美しい花を咲かせるために、土台となる土づくりはもっとも重要です。さまざまなやり方がありますが、ここでは庭づくりビギナーでもとり組みやすい方法をご紹介します。腐葉土と赤玉土を混ぜる、鉢底にあみを敷く、鉢底石をのせる、土を入れるといった鉢植え用の土作りについて。また、たい肥を混ぜる、木炭を敷く、石灰をまく、日光消毒するといった土作りについて解説しています。【解説】戸倉多未子(ガーデナー)
著者のプロフィール
戸倉多未子(とくら・たみこ)
有限会社グレイスオブガーデン代表。ガーデナー。暮らしを豊かにする緑の庭づくりをモットーに、小さな庭からエクステリア、ガーデンリフォームまでオリジナルガーデンを手がける。化学肥料に頼らない、自然の恵みを生かした庭づくりを得意としている。ガーデニング講師歴30年、ガーデニング関連の雑誌などでも活躍中。
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本稿は『小さな庭のつくり方』(永岡書店)から一部を抜粋して掲載しています。
基本の土
水はけがよく、栄養のある良質な土をつくりましょう
土づくりを行わずに庭に植物を植えても、思うように育ちません。植物にとってよい土とは、適度な水はけ、保水性、栄養があること。よい環境を整えるために、最初の土づくりは大切です。
初心者の方は、あらかじめ腐葉土や石灰などの栄養が含まれている市販の培養土を使用しても構いませんが、ある程度の広さのある庭の場合、自分でつくった方が経済的です。手順は簡単ですので、ぜひ自作の土で植物を育ててみましょう。
赤玉土7割、腐葉土3割の配合で混ぜ合わせます。水はけのよい赤玉土に、栄養たっぷりの腐葉土を混ぜることで、ほとんどの植物に対応した土ができあがります。
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腐葉土は落ち葉が虫や微生物の力で分解され発酵したもので、土の中の微生物を活性化させてくれます。赤玉土は赤土からできた粒状の土。赤玉土には栄養がなく、水はけのよさが特徴です。鉢底石は水はけをよくするための軽石。
土をつくる
(1)腐葉土と赤玉土を混ぜる
広口のバケツなどに腐葉土と赤玉土を入れ、手やスコップでしっかりと混ぜます。
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(2)腐葉土が固まっていればもみほぐす
固まった土があれば、両手をすり合わせるようにしてもみほぐし、細かくします。
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(3)木の枝が混ざっていたらとる
まれに木の枝などが混じっていることがあります。不純物はできるだけとり除いておきましょう。
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土の完成
鉢植え用の土づくり
(1)鉢底にあみを敷く
鉢底ネットを敷きます。ネットはカットされているもの、ロール状で自由にカットできるタイプがあります。
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(2)鉢底石をのせる
鉢底に鉢底石を並べます。ネットに入れておくと、植え替えの際に土と軽石が混ざらずとり出すことができます。
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(3)土を入れる
鉢の7割を目安に土を入れます。苗を置いて土を足し、鉢の縁から1~3cm空きをつくります。そうすることで、水やりの際に土がこぼれるのを防げます。
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花壇用の土づくり
花壇の場合も鉢植えと同様、軽石→土の順に。狭い花壇の場合、あらかじめつくっておいた土をバケツで入れます。
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ケース別・土づくりのコツ
地植えには「たい肥」を混ぜる
草花や樹木を地植えする際、もともとの土にたい肥を混ぜます。たい肥とは落ち葉や牛糞、わらなどの有機物を発酵させたもの。土壌改良資材として使われます。たい肥を使うと、水はけや通気性のよいふかふかな良質の土になります。
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水はけの悪い場所は「木炭」を敷く
雨が降ると水たまりができる、水はけが悪く植物が育たないといった土の場合、木炭を活用しましょう。木炭の多孔質によって、水分、通気が調整され、空気の流れがよくなります。土を深く掘って、底の方に木炭を敷きます。木炭はホームセンターで売っている園芸用(細かなチップ状)を使います。
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土が酸性に偏っているときは「石灰」をまく
肥料も水はけも日あたりもよい場所で、植物がうまく育たない場合、土の酸性度を調べてみるとよいでしょう。市販のキットで土のpHを調べ、酸性に偏っていたら石灰を混ぜます。石灰が酸性度を調整し、通常の土の状態である弱酸性にしてくれます。
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古い土を再利用する場合は「日光消毒」を
植物を栽培し終わったあとの古い土を再利用する場合、まずはビニールシートなどに土を広げ、古い根や枯れ葉など、余分なものをとり除きます。その後、ふるいにかけ、細かいチリを除去します。太陽にあてて日光消毒を行い、2~3週間後に上下を入れ替え再び日光消毒を行えば完成です。
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なお、本稿は『小さな庭のつくり方』(永岡書店)から一部を抜粋して掲載しています。下記の本は、知りたい情報の全文がコンパクトにまとまった一冊です。詳しくは以下のリンクをご参照ください。
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※(11)「庭のお手入れの基本(道具)」はこちら