筆者だけでなく、日本中、いや世界中の人がコロナ禍でストレスを感じているのではないでしょうか。実は今年、我が家には「Withコロナ」第一世代ともいえる子どもが生まれました。うれしいことなのですが、やはり妊婦や乳児がいると、行動がより制限されます。半年以上も自宅に引きこもるような生活が続き、ストレスが溜まっていました。そこで思いついたのが、キャンピングカーでのご近所車中泊です。この様子を紹介します。
執筆者のプロフィール
齋藤千歳 (さいとう・ちとせ)
元月刊カメラ誌編集者。新しいレンズやカメラをみると、解像力やぼけディスク、周辺光量といったチャートを撮影したくなる性癖があり、それらをまとめたAmazon Kindle電子書籍「レンズデータベース」などを出版中。まとめたデータを元にしたレンズやカメラのレビューも多い。使ったもの、買ったものをレビューしたくなるクセもあり、カメラバッグなどのカメラアクセサリー、車中泊グッズなどの記事も執筆中。最近ではとうとう「究極のカメラバッグ」ともいえるキャンピングカーを購入した。作例の撮影という名目で北海道各地を旅行する生活を楽しんでいる。
リスク回避とはいえ「引きこもり生活」はストレス
家族3人そろって外出することができない
自宅を事務所にしている筆者は、撮影や取材などがなければ、基本的に自宅のパソコンの前で写真を整理したり、原稿を書いたりしています。自宅から一歩も出ないといった日も珍しくない生活です。妻も働いており、職場のシフトに合わせて家を出て行くので、休日でもない限り、自宅で一日中いっしょということはありませんでした。しかも、休日は買い物に出掛けたり映画に行ったりと、2人で一日中自宅に閉じこもっていることは珍しかったのです。
この生活が一変したのは、新型コロナウイルスの感染拡大です。空港で仕事をしている妻は自宅待機に。この頃にはすでに妊娠していたので、自宅待機から引き続き産休に入りました。コロナ禍の妊婦なので、極力人には会わず、人混みには出掛けず、当然家にいる時間が増えます。買い物も、「できるだけ1人で手早く」が基本になりました。
そして出産。乳児を含む3人家族になったのですが、子どもを連れて、多くの人がいる場所に行くことは避けています。3人そろっての外出は、外食はもちろんスーパーでの買い物も、ほぼしていません。そろそろ4ヵ月になるうちの子は、スーパーに入ったことが1度か2度しかないはずです。
いくらリスクを避けるためとはいえ、現在は育児休業中の妻と息子の3人で自宅に引きこもるような生活に、ストレスを感じるようになってきました。
これを解消するために思いついたのが「キャンピングカーで行く!ご近所車中泊」です。
自宅にいれば、だれかが家事をしなくてはいけない
単純に、家族3人自宅に引きこもる生活に飽きているのもあります。しかし、それだけではなく、自宅にいると、誰かが家事をしなくてはいけないのです。筆者も妻も、特別家事が嫌いというわけではありませんが、「何もしたくない日」もありませんか。そして、今日は家事をしない日と決めても、台所に積み上がる食器、汚れるテーブル、どちらにしても明日は片付けなくてはいけないことがわかっていると、そのことがストレスになります。
とはいえ、やっと首がすわった4ヵ月の子どもは、クルマでの長距離移動ができません。また、ストレスの解消がどの程度、不要不急かは判断に悩みますが、新型コロナウイルスの感染拡大について考えると、家族そろっての長距離移動はためらわれます。
そこで、我が家からもっとも近い「道の駅 千歳サーモンパーク」で車中泊をすることに決めたのです。
テイクアウトやデリバリーでリスクを最小限に抑える
フリーWi-Fiで道の駅の店舗情報をチェックしよう
筆者の知っている限り、ほとんどの道の駅には無料で利用できるフリーWi-Fiが用意されています。クルマを止める位置にもよりますが、経験上、建物の近くであれば、キャンピングカーの中からもWi-Fiを利用できることが多いです。これを利用して、道の駅のウェブサイトにアクセスし、店舗情報をチェックします。クルマを降りて、建物のなかを見て歩けばいいのですが、インターネットでチェックするほうがリスクが低いでしょう。
駐車場のキャンピングカーまでデリバリーしてくれた
まずはランチの選定です。道の駅の店舗情報を見て、妻と筆者が決めたのは、まき窯で焼き上げるという「ピザドゥ」のピザ。「ブルンネン」(Mサイズ1,880円)をセレクトしました。ウェブサイトからもメニューは見られますが、店頭にあるデリバリー用のメニューのほうが見やすいので、店頭まで行って持ってくる方がいいかもしれません。実は、このお店、ご近所なので自宅へのデリバリーサービスも利用しており、デリバリーメニューをキャンピングカーに積んでいました。電話で、道の駅の駐車場にいることを伝えると、クルマまでピザを持ってきてくれるとのこと。この日は15分ほど待つと、キャンピングカーにピザがやってきました。
道の駅の駐車場は、お店の目の前。当たり前ですが、焼きたてです。自宅までのデリバリーやテイクアウトだと、いくら近いとはいえ、ピザは多少冷めてしまっていました。これに対して、道の駅の駐車場に持ってきてもらったピザは、お店で食べるのと変わらないアツアツぶりでした。キャンピングカーなので、取り分け用のお皿も使い捨ての紙皿を使い、洗い物もなし。快適です。ただし、キャンピングカーにはタバスコを積んでいなかったので、次までに買っておこうと思いました。
数ヵ月ぶりにゆっくりお店を見て服を買った
午後はアウトレットモールに移動
車中泊するので、時間はたっぷりあります。昼ご飯を食べたあと、夕飯まで駐車場にいるのもつまらないので、久しぶりにショッピングをすることにしました。
気にしすぎなのかもしれませんが、ここ数ヵ月は、子どもを連れて3人で商業施設を歩く気になれませんでした。かといって、どちらかが子どもを自宅で見ている間に、ショッピングをゆっくり楽しむこともできず……。そんな状態で、まともに服も買っていなかったのです。
そこで、こちらも千歳市内にあるアウトレットモール「レラ」に、キャンピングカーで向かいます。レラは駐車場も広いので、キャンピングカーでも安心です。ここで、妻とかわりばんこにショッピングを楽しみました。
久しぶりのショッピングでストレス解消
レラはアウトドア系のショップが多く、実をいうと、筆者がふだん撮影の際に着ている防寒着は、ほとんどがレラで購入したものです。お気に入りのショップを挙げるなら、本格的なアウトドアウェアを扱う「MOUNTAIN HARDWEAR」や「THE NORTH FACE」、「HELLY HANSEN」を取り扱う「NORTHERN PACIFIC」、アウトドアカジュアルの「Columbia」などがあり、アイテムによっては半額以下というプライスで入手できることもあります。筆者は今回も、掘り出しもののアイテムを発見して、購入してしまいました。予想以上の出費でしたが、久しぶりの買い物によるストレス解消ができたのも事実です。
夕飯はスープカレーとスパークリングワイン
コロナの影響でテイクアウトやデリバリーが充実
夕飯に何を食べるかは、実は考えていませんでした。道の駅までデリバリーしてくれるか、テイクアウトか、道の駅のお店で買ってくるか、などと考えていたわけです。ところが最近は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、デリバリーやテイクアウトが地方でも充実してきています。レラの中にある飲食店でも、テイクアウトメニューが提供されていました。
個人的には「角煮カレー」や「ほぐしチャーシュー丼」などにも引かれます。しかし、今回は、レラ内のショップではなく、市内にオープンしたスープカレー店「SAMA」のテイクアウトにしました。SAMAは、東京や海外にも店舗を持つ有名店で、千歳店が最近オープン。妻がまだ食べていないとのことなので、こちらを夕飯に選択しました。SAMA千歳店はデリバリーもやっていますが、道の駅に戻る途中にあるので、テイクアウトすることにしました。
「セイコーマート」はスパークリングワイン天国
スープカレーを受け取りに行く前に、寄りたいところがあります。それは道民の生活に欠かすことのできない「セイコーマート」です。セイコーマートに寄るのは、スパークリングワインを買うためです。わざわざコンビニでスパークリングワイン?と思うでしょう。ところが、セイコーマートはなんと、1本300円台からスパークリングワインが購入可能で、ヘタな酒屋より種類も多いのです。実際、東京からたびたび遊びに来ていた友人は、「セイコーマートに寄って、スパークリングワインでシュワシュワパーティをしよう」というのが定番になっていました。
野菜たっぷりのスープカレーをつまみにスパークリングワイン
スープカレー店SAMAでココナッツスープの「ラム野菜カリー」1,430円とトマトスープの「ポーク野菜カリー」1,350円を受け取って、道の駅 千歳サーモンパークへ向かいます。キャンピングカーの冷蔵庫には、セイコーマートで買ったスパークリングワインが冷えています。
野菜たっぷりのスープカレーは、おつまみにも最適です。セイコーマートで買ったスパークリングワインは、「G7 スパークリング」が700円、「ダンティ」に至っては478円と非常にリーズナブルです。
道の駅 千歳サーモンパークから自宅までは徒歩圏内。自宅に戻る必要が出ても、歩いて帰れると思えば、筆者は安心してスパークリングワインを飲むことができます。
スープカレーは基本的に具だくさんなものが多いのですが、今回は特に、肉以外にアスパラやカリフラワー、レンコンなどの野菜も豊富です。今回はお酒のつまみも兼ねているので、それらの具をお酒といっしょにいただき、最後にスープとご飯で締めるといった食べ方にしました。
カレーはテイクアウトの容器に入っているので、洗い物などは発生しません。せいぜい、スパークリングワインを飲んだグラスを片付ける程度です。歯磨きや洗顔は、道の駅のトイレがあるので安心です。その日は、妻とアウトレットモールでの買い物の戦果などを話しながら、かなり早い時間に寝てしまいました。
まとめ
家事から解放され「のんびるするしかない」のがうれしい
新型コロナウイルスへの対策は、最終的には「自己判断」ということも多く、どうしていいか悩みます。しかも、我が家では今年、2020年に第一子となる息子を授かりました。子育てに関しても、最終的には自己判断の部分が多いのです。「新型コロナ×乳児」になると、どうしていいかわからず、とにかく「できる限りの安全策をとりたい」と考えてしまい、結果的に引きこもることになります。
取材や撮影など、多少なりとも外出の機会がある筆者はいいのですが、育児休業中の妻は、外出といえば近所のスーパーで食料品を買う程度。しかも、「ひとりで手早く」が基本です。妻の場合、妊婦だった時期も含めると、もう半年以上、自宅に引きこもったような生活を続けています。
また、自宅にいると、テイクアウトで何かを買ってきても、小皿を出したり箸を使ったりと、どうしても家事が発生します。これに対して、キャンピングカーなら、洗い物をする必要もなく、掃除や洗濯もできないので、のんびりするしかないのです。妻と筆者の双方が家事から解放されるのは、ほんとうに久しぶりでした。キャンピングカーでのおでかけが、より一層うれしく感じられました。
また、キャンピングカーまで持ってきてくれるかはお店次第でしょうが、デリバリーに対応してくれるお店が増えたのも、ご近所車中泊には嬉しいことです。
子どもについては、キャンピングカーに乗せるときと、自宅に帰って降ろすときしか外に出ないので、感染のリスクはさほど高くないのではないでしょうか。
新型コロナウイルスとの戦いは、長期戦になりそうな様相です。感染リスクに配慮しながら、今後も家族で「キャンピングカーでご近所車中泊」を楽しみたいと思っています。