息子が一歳の時、築年数の古い3LDKの中古マンションを購入し、2LDKにリノベーションしました。そのときの経験なども含め、子どもと一緒だからこそ出合える楽しさ、無理をせず家族みんなが心地よいと思える暮らしを作るための、ちょっとした発想や工夫をご紹介します。【解説】きなこ(インスタグラマー)
著者のプロフィール
きなこ
夫と息子との3人暮らし。“無理せず、子どもと過ごす日常を一緒に楽しむ”をモットーに、子育てや暮らしのアイディアをSNSやブログで発信している。フォトグラファーとして家族写真の撮影会を開く他、ライターとしても活躍。インスタグラムでは16万人以上のフォロワーを持つ。「3年育児日記」やオリジナルランドセルなど、育児関連グッズのプロデュースも数多い。本書が初の著書となる。
▼つづる(暮らしと育児のブログ)
▼kinako_710(Instagram)
本稿は『こどもとあそぶくらす 親子でつくる楽しい「おうち時間」』(KADOKAWA)から一部を抜粋して掲載しています。
家族にとって快適な間取りとは
みんなが暮らしやすい安心できる快適なおうち
おでかけや旅行から家に帰ってきた瞬間、「やっぱり家っていいな〜」と口を揃える私たち。とにかくみんな家が大好き。家は、家族にとって大好きな場所・安心できる居心地のいい場所であってほしい。外でがんばって疲れた時でも、帰ったらホッと癒される家であってほしいなと思うのです。
かつて私たち夫婦は、シンプルなインテリアが好きでした。息子が生まれてからは、部屋の中に随分と色が増えました。「カラフルなキャラクターものなんて家に置きたくない!」なんて思うこともなく、不思議と絵本の色彩豊かな背表紙やブロックの原色をかわいいなと感じるように。
以前は夫婦のお気に入りの雑貨が並んでいた飾り棚に、息子の作品が飾られている光景にほっこりします。
息子の成長とともに、安全・機能面も考慮しながら変化している我が家ですが、その中でも、私や夫の好みも大事にし続けたいと思っています。子どもが生まれ、成長に合わせて変化していく我が家がとても愛おしいです。
息子が生まれるまでは、ずっと子どもと関わるさまざまな仕事をしてきました。中でも、子どもたちが集団で生活している場所で働いた経験は、現在の自分の生活スタイルや子育てに大きな影響を与えています。
一人一人得意なこと・苦手なことが違う中で集団生活をするには、たくさんの工夫が必要です。今の生活の中で行っているさまざまな仕組み・環境作りには、その頃の経験が生かされています。家族でもそれぞれに好みも性格も違う、得意なこと・苦手なことがあるからこそ、一人にだけ標準を合わせるのではなく、みんなにとって快適で居心地のいい部屋・家を目指したいと思っています。
リビングルーム
我が家の中心。築30年以上のマンションを低予算でリノベーション、3LDKを2LDK に広げました。家族がいつでも繋がれる、子どもの成長に合わせた家作りを心がけています。
作業ルーム
前の住人の方が防音室にしていた洋室は、音の出る木工作業などをするための部屋に。ゆくゆくは息子の部屋として使う予定です。
和室
空間を広く見せるため、襖をあけて常にオープンな状態に。リビングと繋がった、大きな1つの空間。夜は家族の寝室として使用。
バスルーム
リノベーションの際、もともとの家の良さも残したいと思った場所。アーチ状の入口は30年以上前のデザインで、お気に入りです。
キッチン
リビングの一角にある、オープンタイプのキッチン。散らかっても隠せないのがデメリットですが、片付ける意欲を湧かせてくれるという点ではメリットかもしれません(笑)。
3LDKの中古マンションを2LDKにリノベーション
家族が繋がりながらくつろげるリビング
息子が一歳の時、築年数の古い3LDKの中古マンションを購入し、2LDKにリノベーションしました。一部屋なくしてリビングを広げたのですが、隣の和室はいつもオープンにしていて、キッチンも同空間にあるため、リビングが家の中のほとんどを占める大きな空間になっています。「家族が同じ空間で一緒にくつろげる家」にしたかったので、このような間取りに。中心にあるソファーとローテーブルで食事し、食後の団らんもここで。息子のおもちゃや絵本の収納スペースもあります。
我が家の家具のほとんどは、結婚当初に夫婦で選んで購入したもの。当時住んでいた狭い賃貸の部屋が少しでも広く見えるよう、背の低い家具を選ぶ「ロースタイル」を意識していました。 結果として、息子が生まれてから購入した今の部屋でも、空間が広く見えるのに加え、視界が広いことで親子ともにお互いの姿が見えて安心感があり、ソファーを上り下りするのが好きな息子にも安全。みんなが床や低い位置に座ることができるので、同じ目線・近い距離でくつろげます。
変わらぬ使い心地
ロータイプのソファー
ロータイプのソファーで、背もたれが欠けたデザインが特徴。部屋の中心に置いても圧迫感がなく、息子の動線を塞いでしまうこともなく、みんなが好きな場所で自由に座ってのんびりできます。
子ども触ってOK!
お気に入りの家具
結婚当初に買ったお気に入りの家具の1つ。もともと夫婦の貴重品などの収納に使用していましたが、息子が触れるようになってからは、その高さの引き出しはおもちゃ収納に。赤ちゃんの頃から、「子どもの手の届く場所には触っていいものしか置かない」と決めていました。「触ったらだめ!」と言わなくてもいい環境作りを心がけています。
ストレスも解消!
ビーズクッション
床と近い生活をする中で、ビーズクッションもくつろぎを与えてくれるものの1つ。息子も小さい頃から寝そべり、その虜になっていました。
部屋のインテリアを見直し
子どもの成長に合わせながらナチュラルな雰囲気はキープ
子どもの成長に危険は付きもの。そのため、息子の成長に合わせて部屋のインテリアを見直してきました。とはいえ、私と夫はナチュラルな雰囲気が好きなので、色の統一感はなるべく崩さず、息子が安全に過ごしやすい部屋を意識しています。おもちゃ用の収納グッズもロゴや模様などのない無地、木目や白のものを選ぶように。
壁紙には、直接ペイントしたようなマットな質感のものを選びました。凹凸のないフラットで真っ白な素材なので、光が優しく反射し合って明るいリビングを演出してくれます。息子がクレヨンなどで汚しても、洗剤やアルコールで拭き取ると綺麗に落ちる汚れ防止機能付き。額に入れた写真や子どもの作品が映えるのも嬉しいところ。
また、部屋のインテリアで一番困ったのは壁。古いマンションなので、どこも固いコンクリートだらけ。穴をあけられないため、写真はスチレンボードを活用して飾ったり、かけたいものは、マスキングテープの上に粘着フックを貼り付けてかけたり、棚を取り付けたい時はつっぱり棚を活用したりと、工夫してきました。最終的にはピクチャーレールを設置し、額や時計などをワイヤーで吊るして壁ギャラリーを楽しんでいます。公園で拾った枝も、かわいいインテリアの一部に。
収納に関してはズボラな私。気が向いた時には掃除もとことんやりたくなる性格ですが、普段の片付けは不得意。そのため、忙しい中でも片付けやすい、それでいて必要な時に取り出しやすい、ざっくり分類の収納にしています。なんとなく整った状態を維持できればよし。収納場所も少なく、ものが増えると困るので、欲しいものがある時は場所を考えてから検討するようにしています。
雑貨の代わりに飾りはじめたモビール。季節ごとに入れ替えて楽しんでいます。
常に植物を飾るようにしています。緑や花があると、空間も気持ちも豊かに。
必要な時だけワイヤーを引っ張り出すことができる、便利な室内干し用ワイヤー。不使用時は、壁に取り付けた小さな箱の中にすっきり収まります。
息子が家の中で走りまわるようになり、部屋の雰囲気に馴染む、クオリアムのコルクマットを導入。見た目も綺麗で、夏も冬も足の裏が気持ちよく、購入してよかった〜!
キッチンのリノベーション
お互いの姿が見えて安心度の高いキッチン
我が家のキッチンは、リビングの一角にあるオープンスタイル。リビングであそぶ息子と同じ空間で料理ができるので、いつでも息子の様子が見られ、私も安心。息子からも私の姿が常に見えるので、料理中もまわりで落ち着いてあそんでくれていました。
キッチンに柵を付けることができなかったため、息子でもあけられる下方の引き出しにはタッパーやボウルなど危険のないものを収納するようにし、自由に出し入れOKにしていました。
キッチン道具や食器は、結婚当初から気に入ったものを少しずつ揃えてきました。シンプルで機能性の高いもの、こだわって作られた日本製のもの、長く使えるものが好きです。フライパンは使うほどに育っていく鉄製のもの、鍋は熱伝導率の高いアルミ製の無水鍋やゆきひら鍋を愛用中。年を取っても大切に使い続けたいです。
お気に入りの食器たち
夫婦ともに食器やカトラリーを見るのが好きで、息子が生まれる前はよく陶器市や作家さんのイベントに足を運んだものです。お互いに「好き」と思った色や形、質感のものを集めています。
機能性も◎な手作りアイテム
夫が趣味で作った木の食器やカトラリー。毎日の食卓には欠かせない存在で、焼きたてのトーストをのせるとほどよく水分を吸収してくれて、美味しく食べることができます。落としても割れにくく、離乳食の時期にも大活躍。
「見せる収納」でいつでも綺麗に
キッチン道具は表に並べるようになりました。見えているからこそ、「綺麗に整えよう!」という気持ちが芽生えます。手先の器用な夫が、欠けた食器を金継ぎで修復したり、包丁を研いだり、お手入れを担当してくれています。
なお、本稿は『こどもとあそぶくらす 親子でつくる楽しい「おうち時間」』(KADOKAWA)から一部を抜粋して掲載しています。詳しくは下記のリンクからご覧ください。