テレワークで、コーヒーの消費量が増えた人は多いのではないでしょうか。「スペシャリティコーヒー」が登場し、ここ10年でコーヒーの質は、ずいぶん向上しました。しかし、豆の品質がいいので、焙煎時に気をつけないとすぐだめになってしまう。そこでおすすめしたいのが、メタルフィルターです。この記事では、美味しくコーヒーを楽しむための道具としてコレスの「ゴールドフィルター」と「グラインダー」を紹介します。
コーヒーの世界をひっぱるスペシャリティコーヒー
パソコンの前に座り、原稿を書いていますと、コーヒーの消費量が半端ありません。日に3〜5杯は確実に飲んでしまいます。このため、パソコン脇にはネスレのネスカフェを使うコーヒーメーカーのDUOを置いています。メリットはミルク(ブライト)も入れて、カフェオレ系も作れるので、胃への負担が少ないこと。そして、なんと言っても安いこと。「スタバ貧乏」は時たま聞きますが、ネスレ貧乏は聞いたことがありません。
一方、仕事の切りの良い時には、ハンドドリップですね。楽しむためのコーヒーを入れます。長年使っているハリオのケトルでコポコポお湯を沸かし、ちょうどイイ温度を見計らい抽出します。ハンドドリップを覚えたのは大学時代ですから、40年近くもハンドドリップをしています。古くからあるハンドドリップといえども、変わってきます。今回は、ドリップコーヒーにまつわる道具、家電のお話です。
スペシャリティコーヒーとは
ここ10年でコーヒーの質は、ずいぶん向上しました。それは「スペシャリティコーヒー」が出てきたためです。スペシャリティコーヒーというのは、日本の純喫茶で言うと一種類の豆を、一杯ごとに丁寧にハンドドリップしたコーヒーのことです。「えー、ストレートなら昔から日本で飲んでるじゃないか」と言う人もいると思います。昔と今で何が違うのかというと「豆」が違うのです。
コーヒーの豆は大別するとアラビカ種とロブスタ種、そしてリベリカ種の3つがあります。アラビカ種というのは現在の主流。セブンイレブンのCMでも「アラビカ種」と言っていましたので、ご存知のかたも多いと多いと思います。流通量の80〜90%はアラビカ種が占めます。しかしコーヒーは、原産地で表示されることが多いですね。エチオピア、ブラジル、コロンビアのような国から、キリマンジャロ、ブルーマウンテンのような山の名前、モカの様に輸出する港の名前など、全部地名です。これは同じアラビカ種でも、地域ごとによって、味が違うためです。お米でいうと、新潟県魚沼産のコシヒカリが、千葉産のコシヒカリより美味しいようなものです。
しかし今や、そのレベルでは済まなくなってきています。地域ではなく、農園毎の違い、また扱いによって変わる風味を楽しむ様になったのです。精米したお米もそうですが、スペシャルティコーヒーも同じと思っていただければいいです。今、スペシャリティコーヒーとして扱われているコーヒーは、どの農園で、いつ収穫され、その後、どの様な扱いを受けたのか、トレーサビリティができる様になっているのです。すごい手間です。
しかし作り手の顔が見える、お米、野菜、皆さんも好きですよね。単なる農作物ではなく、嗜好品として扱われるコーヒーは、これでより高い評価を得ることができるのです。お米などもそうですが、多く作るモノには必ず欠点品が含まれます。お米なら割れ、カビ、虫食いなどです。流石に、倉庫管理が発達した今、カビ、虫食いは少なくなりましたが、割れは何%以内にしなければならないか、法律で定められているくらいです。コーヒーも同じ。割れ、カビ、虫食いはあります。しかし、ちゃんとしたところは、これを一粒一粒、肉眼で確認し出荷します。おコメは八十八の手間をかけるから漢字で「米」と書くのは有名な話ですが、コーヒーも負けず劣らず、すごい手間がかかります。
しかしこの手間がかかるトレーサビリティは、産地に大いなる恵みをもたらします。フェア・トレーディング(公正取引)。つまり、不正のない、品質に合った取引のことです。元々欧米の植民地で作られていたコーヒーは、安い労働力を大量投入して成り立たせてきました。農場主が利益の大半を持ってゆく大規模プランテーションです。しかし、この方法だと農場で働く人の多くは、子供を学校に入れることができないのも多いのです。日本ではちょっと考えられないですが、そんなところも多いのです。ちゃんとした対価で働ける様になり、スペシャリティコーヒーは、現在、コーヒーの世界を牽引しつつあるところでもあります。
スペシャリティコーヒーには「メタルフィルター」が合う
当然、この豆は品質もいいので、一番美味しく飲む工夫がされます。それは焙煎時に気をつけないとすぐだめになってしまう、香りと酸味を大切にすることです。このために、スペシャリティコーヒーの焙煎は、やや浅めが基本になります。そして丁寧にドリップしてやる。
ここでポイントになるのが「フィルター」です。一般的によく使われるのはペーパーフィルターです。コーヒー粉を除くのには支障はないのですが、コーヒー豆の油分、揮発性分も紙が吸い取ったりします。このため、味や香りがぼやけます。
これを嫌う人が使うのがネル(布地)フィルターです。しかし、これは手入れが大変。洗って、冷蔵庫保管が当たり前です。で、今、浸透しつつあるのがメタルフィルター。コーヒー粉はペーパーフィルターほど、完全には取り切りませんが、香り、味を左右する成分も、きちんとコーヒーの中に入り込みます。
スペシャリティーコーヒーを抽出する時、メタルフィルターは使いたい道具の一つです。
スペシャリティーコーヒーのためのブランド「コレス」
老舗家電メーカーの一つに、イギリスのラッセルボブスがあります。伝統あるデザインに、確かな品質。機能を語る前に、モノとして優れています。しかも、頑固一徹。某国の家電メーカーの様に、ゆーざーに言われたら、何でも開発することなどはしません。仕事、エンターティメントはともかく、日常生活は、とかく「古き良き」という言葉が冠されます。時短時短で、頑張り抜くことも必要なのかも知れませんが、忙しいと亡くすのは、心や人間性です。そう言う意味も踏まえてか、ヨーロップアの老舗は伝統美を残しますね。
このラッセルホブスの日本総代理店を務めるのが、大石アンドアソシエイツ。こだわりの強い会社です。その会社が、スペシャルコーヒーのためのこだわりブランドを立ち上げました。それが「コレス」です。
ゆたうようなロゴマークは、ドリップを上から見た時の形状。いわゆる「のの字書き」をコレスのCと合わせマーク化したもの。そしてその一号が、「ゴールドフィルター」です。ゴールドフィルターは、香り、味のロスがほぼない上に、ちょっとですが紙の節約にもなります。私の場合、1年で元が取れました。
おすすめは「ゴールドコーンフィルター&サーバー C750GD」
私のお気に入りは「ゴールドコーンフィルター&サーバー C750GD」。特徴ある円錐形のドリッパーは、ハリオの「V60」がすごく有名で、スペシャリティコーヒーを世に広める強力なツールにもなりました。そのドリッパーに合わせたゴールドフィルターです。そしてそれを支える、異形ともいうべき開口部を持ったサーバー。これがいい。元々化学の実験道具に似ているのがコーヒーの抽出ツール。異形なデザインは、理にかなっている限り歓迎です。
メタルフィルターを使うメリットは、他にもあります。実は、円錐ドリッパー用のペーパーフィルターは普通のスーパー、コンビニで扱っていないことが多いので、探す羽目になることが多いのです。確かに台形型のペーパーフィルターを折って使うこともできますが、ちょっと本末転倒の感じがします。しかし、メタルフィルターはペーパーフィルターと違い、壊れない限り使い続けることができます。
ちなみに、メタルフィルターで淹れたコーヒーは、最後の一口まで飲みきらないのが、美味しく飲むコツです。というのは、最後に溜まるコーヒー粉は、雑味の塊だからです。
コーングラインダーC330は、見た瞬間欲しいと感じる質感
抽出が一通りできるようになったら、次はいろいろな味の豆に巡り会いたいモノです。粉だとどうしても種類が限られてしまいます。そうすると、次のステップは、焙煎後の豆を自在に扱うと言うことでグラインダーです。
コレスで、今年発売されたのが、「コーングラインダー C330。コーヒー豆を粉にする道具です。「ミル」とも呼ばれます。一つのポイントは、粉にする時、「熱」を保たない様に設計すること。というのは、熱を持つと、コーヒー豆、粉から揮発成分がどんどん逃げて行くからです。要するに風味が損なわれるのです。これは抹茶もそうですね。お茶の場合も「香味」を逃すと美味しくありません。このため熱を持ち難い大きな石臼でゆっくり丁寧に挽きます。
実は、コーヒー豆の硬さは半端ではありません。フードプロセッサーのモーターの強さ、刃の指標に、ロックアイスと共に使われるのがコーヒー豆です。この2つに対応すると、モーターも刃も超一流と評されます。それ位の難題。そんなこともあり、私はコーヒー豆の専用機、グラインダーをお勧めしています。
グラインダーには、手動と電動がありますが、私は電動をお勧めします。理由はムラが出にくいからです。粒状のモノ、粉状のモノもそうですが、美味しく加工していくためには、サイズを揃えることが必要です。理由は例えばコーヒーの粉から抽出するとして、コーヒーの粉に大小が混ぜ合わさっているとします。例えば、サイズの小さい方に合わせ抽出すると、大きいサイズの方に、お湯が十分中まで染み通った状態になりません。逆に大きい方に合わせると小さい方は抽出したくないエグ味成分まで外に出すことになります。上手く抽出できるのは半分、それを不味いモノで割るといういただけない状況になります。
次のポイントは「お手入れ」です。グラインダーの刃は、グラインダーの肝のパーツであり、ここがちょっとでも悪くなるとダメです。このため、ユーザーには触れられない様に設計します。当然、クリーニングもすこぶるし難い。しかし、ここに古い粉が残っていると、味は落ちます。このため、できる限りキレイにしてやることが必要です。コルスのグラインダーは、刃の部分がアタッチメント方式になっており、完全ではありませんが、クリーニングがしやすい。大きな魅力です。
そして質感が高い。丁寧に仕事をする時、必要なのは落ち着いた環境と、自分の相棒ともいうべき道具です。コレスは、そこのところを十分知っているメーカー大石アンドアソシエイツが作ったブランド。使っているとグッとくるところが多いです。
古い微粉が内部に残りづらい直下式の構造など、メンテナンス性能にこだわりました。
ワンランク上の、豆本来の個性とおいしさを、毎日手軽に味わうための電動コーヒーミルです。
最後に
スペシャリティコーヒーは、買う前もそうですが、買ったあとの豆の扱いで、本当かと思えるくらい雰囲気が変わります。しかし、自分で淹れたコーヒーで、複雑で豊かな香りが楽しめ、酸味と苦味の間から、ほんのりと甘味が感じられると超嬉しくなりますね。手間をかけてよかったという感じです。
このコロナ禍でおうち時間が増えたため、コーヒーメーカーも大いに販売を伸ばしています。しかし、どうせなら自在に遊ぶのはどうでしょうか?そして、扱いが難しいところは、家電に頼ってしまおうというわけです。そして、コレスのいいところは、そんなに高くないというところです。高そうに見えるコーングラインダーでも2万円(税抜)。足を踏み入れ易い価格とも言えます。
そしてもう一ついいのが、昔と今がうまく混じり合っているところです。伝統を感じさせる反面、現代的な軽やかさを持っているのです。これは、伝統のデザインを大切にするラッセルホブスを扱ってきたからこそかも知れませんが、バランスがいいツールです。
そして嗜好品は、極めることができない位、面白いモノですし、今まで見えなかったものが見えてくる様になります。スペシャリティコーヒーを始めるにあたり、コレスをチョイスする。ともて有意義な自分投資になると思います。
◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京散歩とラーメンの食べ歩き。