ティアック「AX-505」は、低域の駆動力の高さは評判どおりで、30センチのウーハーを軽々と鳴らすパワーがある。特に、音の立ち上がりのスピードが速く、切れ味のいい再生音になっている。これまでは比較的高価な製品で採用されていただけに、手の届く価格で登場したことで注目している人も多いはず。
「今どきオーディオ」徹底辛口テストティアックAX-505
実売価格例:15万9840円
プロフィール
高性能なアンプモジュールの「Hypex Ncore」を専用チューニングで搭載。幅290ミリのコンパクトサイズながら、130ワット(4Ω)×2の実用最大出力を実現した。CCLC方式のヘッドホンアンプを備えるほか、バランス入力も1系統備えている。
多彩な機器との接続に対応
音質低域の駆動力は期待どおり。中高域もパワフル
音質のよさ、低域の駆動力の高さで評判の「Hypex Ncore(ハイペックス エヌコア)」をパワーアンプモジュールに採用したことが大きな特徴だ。これまでは比較的高価な製品で採用されていただけに、手の届く価格で登場したことで注目している人も多いはず。もちろん、Hypex Ncoreの実力を引き出すため、電源部や回路設計にもこだわるなど、入念に作り込まれている。
低域の駆動力の高さは評判どおりで、30センチのウーハーを軽々と鳴らすパワーがある。特に、音の立ち上がりのスピードが速く、切れ味のいい再生音になっている。中高域も実にパワフルで、鮮明かつ生き生きと音楽を再現。ボーカルは、はつらつとした印象で、発声もよく感じられ、聴いていて気持ちがいい。
空間再現でも、広いホールの響きを豊かに描き、奥行きのあるステージになる。個々の楽器の定位も良好で、オーケストラの演奏では楽器の位置が見えるようだ。ただ、解像感が高いことで、やや細身のすっきりとした音に感じるため、音色の豊潤さを求めると、少々物足りない面もある。ここは好みの分かれるところ。
ヘッドホン出力の音も、S/Nのよさと情報量の豊かさに優れている。ボーカルの再現もクリアだ。ゲイン切り替えなどの機能がないのは少し惜しいが、駆動力の高さは十分だ。
操作性メーターの視認性やボリュームの動きが良好
入力セレクターは、選択した入力のインジケーターが点灯し、使いやすい。丸形のパワーメーターは、やや小ぶりながら視認性は高く、温かみのある照明で雰囲気もなかなかいい。ボリュームは、しっとりとした動きで感触もよく、使用感は良好。
また、付属のリモコンで入力切り替えや音量調整ができ、離れた場所でも手軽に使うことができる。メーターの点灯のオン/オフなども可能だ。
一方、フォノ入力を持たないなど、機能としてはシンプルなのが残念だ。
採点表
高級機と同等のパーツを採用し、切れ味のいい再生
音質(スピーカー) | ★★★★★ |
---|---|
音質(ヘッドホン) | ★★★★ |
操作性 | ★★★★ |
機能性 | ★★★ |
コメント
価格的にはフォノ入力も欲しい気がするが、潔く音質重視の作りとした結果だろう。ミドルクラスの中では傑出した実力を持つ。
※執筆時が2019年9月のため、製品の「実売価格例」は、消費税8%込みの額を表記しています。ご了承ください。
解説/鳥居一豊(AVライター)