ワイヤレスイヤホンの脱落でで今、真剣に悩んでいるのが駅の係員でしょう。JR東日本はパナソニックに「ワイヤレスイヤホンの救出ロボット」の開発を依頼し、現在実証実験中だとか。そのくらい、ワイヤレスイヤホンは耳から落ちやすいのです。そんな時に活躍するのがイヤーチップ。COMPLY(コンプライ)からAirPods Pro専用のイヤーチップが登場したので、ご紹介しましょう。
COMPLY(コンプライ)のAirPods Pro専用チップをテスト
駅員を悩ます落とし物とは?
今ドキのイヤホンはワイヤレスが当たり前。紐からの開放は、実に嬉しいのですが、一方、耳から外れて落とすと、どこに行ったのか分からなくなることもあります。実はこのことで今、真剣に悩んでいるのが駅の係員。当然、ホームから線路への落とし物ということなのですが、小さいのですごく見つけにくいのです。その上、礫石と線路の間に入ったりすると実に取りにくいですね。こんなことから、回収に時間がかかります。これが15分に1本程度のローカル線ならまだしも、3分に1本という超過密ダイヤの山手線では事情が違ってきます。
JR東日本もパナソニックに「ワイヤレスイヤホンの救出ロボット」の開発を依頼。池袋駅で実証実験の最中だとか。ワイヤレスイヤホンは、やはり耳から外れないことが一番ですね。
アクセサリー的に、この問題に対応しているモノはないかと見たところ、「イヤホンチップ」がありました。イヤホンチップは、音質向上効果、そして装着感向上効果=落とさない効果が期待できるオーディオアクセサリーです。
今回、COMPLY(コンプライ)のApple AirPods Pro専用チップをテストしてみました。ご紹介します。
Apple AirPods Pro純正チップは脱落しやすい?
Apple社のノイズキャンセリング機能付きワイヤレスイヤホンです。同社公式サイトでは次のように宣伝されています。
「アクティブノイズでサウンドに包まれよう」「周囲の様子が聞ける外部音取り込みモード」「装着感をカスタマイズできるから一日中快適」「こんな魔法、聞いたことがない」。内、2つめと3つめのフレーズが、装着ではポイントになるのですが、今のところ一番重なのは、3番目の「装着感をカスタマイズできるから一日中快適」という機能です。
この機能に関して、公式サイトではさらにこう続けられています「耳にぴったりと収まる、ソフトで柔軟なシリコーン製イヤーチップを3つのサイズで用意」。サイズを合わせ確実装着を狙っています。
イヤホンの場合、耳の形と耳穴で支えられます。イヤーチップのサイズを変えるということは、耳穴へのフィッティングをしていることです。
何度か試してサイズを決めると、なるほど、悪くありません。ただし、どちらかというと外耳(耳形状)で支えている感じが拭えません。実際、散歩の途中、ちょっとした弾みに耳から外れました。どうも、シリコンの部分が滑った感じです。一番初めしっかり入れたつもりでも、緩んでくるのは、体の振動、口の開け閉め時の耳穴の変形、耳穴の中の汗腺から出てくる皮脂など、複合的なことが要因です。
ちなみにシリコン製のチップを外し、チップを後ろから覗くと、中に何も入っていない。要するにシリコンの柔らかさ、硬さで支える仕組みです。要するに耳穴で支えるには、イマイチであることがわかります。ちょっと物たらないレベルと言えます。
COMPLYの低反発ポリウレタン オーディオチップ
では、COMPLYではどうでしょうか?こちらは、固いスポンジのような低反発ポリウレタン樹脂が詰め込まれている。説明書では「体温に反応する「コンプライ・フォーム」は脱落を防ぐ快適なフィット感。」とあります。
耳に入れてみると耳にイヤホンチップが当たっていることを感じます。そして取説にある様に「膨らむまで15秒待つ」とありますので、待ちます。入れた当初は、ごく小さな隙間があるように感じていましたが、それもすぐなくなりました。接触しているので、自分の耳穴の形がわかる感じです。シリコンチップと違い、耳穴でしっかりという感じです。耳穴は、マンガなどでは、円、楕円で表されますが、実際は結構歪であり、個人差があります。そのため、その都度、体温でちょっと膨張してフィットする低反発ポリウレタンを使っているわけです。
みっちり密着するので、外音遮断もかなりのもの。完全に聞こえないわけではありません。が、一部、音が遮断されているのが感じられます。
そして装着後1分。耳とイヤホンの一体感が増した感じです。そこで、その場で、耳を下にして、10
回ほど飛び跳ねてみました。微動だにしません。次はウォーキングです。1時間歩き続けてもゆるみません。帰ってきてまた耳を下に向けジャンプ。全く問題ありません。
脱落防止と同時に音質も向上
実はイヤーチップは元々音質向上のために作られました。フィットはその中の技術の1つです。フィットすると何がいいのか、余分な音が耳に入るのを防ぐことができるわけです。耳栓と同じ原理です。
このため、外の音でマスキングされ、聴き取り難かった音も聞こえるといわけです。
テストした結果は、1.5〜2倍近く音が向上していると言っていいと思います。顕著に違うのは、弱音。ピアノ、ギターのピアニシモなどは実にキレイに聴こえます。しかも濁りを感じさせません。実にいいです。
元々は、高音質化を目指して作られたチップ。それが遮音性アップだったので、結果として耳に完全フィット。脱落防止につながったわけです。
コストパフォーマンスもいい
このモデル、3サイズ、3000円(税抜)です。
ちょっと高いと思われるかも知れませんが、CD一枚分で紛失の可能性が少なくなり、しかも高音質化できるのですから、ある意味、お買い得とも言えます。
年末、自分へのご褒美ということで、お一ついかがでしょうか?
◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京散歩とラーメンの食べ歩き。