示されれば、バックアップは完了だ。
なお、バックアップ設定をいったん作成しておけば、バックアップ項目右部の「バックアップ」から直ちにバックアップを開始できる。
しかも、ファイルの追加や削除、更新など、バックアップ元に変更があった場合などもすべてバックアップ先に反映してくれるので、いつでも最新バージョンのバックアップデータを作成可能だ。
なお、2回目以降のバックアップでは、初回のように全データをバックアップするのではなく、バックアップ先とバックアップ元を比較して差分ファイルだけを保存&削除するように処理が行われるため、よりスピーディーにバックアップ処理を完了できる。
「FBackup」でデータを復元(リストア)する方法
もし不運にもパソコンやストレージが壊れてしまったり、誤ってデータを削除してしまったりなど、保存データが失われるような事態に直面したとしても慌てる必要はない。
そんなときは落ち着いて「FBackup」で作成しておいたバックアップデータを使って、データを復元(リストア)してみよう。
まずは事前準備として、USBメモリーや外付けHDD、光学メディアなど、バックアップデータを保存したメディアをパソコンに接続する。
もし、パソコンが壊れるなどして使用できない場合は、別のパソコンに「FBackup」をインストールした上で、バックアップデータを保存したメディアを接続すればいい。
「FBackup」の復元機能を利用する
復元手順(1)
まずメイン画面のツールバーから「開く」をクリック。
復元手順(2)
パソコンに接続したメディアからバックアップデータの保存フォルダーを開いて、バックアップ設定ファイル(拡張子FLC)を選択。続いて、ダイアログ右下の「開く」をクリックする。
復元手順(3)
メイン画面にバックアップ項目が追加されたら、「復元」をクリックして実行する。
復元手順(4)
メイン画面で「復元」を実行すると、まず「復元ウィザード」画面が表示される。ここでは、データの復元先や復元方法を設定可能だ。
復元先には「元の場所」を指定しても構わないが、パソコンを買い換えるなど、システム環境が変わると、思わぬ場所にデータが復元される可能性もある。
そうしたリスクを回避するためにも、復元先は「別の場所を選択する」を選択し、復元先フォルダーには「デスクトップ」や「マイドキュメント」など、わかりやすい場所を指定したほうがいいだろう。
また、特段の事情がない限り、復元方法は「全ファイル最新バーションを復元」のままでOKだ。
設定が完了したら、画面右下の「終了」をクリック。これで復元処理が直ちに開始する。復元が終わったら、念のため復元先フォルダーを開いてデータに問題がないかどうか確認しておこう。
まとめ
ストレージの寿命や破損を始め、OSアップグレードの予期せぬ失敗、さらには、単純なケアレスミスなど、パソコンデータは常に消失のリスクにさらされている。しかし、重要なデータだけでも定期的にバックアップしておけば、最悪の事態だけはどうにか回避できる。今回紹介した「FBackup」を活用して、ぜひともバックアップ習慣を身につけてほしい。
◆篠原義夫(フリーライター)
パソコン雑誌や家電情報誌の編集スタッフを経て、フリーライターとして独立。専門分野はパソコンやスマホ、タブレットなどのデジタル家電を主軸とし、初心者にも分かりやすい記事をモットーに執筆活動を展開中。