アニメ好きの筆者が “音の良さ” に注目して選んだアニメ作品を紹介するレビュー。第1回は4K+HDRリマスターで蘇った『AKIRA 4Kリマスターセット』。UHD BD、BD、特典ディスクがセットになったパッケージだ。作品の解説はもちろん、音の魅力についてじっくり紹介していく。

映像だけでなく音響も優れた作品

数多いアニメ作品から、音の良さが印象的なアニメを紹介

日本のアニメはテレビアニメからスタートし、今も数多くのテレビアニメが放映されている。
その一方で、大ヒットしたテレビアニメなどが劇場版となって、映画館でロードショー公開されることも多い。有名なヤマトやガンダムも、最初のテレビシリーズこそよい結果がなかったが、再放送などで人気に火が付き、劇場公開で大きな話題となった作品だ。

劇場公開作品となると、映像もよりパワーアップするが、音声がサラウンド化されるなどグレードアップし、より魅力あふれるものになる。映像と音は車の両輪のようなもので、映像だけでなく、音も優れた音響になることでその作品の面白さがさらに倍増する。そんな音の良いアニメを紹介していこう。

大友克洋原作・監督『AKIRA』

UHD BDで発売された『AKIRA 4Kリマスターセット -ULTRA-Blu-ray- 特装限定版』(9800円・税別)

今回紹介するのは『AKIRA』。
1988年に劇場公開された大友克洋原作・監督によるアニメの大作だ。
国内はもちろん、世界中で高い評価を得ており、多くのクリエイターに影響を与えたと言われている。そんな『AKIRA』が、UHD BDで発売されたのが『AKIRA 4Kリマスターセット -ULTRA-Blu-ray- 特装限定版』(9800円・税別)。
オリジナルポジから4Kスキャンされた映像をHDR化してUHD BDに収録している。音声は192kHz/24ビット(ドルビーTrue HD 5.1ch)で、こちらも新たにリマスターされている。

画像: 『AKIRA 4Kリマスターセット』。パッケージは赤色で揃えられており美麗なイラストも多数使われている。

『AKIRA 4Kリマスターセット』。パッケージは赤色で揃えられており美麗なイラストも多数使われている。

画像: ディスクは3枚組。左からBD版本編、UHD BD版本編、BD版特典ディスクとなる。それぞれのディスクアートも雰囲気満点だ。

ディスクは3枚組。左からBD版本編、UHD BD版本編、BD版特典ディスクとなる。それぞれのディスクアートも雰囲気満点だ。

主人公の金田は赤いライダースーツにバイクも赤。何色もの赤色で描き分けられている

作品の時代は、2019年。
未来を描いた作品に、時代が追いついてしまったのだ。物語は、第3次世界大戦の後で復興したネオ東京を舞台としているが、こちらでも2020年に東京オリンピックの開催が決定しているなど、現実と符号する部分がいくつもある。

今見てみると、不満を抱えた若者がバイクで暴走をするようなことはほとんどなくなったが、政治の腐敗、さまざまな社会不安など、活気があるようで決して幸せいっぱいとは言えない時代の空気感は似通ったものがある。見たことのない人は、この機会にぜひとも見て欲しい。今だからこそ気付く、新たな発見がたくさんある。

画像: 第3次世界大戦から31年後の2019年のネオ東京。東京湾に巨大な街が浮かんでいる。 © 1988マッシュルーム/アキラ製作委員会

第3次世界大戦から31年後の2019年のネオ東京。東京湾に巨大な街が浮かんでいる。

© 1988マッシュルーム/アキラ製作委員会

4K+HDR化された映像は、暗部の見通しの良さ、色の鮮やかさが見違えるほど良くなっており、フィルムというよりも生のセル画と背景を見ているかのようだ。特に、夜の高速道路を暴走するバイクが立ち入り禁止の旧東京エリアに向かっていくときの、真っ暗な闇が怖いほどに真っ黒だ。そこにバイクの眩しいヘッドライトと鮮やかなテールランプが突入していく。ハイコントラストで吸い込まれるような深さをもった映像に痺れる。

また、活気溢れるネオ東京のビル街やそこにひしめく群衆なども実に鮮明で、雑踏の人々をひとりひとり書き分けている作画の凄さがよくわかる。
特に印象的なのは赤色で、主人公の金田は赤いライダースーツにバイクも赤。何色もの赤色で描き分けられているのだが、その色の違いが実に鮮やか。未来的なデザインも印象的だが、その鮮やかな赤色は改めてカッコイイと感じる。

画像: 印象的な金田とバイクのアクションシーン。 © 1988マッシュルーム/アキラ製作委員会

印象的な金田とバイクのアクションシーン。

© 1988マッシュルーム/アキラ製作委員会

音楽担当・山城祥二氏の「ハイパーソニック・ペガサス」

セリフ、音楽、効果音、そべての音が立体的に浮かび上がり、空間を埋め尽くす

そんな鮮やかに蘇った映像に負けない迫力を伝えてくるのが、音だ。
音声は、セリフ、音楽、効果音のすべてを磨き直し、音の配置の調整を加えるといったリマスター作業が行われている。音楽も一部の曲をリマスターしているそうだ。こうした作業の後、音楽を担当した山城祥二氏の独自の技術である「ハイパーソニック・ペガサス」プロセスにより高音質化が図られた。これは、セリフ、音楽、効果音のすべてに対し、密林で収録した自然音から超高周波成分だけを抽出し、映画の音に相関させる形で付加したもの。これにより、ひとつひとつの音のリアリティーが増したという。

実際に聴いてみると、冒頭のタイトル場面で驚かされる。
象徴的な大太鼓の連打の音の生々しさは今までに聴いたことがないものだ。ドーンという鳴り方の迫力、太鼓の皮が震えるような響き、それらが重なって深く広い空間を感じさせる。爆心地と思われるクレーターの真っ黒い穴に吸い込まれてしまいそうになる。

暴走するバイクのバトルシーンも迫力満点。
彼らのバイクは、ガソリンを使うエンジンで発電し、モーターを駆動する。だから、聴き慣れたエンジン音と高い金属音のモーター音が入り交じっている。そんな音がいくつも重なり、しかも嬌声を上げるライダーたちの声もあちこちから響く。

また、ざわめく群衆の悲鳴も。さらにそこには、ガムランやケチャといった民族音楽をベースにした音楽が祭り囃子にのように鳴り渡る。まさに音の洪水だ。しかし、それでいてひとつひとつの音が実に明瞭で、まったく混濁していない。
個々の音が鳴りながら、調和して空間を作っている感じがよくわかる。BD版もかなり音の良い出来だったが、ここまでの音の粒立ちや定位感、そして空間の表現はできていなかった。

画像: ネオ東京を暴走していく金田たちのバイク。 © 1988マッシュルーム/アキラ製作委員会

ネオ東京を暴走していく金田たちのバイク。

© 1988マッシュルーム/アキラ製作委員会

金田や鉄雄をはじめとするキャラクターの声の演技も見事だ。
声の強弱、とぼけた調子や本気のときのドスの効いた感じなど、表情が実に豊かでドラマを盛り上げてくれる。バトルシーンでの怒鳴りあいに近いような声も、明瞭でクリアーに聴こえてくる。

それでいて、爆発音や銃撃音など、バトルでの激しい音は、鋭くキツイ音になっている。
生の楽器や、声による音楽のナチュラルな滑らかさとの対比が見事だ。一言で音の迫力が凄いと言えるようなものではなく、あらゆる音のリアリティーが倍増しており、実に生々しいサウンドに仕上がっている。

そして、サラウンドによる空間の広さと深さも素晴らしい。たくさんのバイク走り回り、アーミーのヘリコプターなどの兵器の移動感も自由自在に動き回る。そのため、ドラマの盛り上がりやシーンの雰囲気も一段と冴え渡り、ストーリーに存分に浸れるものになっている。

オリジナルの印象そのままなのに、まったく別物だとさえ思えるサウンドは素晴らしいの一言。ファンならば、『AKIRA 4Kリマスターセット』のためにUHD BD対応のBDプレーヤーと4Kテレビ、そしてホームシアターシステムを揃えても後悔しないはず。

コロナ禍のストレス発散に

良いアニメは心を潤してくれる。できれば良い映像と音で存分に楽しんでほしい

新型コロナウィルスの影響で、日本どころか全世界的に自宅で過ごすことが推奨されている現在。
映画やアニメ、音楽を楽しむのはリラクゼーションとしてもぴったりだ。ストレス発散にもよいはず。無理に高価なシステムを揃える必要はないが、テレビ用スピーカーを追加したり、4Kテレビに買い換えたりするなど、ちょっと追加するだけでも、より臨場感豊かなアニメ鑑賞ができるはず。良いアニメを存分に楽しむだけでなく、ぜひとも音響も検討をしてほしい。

画像: 【音がすごい】神アニメ おすすめは「AKIRA 4Kリマスターセット」金田や鉄雄の声、音響・効果音が超リアル!
AKIRA
4Kリマスターセット
4K ULTRA HD Blu-ray & Blu-ray Disc
特装限定版
▼原作者・大友克洋が自ら監督を務めた伝説的SFアニメを4Kリマスター化。▼第3次世界大戦後の2019年。▼不良少年の金田は連れ去られた仲間の鉄雄を救うため、軍の研究所へ潜入する。▼だが、鉄雄は人体実験により新たな“力”に覚醒していた。

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