モンテッソーリは20世紀初めにイタリアのマリア・モンテッソーリ博士によって考案された教育法で、いまでは2万校もの学校や幼稚園・保育園があるほど世界各地に普及しています。モンテッソーリで目指すのは、子どもを見守り、サポートする方法を知って、子どもたちと一緒に過ごす時間を楽しみ、困っている子どもに手を貸してあげることです。どんなときも思いつめず、いつも笑顔を忘れずに、子育てという旅を楽しみましょう。【解説】シモーン・デイヴィス(国際モンテッソーリ協会(AMI)認定モンテッソーリ教師)

執筆者のプロフィール

シモーン・デイヴィス

国際モンテッソーリ協会(AMI)認定モンテッソーリ教師。ブログ・インスタグラムMontessori Notebookではモンテッソーリのちょっとしたヒントや読者からの質問に答え、世界中の親を対象にオンライン・ワークショップを開いている。オーストラリア出身。現在は家族とともにオランダ・アムステルダムに在住。ジャカランダ・ツリー・モンテッソーリスクールを立ち上げ、親子クラスで指導を行っている。

訳者プロフィール

宮垣明子(みやがき・あきこ)

和歌山県出身。翻訳者。『奇跡の動物家族~命をつなぐ』(K&Bパブリッシャーズ)、『内向型のままでも成功できる仕事術』(辰巳出版)など翻訳多数。保護猫と暮らして三年目。

本稿は『おうちモンテッソーリはじめます』(永岡書店)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

イラスト/朝倉めぐみ

モンテッソーリで
子どもの見方を変えてみよう

はじめに

本記事は、モンテッソーリで子育てをする方法を初心者向けにわかりやすく書いたものです。モンテッソーリは20世紀初めにイタリアのマリア・モンテッソーリ博士によって考案された教育法で、いまでは2万校もの学校や幼稚園・保育園があるほど世界各地に普及しています。

お子さんと一緒に何かするとき、特に子どもがうまくできずにいる場合にはどう教えればいいか、どのように手を貸してあげればいいのか。家のなかがめちゃくちゃにならない方法を知れば、きっと落ち着いた毎日を送ることができます。家庭で子どもが自由にできる場所を作って、そこから幼児向けのモンテッソーリ活動を取り入れてみましょう。

もちろん、1日でなにもかもが変わるわけではありません。モンテッソーリを取り入れるというのは、家のなかをそっくりそのまま幼稚園の教室と同じにするということではありません。まずは部屋にあふれているおもちゃを全部しまって、家にあるものでモンテッソーリの活動を試してみませんか。子どもがいま本当に興味をもっていることは何かがわかります。そこから少しずつ、家庭や日常生活にモンテッソーリを取り入れていきましょう。

小さい子と一緒に、穏やかに過ごす方法があるということを、ぜひ多くの方に知ってほしいのです。子育てとは、好奇心にあふれ責任感を持った人間になる種を、お子さんにまくこと。わたしはそのお手伝いをしたいのです。これから何年もかけて、あなたとお子さんがよい親子関係を作り上げていけるように。モンテッソーリ博士の哲学を日々の暮らしに取り入れてみませんか。

さあ、子どもの目で世界を見てみましょう

この記事にはモンテッソーリの教えをすべてつめこんだだけでなく、長年のあいだにわたしが指導のために見つけた参考資料(本やインターネット、研修講座など)からも数多く引用しています。

これをひとつのきっかけにしてください。モンテッソーリで目指すのは、この記事で紹介する「お仕事」を全部やることでも、自由遊びの部屋をぴかぴかに磨きあげることでもありません。もちろん、完璧な親になることでもありません。子どもを見守り、サポートする方法を知って、子どもたちと一緒に過ごす時間を楽しみ、困っている子どもに手を貸してあげることです。どんなときも思いつめず、いつも笑顔を忘れずに、子育てという旅を楽しみましょう。早く目的地に着くことだけが旅ではありませんよ。

画像: はじめに

モンテッソーリ教育って?

いつだれが考えたの?

20世紀初めにイタリア初の女性医師であり教育者でもあったマリア・モンテッソーリ博士によって考案された教育法です。博士はこれを完成させるために、常に子どもたちを観察し、そこから教育方法や教具を完成させていきました。その目的は「責任感と他人への思いやりを持った自立した人間、生涯を通じ学び続ける姿勢を持った人間を育てる」ことです。

英才教育のひとつなの?

モンテッソーリ教育は、英才教育ではありません。子どもに知識を詰めこむのではなく、子どもの気持ちを尊重し、子どものなかにある「学びたい」という自然な欲求を育てるものです。そのために子どもの発達段階に合わせた環境を用意して子どもの潜在能力を引き出します。それは教室のなかだけではなく、日々の暮らしのための教育ともいえます。

モンテッソーリ教育の3要素とは?

モンテッソーリ教育では、「子ども」「大人」「環境・教具」の3つの要素がそれぞれに結びついていると考えます。何を学ぶかを決めるのは子ども自身で、それを大人と環境がサポートします。大人は子どもを観察し、脱線しないよう必要な部分にだけ手を貸しながら、子どもがひとりでできるようになるのを見守ります。

画像: モンテッソーリ教育の3要素とは?

子どもが主人公とは?

子どものペースに合わせ、その子が何に興味を持っているかを知ることです。なんでも子どものやりたい放題にさせるのではなく、子どもの好きなことを好きなようにやらせてあげます。こうしなさいと子どもに指示を出したり、やり方をぜんぶ教えたり、情報を与えすぎたりせず、一歩引いて子どもが主人公であると考えます。

どれくらいの数の施設があるの?

モンテッソーリスクールはアメリカだけでも4500校以上、世界117か国以上に2万校を数えます。日本では認可幼稚園、認可保育園、子どもの家など約590か所(うち東京都内が約110か所)で導入されていますが、義務教育課程に含まれないため、公立の小・中・高校ではほとんど導入されていません。

近くにモンテッソーリスクールがない場合は?

家の近くにモンテッソーリの幼稚園や保育園がない場合でもあきらめることはありません。家庭で子どもが自由にできる場所を作って、そこから幼児向けのモンテッソーリの活動を取り入れてみましょう。本書ではモンテッソーリを家庭でも簡単に取り入れられるよう、わかりやすく解説しています。

モンテッソーリ教育を受けた著名人は?

グーグル創業者のラリー・ペイジとセルゲイ・ブリン、アマゾン創業者のジェフ・ベゾス、バラク・オバマ前アメリカ大統領、イギリス王室のウィリアム王子とヘンリー王子、ウィリアム王子の長男のジョージ王子もモンテッソーリ教育を受けています。また、将棋の藤井聡太棋士もモンテッソーリの幼稚園に通っていたことが知られています。

画像: モンテッソーリ教育を受けた著名人は?

モンテッソーリを知るための
キーワード

観察

モンテッソーリの基本は観察です。観察するというのは、ただ見守ることです。いい子とも悪い子とも決めず、分析もしない。観察していると、いまその子がどういう状態にあるかがわかります。いまその子は何に興味があるのか、何をできるようになりたがっているのか。そうすると、どんな決まりが必要か、嫌になって投げ出してしまう前に手助けをするのはどのタイミングがいいかがわかってきます。

自由

モンテッソーリでは、子どもどうし尊重しあうこと、自分で学ぶこと、まわりを大切にすることなど、ほんの少しのルールしかありません。学校でも家庭でも、そのルールのなかでなら、何を選ぶのも、遊ぶのも、考え方も、子どもの自由です。でも、子どもになんでもかんでも好きなことをさせるわけではないのです。ルールのもとでの自由が大切なのです。

「自分でするのを手伝って」

モンテッソーリではよく使われる言葉です。これは子どもがひとりでできるように用意をする、必要なときに必要なだけ手を貸し、あとは離れて見守る、じっくり練習できる時間を取る、そして間違っても受け入れ、見守っていると知らせるということです。そうすることで、子どもの自立を促します。

画像: 「自分でするのを手伝って」

環境を整える

モンテッソーリスクールや家庭で、教師や親が子どもに合ったレベルの活動を用意することで、子どもの成長を促すと考えます。ちょうどいいレベルとは、まだ完全にはできないけれど、嫌になって投げ出してしまわない程度のもの。活動するための環境を整えることで子どもたちにおもしろそうだと思わせ、自由に探検して学べるようにするための準備です。こういった作業は、単なる「整理整頓」とは違います。

敏感期

モンテッソーリでは、0歳~6歳の子どもが、あるひとつのことに特に興味を示す時期を「敏感期」と呼びます。「言葉」「秩序」「細かいもの」「運動」「感覚」「礼儀、マナー」など各分野について、そのことだけを学びたいと思っているので無理強いしなくても楽に学べます。大人はその子がいま何の敏感期なのかをよく見極め、さらに興味をかきたてるような活動をさせます。

お仕事

モンテッソーリでは、子どもが教具を使ってする活動を「お仕事」といいます。「お仕事」ではスキルをひとつだけ身につけるようになっています。たとえば、箱に開いた小さな穴からボールを中に入れるという「お仕事」では、穴に入れるというスキルだけを身につけます。「お仕事」は皆で一緒にするのではなく、一人ひとりの敏感期に合ったものを個別に行います。

発達の4段階

モンテッソーリ博士は人間が大人として自立するまでを0歳から24歳までとし、その過程を科学的な観察を経て6年ごとに幼児期(0~6歳)、児童期(6~12歳)、思春期(12~18歳)、青年期(18~24歳)の4段階に分けました。これを「発達の4段階」と呼びます。各段階の心身の発達に合わせた教育法が重要とされています。

画像: 発達の4段階

なお、本稿は『おうちモンテッソーリはじめます』(永岡書店)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。 詳しくは下記のリンクからご覧ください。

画像: 【モンテッソーリ教育とは】一部の幼稚園・保育園で採用「子供の自立」を促す教育法 特徴は?有名人は?簡単に解説
おうちモンテッソーリはじめます
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2021-01-04 8:50

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