コインパーキングなどで時々見かける出汁(だし)の自販機。「美味いの?そもそも誰が買うの?」と気になっていた筆者。自販機についてよく調べてみたら1種類だけでなく、3メーカーも存在するではないか!今回は3メーカーのだしを自腹購入し、プロの料理人協力のもと味を比較。それぞれのおすすめレシピまで考案していただいたので、自販機前で悩んでいたアナタ、ぜひ本記事を参考にしてください。

自動販売機で売られている「だし」は美味しいのか?

画像: 自動販売機で売られている「だし」は美味しいのか?

世の中には変わったものを売る自販機が存在します。コインパーキングで見かけるだしの自販機もその1つ。お茶だけの自販機か~と思いきや「だし」の文字。えっ?とよく見てみるとペットボトルの中には小さな魚の干物が入ってるぅぅ! 

そのインパクトにビックリして気になっている方も多いことでしょう。しかし実際に購入にまで至った人は少ないのではないでしょうか。だって……ちょっとお高いし何だか怪しいし。そこで我々が自腹で3社の製品を購入。プロの和食料理人に評価していただき、さらにはオススメ料理とレシピも教えていただきました。

協力していただいた料理人のプロフィール

画像: 協力していただいた料理人のプロフィール

鶴田禎人(つるた・さだひと) 

鮮魚と日本酒の名店・飯田橋『鶴日和』を主宰。19才の時に日本料理店の門をたたいて以来四半世紀のキャリアを重ねるも、未だ研鑚の日々を送っているという根っからの料理人。もちろん「だし」への造詣も深い。得意料理は煮付け。

鶴日和(つるびより)
●TEL/FAX:03-3221-7072
●所在地:東京都千代田区富士見2-3-8長柄ビルB1
●定休日:日曜・祝祭日
●営業時間:平日: 17:00~25:00/土曜:17:00~23:00 
※東京都の要請により現時点では22時までの営業となっています。

「自販機だし」3種を自腹で比較!

値段はちょっとお高め…
でも誰でも簡単かつ時短で本格的な和食が作れる

だし道楽・だし職人・おいでやだし兵衛、全てに共通するのは焼きあごの干物が入っていること。

画像: 手前から、だし道楽・おいでやだし兵衛・だし職人。

手前から、だし道楽・おいでやだし兵衛・だし職人。

「料理人的には、そのあたりにギミック的というか見た目で釣ろうとしてるんじゃないかな?本当にちゃんとした物なの?という疑問がチラっとよぎるんですよね。実際どうなんでしょうか…」。

自販機だしに若干懐疑的な様子の鶴田さん。それぞれグラスに少量を取って水で割ったものを1種類ずつじっくりテイスティングしていく…。

画像: 真剣に味を見る鶴田さん。

真剣に味を見る鶴田さん。

「……!どれも普通に美味しい、いやキチンと美味しいです。見た目だけで疑ってしまい大変失礼致しました。これ1本700円以上するんでしたっけ?お店で使うには主にコスト面で厳しいと思いますが、ご家庭で使う分にはちょっと贅沢なだしという感じでいいんじゃないでしょうか。これと同程度の味を作ろうと思ったら、だしを一から取って調味料もキチンと分量を量って入れて作るわけですから、わりと手間が掛かります。特にご家庭で使う程度の少量のために作るのは面倒ですよね」。

とはいっても、だしに1本700円以上は普通なら買うとしても1本だけだと思うんですが、それならどれがオススメですか?

「最初に断っておきますが、どの自販機だしも美味しいですし、(今回選んだ物は)全てあご入りの物なので基本的な味の方向性は一緒。だしを使う料理にはどれを使っても合うはずです。そうなると、お近くに自販機がある物という答えになっちゃいますかね(笑)。ただしテイストの違いというか、それぞれ個性の違いは意外とあって『この料理にはこっちの方が、より合う』という違いはあります」。

どのだしがどんな料理に合うんでしょうか? それぞれ詳しく解説していただきましょう。

①だし道楽・焼きあご入り
広島県・二反田醤油

味のバランスが最高!
深くまろやかでほんのり甘い

日本初(世界初?)の自販機だしである『だし道楽』シリーズ。昆布入り・焼きあご入り・プレミアム(昆布・焼きあご・宗田節入り)の3タイプがあります。今回は他社と比較しやすいよう「焼きあご入り」をチョイス。

画像: だし道楽・焼きあご入り

だし道楽・焼きあご入り

「味のバランスがとにかく素晴らしい! 個人的には今回の自販機だしの中でこれが一番好みでした。ボトルの中には焼きあごに加えて昆布も1枚入っているんですが、合わせだしならではの深みとまろやかさがあります。それにほんのりと甘い味付けがまた合っているんですよ。口当たりがとてもいいです」。

鶴田さんオススメ料理は?

「煮物でも具材の下味付けでもオールラウンドにこなせる万能選手です。でも、まずはぜひ素のままの味をストレートに楽しんで欲しいです。具体的には素麺やうどんのつゆですね。特に麺が細い素麺は、だしがしっかりと絡みついてくれるのでオススメです。麺をすするとフワっと広がるあごだしの香りが鼻腔をくすぐり、最後に口の中全体を優しい甘さが包む……ああ、今すぐすすりたくなってきました(笑)。あとは卵かけご飯とも相性バッチリでしょう。最高に美味しいと思います」。

“素麺つゆ”のレシピ

画像: だし道楽・焼きあご入りで作る“素麺つゆ”

だし道楽・焼きあご入りで作る“素麺つゆ”

<材料>
・だし道楽・焼きあご入り……適量
・水……適量
・薬味……お好みで

<調理手順>
特に手順というものはなく、だし道楽・焼きあご入りを水で7~8倍に薄めるのみ。実際に作ってみると色が薄いので大丈夫かな?と思いましたが、あごの香りも味もしっかりと感じられました。ただし、このあたりは好みもあるので適宜調整を。あとは薬味を入れて出来上がり。

②だし職人・自信のあごだし鱧チップ入り
福岡県・二反田醤油本店

すっきりとした醤油味にしっかり香る魚だし

あごの干物に加えてチップ状の鱧(はも)がラメのように煌びやかに舞うその見た目のインパクトは自販機だしの中でも群を抜く。果たしてお味は?

画像: だし職人・自信のあごだし鱧チップ入り

だし職人・自信のあごだし鱧チップ入り

「あごの味を一番感じたのがこれです。しかも鱧チップで香ばしさもプラスされているので、魚の存在感が抜群ですね。そのままだとちょっとくどいかな?と思われるかもしれませんが、煮たり炊いたりした後でも、だしの味がしっかりと残ってくれると思います」。

鶴田さんオススメ料理は?

「やはり煮炊きする料理に使いたいですね。その中で私が特に食欲をそそられるなぁと思ったのが炊き込みご飯です。想像してみてください。炊き上がった炊飯器のフタを開くと同時にたちこめる醤油と魚だしの香り。日本人なら誰しもがたまらないと思う瞬間ですよね?炊き込みご飯にも色々ありますが、だし職人はベースの味付けがスッキリしているので、鶏とごぼうの炊き込みご飯あたりが味に深みが加わっていいんじゃないでしょうか」。

“鶏ごぼう炊き込みご飯”のレシピ

画像: だし職人・自信のあごだし鱧チップ入りで作る“鶏ごぼう炊き込みご飯”

だし職人・自信のあごだし鱧チップ入りで作る“鶏ごぼう炊き込みご飯”

<材料(3合分)>
・だし職人・自信のあごだし鱧チップ入り……80ml
・米……3合
・鶏もも肉……1枚
・ごぼう……1/2本
・人参……1/2本
・油揚げ……1枚
・ぶなしめじ……1/2パック
・三つ葉……お好みで
※水の分量は調理手順を参考にしてください

<調理手順>
鶏もも肉・油揚げはひと口サイズにカット。ごぼうはささがきにして酢水にさらします。人参もささがきに。それらを小さじ2杯程度のだし職人と少量のゴマ油でさっと炒めます。冷ました後に研いだ米と一緒に炊飯器に。残っただし職人(70mlぐらい)も入れます。他に調味料は不要。最後に水を張りますが、その分量は、米・だし職人・全ての具材が入った状態で釜の3合ラインに合わせると大体ちょうどよくなります。ただし具材の種類・量によって適切な水の分量は多少変わりますので、おおよその目安と考えてください。

③おいでやだし兵衛・あごだし
兵庫県・梅薫醸造株式会社

塩味しっかり!
一本で味が決まる万能和風調味料

トビウオと猫ちゃんのイラストが自販機だしらしからぬ愛らしさで見た目には親しみやすいおいでやだし兵衛。お味の方はどうなのか?

画像: おいでやだし兵衛・あごだし

おいでやだし兵衛・あごだし

「基本的には焼きあご特有の香ばしくも甘みのある味を生かしただしで、それは他の2ブランドと共通するところ。その上で今回のように並べて比較してみると、他より塩味を強めに感じます。それがこのおいでやだし兵衛・あごだしの個性ですね。塩味がしっかりしている分、下味を付けたり煮物に入れたりすると、味がキチンと決まってくれるでしょう。調味料としての使い勝手がとてもいいと思います」。

鶴田さんオススメ料理は?

「これで下味を付けて鶏の唐揚げを作ると美味しくなりそうですねぇ。だしと醤油の和風な味わい。かみしめると鶏肉の甘みとあごだしの甘みという異なる2つの甘みが合わさった複雑かつ上品な肉汁が染み出してくる。それ絶対に美味しいでしょう!? そんな味がこれ1本で決まってくれると思うと本当に便利ですね。あとはせいぜい臭み消しに生姜を入れるか、お好みでにんにくを入れるぐらいですか。唐揚げ以外だと浅漬けなんかも良さそうですね」。

“鶏のから揚げ”のレシピ

画像: おいでやだし兵衛で作る“鶏のから揚げ”

おいでやだし兵衛で作る“鶏のから揚げ”

<材料(2人分)>
・おいでやだし兵衛・あごだし……大さじ2杯
・鶏もも肉……1枚
・おろし生姜……少量
・おろしにんにく……お好みで
・片栗粉……大さじ2杯
・サラダ油(揚げ油)……適量

<調理手順>
一口大に切った鶏もも肉とおいでやだし兵衛・あごだしをフリーザーバッグに入れて(お好みでおろし生姜やおろしにんにくを入れるならそれも)、ジップを閉じてから手で揉み込んで冷蔵庫へ。30分ほど寝かしたら、鶏もも肉をバッグから取り出して汁気を切り、片栗粉をまぶします。それを180度ほどに熱したサラダ油に投入。約4分揚げたら、一旦バットに上げて5分ほど置き、余熱で中まで火を通します。仕上げに190度までさらに熱したサラダ油で1~2分揚げてカラっとさせれば出来上がり。

結局、自販機だしはアリ?ナシ?
買うとしたらどれ!?

画像: 結局、自販機だしはアリ?ナシ? 買うとしたらどれ!?

「ご家庭では、料理のためだけにそれほど多くの時間は割けませんよね?自販機だしが1本あれば、それを入れるだけで料理の味がビシッと決まりますので、時間も手間も掛けず、しかもお店の味に近い本格的な味に仕上げることができる……特にお忙しいご家庭では、値段を考えても使う価値はアリなんじゃないでしょうか。どれを買うべきかと言うと、これは最初にも言いましたけど、どれも焼きあご入りのだしですし美味しいですから、どれを選んでも後悔しないと思いますよ。強いて言うなら、値段と内容量のコストパフォーマンス、そして個人的な味の好みで『だし道楽・焼きあご入り』をオススメしておきます」。

最後に

最後に料理の素人代表・筆者が自販機だしを使ってみて一番感じたことを書いておきます。

それは『とにかく調理がラク!しかも美味しい!!』ということです。

例えば炊き込みご飯。正直に白状しますと、ボクは今まで、炊き込みご飯は市販のパックを混ぜて作る物。自分で一から味付けしていくなんて素人には無理でしょ?と考えて……いや、そもそも一から作るなんて考えたこともなかったです。

それが自販機だしを適量入れるだけでバッチリ美味しかった。しかも市販パック炊き込みご飯の中でもちょっとお高い名店ブランド物クラスに美味しかった。これには衝撃を受けました。

買う時は1本700円以上という値段を高いと感じましたが、実際に使ってみると、美味しい料理が簡単に作れるという点でも値段に見合う価値があると思いましたし、実はこれ濃縮タイプなので結構使いでがあって、決してコスパは悪くないと気付きました。使い終わっても容器に醤油を入れ直して冷蔵庫で寝かせておけば自家製だし醤油が作れそうですしね。

というわけで結論。自販機の前で悩んで買わなかった方、ぜひお試しあれ。それでお気に召すようでしたら、他の自販機だしも買ってみて違いを楽しむのも一興ですよ!

あ、最後の最後にもう一言。お近くにだしの自販機がない場合はネット通販ということになると思いますが、その際はメーカーさんのホームページから直接買った方がいいです。それ以外のネット販売だと、実は自販機で買った人が出品していて届いた物は賞味期限切れだった…そのようなトラブルもあるみたいなので注意が必要です。

◆ドンまつお(編集ライター)
元々は釣り雑誌の編集ライター。職業柄、魚に触れる機会が多かったためか、生まれながら鼻が利きすぎるせいか、特に魚のニオイには敏感で若干の苦手意識がある。それゆえ、だしのニオイ(香りと言えよ…)にも割とうるさかったりする。

This article is a sponsored article by
''.