災害が起こってしまったとき、加熱調理する必要のない缶詰は、弱った心と体を元気にする強い味方となる。防災備蓄保存食として長期間ストックしておけるだけでなく、普段の食卓に並べても十分なクオリティ。実はスイーツなんかもあるのだ。
![](https://tokusengai.com/assets/images/2020/09/02/030a79ded302c3edc37e7af43c0ee098d1c47cab.jpg)
缶詰博士 黒川勇人
公益社団法人・日本缶詰協会公認。缶詰業界の第一人者として日本はもちろん世界50ヵ国の缶詰をリサーチ。 缶詰の魅力とともに、それにまつわる文化や経済、人間模様も発信している。
おかゆ缶こまち食品工業「こまちがゆ」
秋田美人がほほえみかける缶の中身はフタを開けてそのまま食べられるおかゆ
これはおかゆの缶詰だ。それもあきたこまちを使ったブランドがゆであります。ご飯の缶詰は昔からあるけど、一度炊いたご飯を缶詰にすると、時間とともにご飯が固くなってしまう。
ゆえに食べる前に湯せんで温める必要があるが、水分の多いおかゆなら、フタを開けてそのまま食べられる。もちろん、やわらかい状態であります。
どうしてもおかゆが食べたいとき、あるいはご飯を炊くのがめんどうなときなど、この缶詰があればモーマンタイ!
![](https://tokusengai.com/assets/images/2020/09/02/71547b0819ead67ff11e67432d302fa25cf8d1f6.jpg)
味付け一切なしの純粋なおかゆ。でもウマい!
こまち食品工業
こまちがゆ
標準価格:292円
![](https://tokusengai.com/assets/images/2020/09/02/b166a374939e2b6bf89ca1c22df5ed60246275d3_xlarge.jpg)
秋田美人がほほえみかける缶。郷土愛が感じられて泣けてくる(秋田出身じゃないけど)。
![](https://tokusengai.com/assets/images/2020/09/02/f76de36b4962a601bf6b8ff829167e5b2f4f9d25.jpg)
フタは大きく開くので中身が出しやすい。開ける前によく振って、水分を均一にするのが儀式です。
![](https://tokusengai.com/assets/images/2020/09/02/268b69cf2040306d1cb25cc9d3eed1934537e4c9.jpg)
●こまち食品工業 https://komachi-foods.ocnk.net/
牛丼缶吉野家「缶飯牛丼 160g」
非常用保存食として開発された吉野家の牛丼缶。水分多めに炊いた玄米だから常温でも食べられる
これは、吉野家の牛丼が入った缶詰です。大事なことだからもう一度書きますが、この中には吉野家の牛丼が入ってます。つまり、ご飯も肉もツユも入った、牛丼そのものなんであります。唯一、お店の牛丼と違う点は、ご飯が玄米であること。
白ご飯を使った場合、食べる前に缶ごと湯せんする必要があるし(こまちがゆ本文を参照)、おかゆを使ったら牛丼じゃなくなってしまう。どうしようかと悩んでいたときに出会ったのが、宮城県・秋田県で獲れる「金のいぶき」という玄米。
水分を多めにして炊いた玄米は常温のままでもやわらかくておいしく、玄米特有のぷちぷちした食感も楽しめる。上に乗ってる薄切り牛肉はやわらかいし、例の甘辛いタレもたっぷりかかってますぞ!
![](https://tokusengai.com/assets/images/2020/09/02/71547b0819ead67ff11e67432d302fa25cf8d1f6.jpg)
湯せんで温めるとさらに美味。紅ショウガも欲しい
吉野家
缶飯牛丼 160g
標準価格:4860円(6缶セット)
![](https://tokusengai.com/assets/images/2020/09/02/454e031e0a133729d8d05a3214d3d4c563cf0b89.jpg)
漢字がぐいぐい主張してくるデザイン。防災備蓄食として開発されたから、目立ったほうがいいのだ。
![](https://tokusengai.com/assets/images/2020/09/02/f039af50398bb17298b4fac139848f262e73b804_xlarge.jpg)
みごとに茶色い世界。それはすなわち吉牛の世界でもある。玄米はやわらかいがプチプチとした食感が楽しい。栄養も豊富だ。
●吉野家 https://www.yoshinoya.com/
マグロ缶黒潮町缶詰製作所「黒潮オイルのマグロとキノコ」
東南海地震で34メートルの津波が想定される町が災害に立ち向かうべく作ったおいしい防災備蓄缶
黒潮町缶詰製作所が作る缶詰は、すべてが防災備蓄用だ。というのも、黒潮町は高知県の太平洋沿岸部に位置しており、近い将来に必ず起こるといわれている南海トラフ地震で、全国最大の34メートルの津波が想定された土地なのだ。
それを知った同町は、逆に災害に立ち向かうことを決意。雇用を生み出すために新たに缶詰工場を設立し(資本金の75%を町が出資)、そこで作る商品はイザというときに役立つように工夫が凝らされている。
とはいえ、どの缶詰もふだんから食べたいほどナチュラルな味わいでデザインも愛らしい。この黒潮オイルのマグロとキノコも、塩麹と生姜を利かせた優しいオイル煮だ。油っこさはほとんどなく、品のいいうまみが後を引く。
![](https://tokusengai.com/assets/images/2020/09/02/71547b0819ead67ff11e67432d302fa25cf8d1f6.jpg)
耐熱皿に移して粉チーズをかけて焼いてもウマっ
黒潮町缶詰製作所
黒潮オイルのマグロとキノコ
標準価格:450円
![](https://tokusengai.com/assets/images/2020/09/02/bc1bd90a772f7172a33d5e9b45ff023d26c52e39.jpg)
ラベルにある「34M」の旗は最大津波高を表している。それをブランドにした逆転の発想が素晴らしい!
![](https://tokusengai.com/assets/images/2020/09/02/9f4555e1edc52e8ac8dd00b6c4c76a63eb2fda20_xlarge.jpg)
フタを開けるとそこは上質な空間。キノコ(しめじ)は見た目どおりぷりぷり食感で、マグロはうまみがたっぷり含まれている。
![](https://tokusengai.com/assets/images/2020/09/02/832dd592b78b5f867b2ba90681a645c8f05c1d9a.jpg)
●黒潮町缶詰製作所 https://kuroshiocan.co.jp/
ケーキ缶トーヨーフーズ「どこでもスイーツ缶 チーズケーキ」
生地を缶に入れて、空気を抜いて缶ごと焼き上げる!災害時の心の支えになる世界初のチーズケーキ缶
世界で初めて作られた本格ベイクドチーズケーキの缶詰。何が本格かというと、缶の中で焼き上げているのだ!
手順としては、生のケーキ生地を缶に入れて空気を抜き、密封したあとで缶ごと加熱して焼き上げる。あらかじめ作っておいたケーキを詰めてるわけじゃないんですぞ。中心部はレアチーズケーキのようにみずみずしく、チーズの風味が濃厚。周囲は缶の熱によって香ばしい焦げ目がついている。
世界中からチーズを仕入れて吟味したほか、加熱の温度と時間、缶内の真空度などの組み合わせを試行錯誤し、ついに最適解を導き出した。実は、このスイーツ缶は東日本大震災で被災した方の「避難生活でもスイーツが食べたかった」という声をもとに開発されたのであります。
![](https://tokusengai.com/assets/images/2020/09/02/71547b0819ead67ff11e67432d302fa25cf8d1f6.jpg)
災害時のスイーツは心の支え。備えましょうぞ
トーヨーフーズ
どこでもスイーツ缶 チーズケーキ
標準価格:500円(150g)
![](https://tokusengai.com/assets/images/2020/09/02/3a03c36a164d8cd9bfcbdf55e307460dc74f599e.jpg)
女子力を感じさせるデザインで、中身もわかりやすい。防災備蓄用として開発されたからだ。
![](https://tokusengai.com/assets/images/2020/09/02/5976cab7736daceeeb2a82b06098457a201483b5.jpg)
缶内いっぱいに広がるチーズケーキの海。150グラム入りで、大人二人でも満足できる量だ。
![](https://tokusengai.com/assets/images/2020/09/02/536c2384fc2f5eccdba0b1f56ec1fc163fba9bf3.jpg)
●トーヨーフーズ https://www.toyofoods.co.jp/
※価格は記事作成時のものです。