スーパー甘酒「甘豆乳こうじ」はアミノ酸たっぷり。肌の修復力が高まり、色素沈着などの跡も残りにくいように感じています。また、パサつきがちだった髪の毛がしっとり潤いました。更年期症状やPMS(月経前症候群)、骨粗鬆症、薄毛などに悩む方にもお勧めです。【解説・レシピ】中川奈央(chez nouille主宰・発酵料理研究家)
解説者のプロフィール
中川奈央(なかがわ・なお)
chez nouille(シェ ヌイユ)主宰・発酵料理研究家。幼少時から多くのアレルギー病を抱えていたことから、マクロビオティックによる食事療法、アーユルヴェーダ(インド伝統医学)を学び、実践。消化吸収力、特に腸内環境の改善がアレルギー体質改善に有効と考え、日本古来の発酵食品の研究に取り組む。日本人の体に適した発酵食とアーユルヴェーダの消化への考え方を融合した食材アレンジ「醸セヤ美人」を提唱。ナチュラルフード専門店「chez nouille」では、卵・乳製品・白砂糖不使用のスイーツや発酵を取り入れたデリ、こだわりの調味料等を販売し、発酵料理教室も開催している。
http://www.cheznouille.com/
こうじ甘酒を軽く凌駕するスーパー甘酒
米こうじとおかゆで作るこうじ甘酒は、その栄養価の高さから「飲む点滴」「飲む美容液」などと呼ばれ、昨今非常に人気です。
そうした普通のこうじ甘酒を軽く凌駕する健康美容効果を持つ「スーパー甘酒」、それが豆乳と米こうじで作る「甘豆乳こうじ」です。
でんぷん(糖質)主体のおかゆの代わりに、たんぱく質やビタミン、イソフラボンなどの栄養素が豊富な豆乳を、米こうじで発酵させることで、豆乳の栄養素が体に吸収されやすくなり、新たな栄養素も作り出されます。
豆乳の栄養を1、こうじ甘酒の栄養を1としたとき、豆乳とこうじ甘酒を混ぜてすぐ飲んだ場合の栄養は2ですが、甘豆乳こうじでは3にも4にもなるのです。
下の表をご覧ください。私に甘豆乳こうじを教えてくれた種麹屋さんが、甘豆乳こうじ、豆乳、こうじ甘酒の、それぞれに含まれるアミノ酸の数値を分析したものです。
■含有アミノ酸の比較
甘豆乳 こうじ |
こうじ 甘酒 |
豆乳 | |
---|---|---|---|
アスパラギン酸 | 140 | 60 | 10未満 |
スレオニン | 180 | 100 | – |
セリン | 100 | 50 | – |
グルタミン酸 | 220 | 80 | 10 |
グリシン | 50 | 30 | – |
アラニン | 110 | 60 | – |
シスチン | – | – | – |
バリン | 100 | 60 | – |
メチオニン | 30 | 20 | – |
イソロイシン | 80 | 40 | – |
ロイシン | 160 | 80 | – |
チロシン | 90 | 60 | – |
フェニルアラニン | 110 | 40 | 10未満 |
GABA | 30 | 20 | 10未満 |
ヒスチジン | 40 | 20 | 10未満 |
リジン | 230 | 110 | – |
アルギニン | 130 | 40 | 10 |
合計 | 1800 | 870 |
アミノ酸は、たんぱく質を構成する最小単位です。肉などのたんぱく質は数十~数万個のアミノ酸が連なってできていて、胃や十二指腸でペプチド(数個~数千個のアミノ酸が連なった物質)に分解されます。
ペプチドが、さらに小腸で消化酵素を介してアミノ酸にまで分解されて初めて、体が栄養として吸収し、筋肉や骨、血液、ホルモン、酵素を作る材料として活用できるようになります。
体は「食べたものでできている」と言われますが、正確に言うなら、体は「吸収できたものでできている」のです。
高齢の方は、食欲が落ちてくるだけでなく、消化吸収力も低下してきます。そのため、自分ではしっかり食べているつもりでも低栄養となり、サルコペニア(筋肉衰弱)やフレイル(虚弱)を起こしやすいのです。
甘豆乳こうじなら、口にする段階で、こうじ菌が豆乳のたんぱく質をアミノ酸に分解してくれているため、素早く無駄なくアミノ酸を吸収することができます。
アミノ酸の働きは、免疫力アップ、筋力アップ、疲労回復、睡眠、腸や肝機能、肌への影響など、多岐にわたります。
最近では、必須アミノ酸の一種であるフェニルアラニンが、気分の落ち込みや記憶力に関係することが明らかになっています。
ストレスを和らげて脳の興奮を鎮める効果があるとされるGABAがこうじ甘酒の1.5倍というのも、忙しい現代人にはうれしいところですね。
発酵の力で腸を丈夫にして消化吸収力を高める
私は2~3歳から、ぜんそく、アトピー、花粉症と、まるでアレルギーのデパートのような状態でした。高校生の頃は体質改善のために入院し、母がよいと聞いてきた健康法もいろいろ試してきました。
20代ではエステティシャンとして働いていましたが、自分の体質に合うものを追い求めるうちに、外側を磨くよりも、内側を整えることがなにより大切だと気づきました。
マクロビオティックやアーユルヴェーダを学んで実践し、なにを食べるか、どのように消化吸収するかを考える中で、腸内環境を整える発酵食品に注目したのです。
奥深い発酵食品の世界に魅せられ、積極的にとるようになって、花粉症やぜんそくを克服することができました。
さまざまなアレルギーを克服してきた私ですが、アトピーだけはまだ少し残っています。今、脱ステロイド中なのですが、やはりかゆみがひどいときには、我慢できずにかいてしまい、皮膚をかき壊すことがあります。
けれども、アミノ酸たっぷりの甘豆乳こうじのおかげか、肌の修復力が高まっているようで、傷の回復が早く、色素沈着などの跡も残りにくいように感じています。
また、パサつきがちだった髪の毛がしっとり潤い、まとまりやすくなりました。
豆乳に含まれる大豆イソフラボンによる、マイルドな女性ホルモン様作用も期待できますから、更年期症状やPMS(月経前症候群)、骨粗鬆症(骨がもろくなる病気)、薄毛などに悩む方にもお勧めです。
甘豆乳こうじはコクのある甘味とうま味があり、単体での豆乳やこうじ甘酒の味が苦手でも、甘豆乳こうじなら食べられるという人も多いです。
そのまま飲んでもいいですし、料理やスイーツの甘味づけやコク足しにも利用できます。酢、油と混ぜてドレッシングにするのもおいしいので、ぜひお試しください(下記レシピ参照)。
深いコクと甘味が絶品!「甘豆乳こうじ」の作り方
◆料理・スタイリング/古澤靖子
【材料】
・無調整豆乳…1L
・米こうじ…2合(360ml)(生こうじ、乾燥こうじのどちらでもよい)
※乾燥こうじのほうが少し甘く仕上がる。もっと甘いのが 好みの人は、豆乳を1~2割減らして作ってもよい。
【炊飯器・ヨーグルトメーカーでの作り方】
❶容器に豆乳と米こうじを入れ、よくかき混ぜる。
※米こうじが固まっている場合は、手でほぐしてから加える。
[炊飯器]
❷ぬれ布巾をかぶせ、ふたを閉めきらずに、約10時間保温(低温)する。
※保温時間は8時間~15時間の間であればよい。
※保温の途中でときどき全体をかき混ぜるとよい。
[ヨーグルトメーカー]
❷55℃に設定し、約10時間保温する。
※保温時間は8時間~15時間の間であればよい。
※保温の途中でときどき全体をかき混ぜるとよい。
【完成】
米こうじが軟らかくなり甘味が出て、豆乳がトロリとなったら完成!冷蔵庫で1~2週間、冷凍庫で3ヵ月保存できる。徐々に発酵が進み、酸味や発泡感、アルコール臭が出てくるので、気になる人は冷凍保存がお勧め。
発酵効果は若干落ちますが…
混ぜるだけの超簡単レシピも!
【材料】
・無調整豆乳…1L
・市販のこうじ甘酒…300ml
【作り方】
豆乳とこうじ甘酒を合わせて混ぜ、冷蔵庫で1日置く。
深いコクと甘味が絶品!「甘豆乳こうじ」の飲み方・食べ方
■ストレートで飲む
シンプルにそのまま飲む。
■ヨーグルトに加える
プレーンヨーグルトと甘豆乳こうじを1:1で混ぜる。
■スムージーに
季節の果物と合わせてミキサーにかける。
※写真はバナナ1本と甘豆乳こうじ100mlで作成。ブルーベリー、イチジク、マンゴー、カキなどと相性抜群!
■お酢を加えてさっぱりと
小さじ1程度の黒酢やレモン汁を加えると、とろみが増して飲むヨーグルト風ドリンクに。
■イモぜんざい風
蒸したカボチャやサツマイモにかけると、ヘルシーなスイーツに。
深いコクと甘味が絶品!「甘豆乳こうじ」アレンジレシピ
甘豆乳こうじのマヨネーズソース風
【材料】
甘豆乳こうじ…大さじ3
油…大さじ2
酢…大さじ1
白みそ…大さじ1
塩…小さじ1/2
【作り方】
❶材料をすべて混ぜ合わせる。
❷スティック状に切ったキュウリ、ニンジン、セロリなど(分量外)につけて食べる。
※お好みで、マスタードや練りガラシ、梅肉、ワサビなどを加えてもおいしい。
※ソースは冷蔵庫で10日ほど保存可能。
甘豆乳こうじのおからサラダ
【材料】材料(2~3人分)
〈マリネ液〉
甘豆乳こうじ…大さじ5
油…大さじ2
酢…大さじ1
白みそ… 小さじ2
タマネギ…1/2個
キュウリ… 1/2本
ハム…4枚
パセリ…適量
おから…120g
塩…小さじ1/2
コショウ…少々
サニーレタス…適宜
【作り方】
❶ボウルにマリネ液の材料をすべて入れ、泡だて器でよくかき混ぜて乳化させる。
❷タマネギ、キュウリは薄切りにし、塩(分量外)を振ってしんなりさせ、しっかりと水気を絞る。ハムは短冊切り、パセリはみじん切りにする。
❸(1)におからを加えて混ぜ合わせ、(2)を加えてさらに混ぜる。
❹塩、コショウで味を調える。彩りにサニーレタスを添える。