買い物をしたときにたまるポイント。管理が行き届かず、失効するポイントも多い。そんな人は、さまざまな加盟店でポイントをためたり、使ったりできる「共通ポイント」が有効だ。自分にとってよりいい共通ポイントがどれかをそろそろ見極めよう。
ポイントシステムの基礎知識
成熟するポイントサービス。最適な共通ポイントを見極めたい
買い物をしたときにたまるポイント。今では実に多くのポイントサービスが存在しているが、中でも注目なのが共通ポイントだ。さまざまな加盟店でポイントをためたり、使ったりできて便利。そんな汎用性の高い4大共通ポイントが、「Tポイント」「dポイント」「Ponta」「楽天ポイント」だ。
この中で最も歴史が古く、認知度が高い国民的ポイントプログラムが「Tポイント」。加盟店数が多く、多彩なポイントサービスからのポイント交換に対応。Tポイントがたまるくじやゲームなども多く、あらゆる基盤がそろっている。とはいえ、ここ数年、他社のポイントサービスの追い上げもあり、徐々に失速している感が否めない。
Zホールディングス(元ヤフー)と戦略的資本・業務提携しているものの、「Yahoo! ショッピング」ではTポイントに加え、「PayPay ボーナスライト」が併用される。さらに、2021年4月5日にはジャパンネット銀行がPayPay銀行に社名変更するなど、グループ会社の社名を随時、PayPayブランドに統一する予定。Zホールディングスは2021年3月に「LINE」との経営統合も控えており、今後の展開が気になるところ。
●Tカードのアプリ画面
そんなTポイントを追い上げているのがドコモの「dポイント」。毎月のドコモの利用料金でたまることから、共通ポイント化のスタート時点で多くの会員を保有。ドコモ以外のユーザーにも開放した時点のPRにも成功し、dポイントクラブの会員数は7800万人を突破(2020年10月時点)。
ドコモのクレジットカード「dカードGOLD」で毎月の利用料金を決済すれば、ポイント還元率が10%になることから、クレカユーザーも増やしている。ローソンやマクドナルド、マツモトキヨシなど、加盟店に大手チェーンが多いところも有利だ。
●dポイントのアプリ画面
そんなドコモからやや遅れて自社のポイントを共通化したau。その時点の認知度は決して高くなかったが、2020年5月に「au WALLETポイント」が「Pontaポイント」に変更。国内最大規模の1億超という会員基盤が誕生し、一気に知名度を高めた。加盟店も拡大して、ポイントの使い勝手もいいことから、着々と先行の共通ポイントに迫っている。
●Pontaのアプリ画面
一方、「楽天ポイント」は、ショッピングサイトの「楽天市場」や、最も利用金額が多いクレカの「楽天カード」を軸に、幅広いサービスを提供する楽天経済圏で利用できるポイントとして成長。年間約3200億ポイント(2019年実績)を発行し、そのポイントの消化率が90%以上という、ためやすく、使いやすいポイントとして人気を高める。2020年9月には累計発行ポイント数が2兆ポイントを突破するなど、その勢いが加速している。
●楽天ポイントのアプリ画面
現在、各ポイントサービスでは生活全般のサービスを拡充し、よりユーザーの囲い込みに力を入れている。それとともにユーザー側も、さまざまなポイントをためるスタイルから、ためるポイントを絞ることへの移行が求められる。多くのポイントに手を出し過ぎてその管理が行き届かず、失効するポイントも多いからだ。自分にとってよりいい共通ポイントがどれかをそろそろ見極めよう。
●国内の主要4大共通ポイントサービス
サービス名 | 基本のポイント 付与/使用 |
関連する ・キャリア ・スマホ決済 ・クレジットカード ・金融機関など |
運営会社 |
Tポイント | 100〜200円に つき1ポイント /1円相当 |
・ソフトバンク ・PayPay ・Yahoo! JAPANード ・ジャパンネット銀行 |
カルチュア・ コンビニエンス・ クラブ |
dポイント | 基本100円に つき1ポイント /1円相当 |
・NTTドコモ ・d払い ・dカード ・ドコモ口座 |
NTTドコモ |
Ponta | 100〜200円に つき1ポイント /1円相当 |
・KDDI(au) ・au PAY ・au PAYカード ・auじぶん銀行 |
ロイヤリティ マーケティング |
楽天 ポイント |
基本100円に つき1ポイント /1円相当 |
・楽天モバイル ・楽天ペイ ・楽天カード ・楽天銀行 |
楽天 |
利用に際しては曜日も大事
特定の日に還元率が向上するサービスもある。要チェック!
各共通ポイントサービスでは、お得な日を設定。主力のショッピングサイトやショップなどで利用すると、ポイントが通常よりも倍増する。これらの曜日を覚えて活用すれば、ポイントが大幅にアップ。例を挙げて説明していこう。
●三太郎の日
毎月3、13、23日に特典を用意。ローソンでau PAYを使うとポイント3%、auまたはUQ モバイル利用者なら6%還元。
●毎週おトクなd曜日
毎週金・土曜日にd払いで買い物すると2%還元、3サイト以上で買うと最大5%還元に。参加するには毎月エントリーが必要。
●5と0のつく日
毎月5と0のつく日に「楽天カード」を利用すると、「楽天市場」の買い物でポイント5倍。「楽天プレミアムカード」や「楽天ゴールドカード」の利用ならポイント7倍。参加にはエントリーが必要。
●5のつく日キャンペーン
毎月5のつく日に、PayPay残高や「ヤフーカード」で支払うと5%還元。対象は「Yahoo! ショッピング」と「LOHACO by ASKUL」に加え、2021年1月から「PayPayモール」も加わる。
●Tモールの日
毎月5、15、25日に対象のネットショップで買い物すると最大20%還元。ショップページで「このショップに行く」をクリックする。
●ソフトバンクのスマホユーザーは10%、それ以外でも日曜は5%
毎週日曜日、「Yahoo! ショッピング」と「PayPayモール」を利用すると、スマートログイン済みソフトバンクスマホユーザーは10%、それ以外の人でも5%還元(上限1日1000円相当)。
●ゾロ目の日
ポイントとは関係ないが、毎月11日と22日は、「Yahoo! ショッピング」や「PayPayモール」の割引クーポンの争奪戦。
ほかにも、さまざまなアップ日があるので、カレンダーでチェックしておこう。
●各ポイントサービスの還元率アップの日(2020年12月の例)
ポイントアップのワザ
効率よくためたいなら自分の「ステージ」を上げるのがコツ
元々のポイント還元率は低くても、そのベースはアップできる。
例えば、PayPay残高で支払う場合、通常0.5%還元だが、「PayPay STEP」で決済回数や利用金額の条件を達成すると、最大1.5〜2%還元にアップ。
d払いやdカードでのiD決済でも、「dポイントスーパー還元プログラム」でお得になる。条件を達成することで、通常のdポイントに加え、最大プラス7%のdポイントが還元される。
メインのネットショップでお得に買い物できるのがauと楽天だ。「auポイントプログラムステージ制」では、auスマホの契約で10スコアというふうに、サービスの利用によって直近3ヵ月間に獲得したスコアの合計点でステージがアップ、「au PAYマーケット」が最大5%還元になる。
楽天でも同様に、楽天サービスの利用で還元率がアップ。「SPU」の条件を満たせば、「楽天市場」での買い物が最大ポイント16倍になる。「SPU」は別のキャンペーンとも併用可能なので、さらなるポイントアップが期待できる。
ふだんから自分のステージをコツコツ上げておくことで、ポイントが効率よくためられる。
●各社のポイントアッププログラム
PayPay STEP | ||
---|---|---|
支払い対象 | PayPay加盟店 での支払い |
Yahoo!の 対象サービス |
基本付与率 | 0.5% | |
100円以上の決済を 月に50回以上行った場合 |
+0.5% | |
月に10万円以上利用 | +0.5% | |
↓ | ||
翌月の付与率 | 最大1.5% | 最大2% |
dポイントスーパー還元プログラム | ||
---|---|---|
条件 | アップ内容 | |
プラチナステージ | +1% | |
dポイントをためた回数 | 最大 +1% | |
dカードゴールドでのドコモ利用料金支払い | +1% | |
ネットでの買い物 | 最大 +2% | |
dカード請求額 | 最大 +2% | |
合計還元率 | 最大 +7% |
auポイントプログラムステージ | |
---|---|
「au PAYマーケット」のポイント還元率(アップ分) | |
レギュラー | 1% |
シルバー | 2% |
ゴールド | 3% |
プラチナ | 5% |
楽天SPU(Super Point Up Program) | |
---|---|
サービス名 | アップ内容 |
楽天カード | +2倍 |
楽天プレミアムカード 楽天ゴールドカード |
+2倍 |
楽天モバイル | +1倍 |
楽天銀行+楽天カード | +1倍 |
楽天トラベル | +1倍 |
自動でポイントをゲット!
ローソンでApple Payを使うと、手間なくポイントが付く
iPhoneの「Wallet」にPontaカードを登録しておくと、ローソンで「Apple Payで」と伝えて支払うときに、決済と同時にPontaポイントもたまる。
通常はポイントのバーコードを読み取ってもらい、その後、決済をするが、Apple Payなら決済端末に1回タッチするだけで完了。スマートにスマホ決済しながら、ポイントもちゃっかりためられるので、隠れポイ活ユーザーにおすすめだ。
●Apple Payでスマートにポイ活
自動でクーポン利用
PayPayクーポンを取得しておけば、スマートに得できる
PayPayで利用できる新サービスの「PayPayクーポン」。松屋やアディダス、イケアなど、幅広いジャンルのお得なクーポンがあり、例えば松屋であれば、650円以上の支払い時に最大100円相当のポイントを付与。
しかも、事前にクーポンを獲得しておけば、対象店舗で支払いをするだけで、自動でポイントが獲得できる。通常ならクーポンの提示と支払いの二つの動作が必要なところ、1回で済む点がスマートだし、店舗側にとってもクーポンの確認作業が不要になるので効率的。
周囲にクーポン利用がわからないので、お得に店舗を利用したいものの、クーポンを提示するのがちょっと恥ずかしいという人にもおすすめだ。
●スマートに支払えるPayPayクーポン
初の「瞬間チャージ」
「ポイント払い 瞬間チャージ」でポイントがムダなく使える
ポイントで支払いをする際、ポイント不足になって、残りを現金で支払った経験はないだろうか。
楽天の新サービス「ポイント払い 瞬間チャージ」はそんなときに便利なサービス。瞬時に電子マネー「楽天キャッシュ」を「楽天カード」からチャージして、不足分に充当してくれる。
チャージ金額は1000円以上で、自分で設定可能。瞬間チャージに設定しておけば、ポイント残高を気にせずスマートに支払える。
●ポイント残高を気にせずポイント払いできる
ポイント払いでポイント
「楽天市場」では、ポイント利用分も含めてポイントが付く
通常、ポイントを使って買い物した場合、その分に関して新たなポイントは付かないもの。
ところが楽天のショッピングサイト「楽天市場」では、楽天ポイントを利用した分も含めて、商品合計金額の1%分のポイントが付与される。街の「楽天ポイントカード」加盟店でポイントを使って買い物した場合も、カードの提示で1%の楽天ポイントがもらえるのでお得。
「Yahoo! ショッピング」でも、Tポイント対応ストアなら、ポイントで支払ったときに新しいポイントが獲得可能。とはいえ、このようなケースは数少ない。これらのように、ポイント払いでもポイントが付与されるのは、かなり貴重なサービスといえる。
●ポイント払いでもお得な「楽天市場」
高レートでポイント活用
ポイントはためるだけでなく、高レートで使えるワザもある
ドラッグストアチェーンのウエルシア薬局では、毎月20日がお得デー。ためたTポイントで買い物すると、200ポイント以上の場合、1.5倍分の買い物ができる。
つまり200ポイントなら300円分、2000ポイントなら3000円分の買い物ができるということ。このお得なポイ活は「ウエル活」と呼ばれ、ポイ活ユーザーに広く親しまれている。
一方、Pontaポイントを使って、ローソンのお試し引換券をもらうことは「ポン活」と呼ばれている。10ポイントで30円引券などに交換できてお得。このようなワザを知っておけば、ためたポイントを1ポイント=1円相当分以上の高レートでお得に利用できる。
●ポイントが1.5倍で使えるウエルシア薬局
マイルを有効利用
1万マイル未満の航空マイルも特典航空券として利用できる
通常、JALの特典航空券の利用は1万2000マイル以上が必要になるところ、往復6000マイルで国内旅行ができる「どこかにマイル」。
旅行先の候補地が四つ提示され、OKであれば申し込み。どこに決まるかはお楽しみというスタイルがウケている。
一方、ANAでは通常よりもお得に、片道の国内線特典航空券が利用できる「今週のトクたびマイル」を提供。各社、特典航空券が利用しやすくなっている。
●JALとANAのお得な特典航空券プラン
Suica利用者必見!
通勤定期利用者が時差通勤するとポイントがもらえる
JR東日本では2021年春より、時差通勤によるポイントサービスを実施。Suica通勤定期券で首都圏対象エリアの各駅を、対象の時間帯に入出場した場合に、同社のJREポイントを還元する。
平日のみだが、「早起き時間帯」なら1日15ポイント、「ゆったり時間帯」なら1日20ポイントももらえるのは大きい。
一方、通勤定期券以外のSuica利用者には、同一運賃区間を1ヵ月に10回利用すると、運賃1回分相当をポイント還元。月11回以上の利用で1回ごとに運賃の10%相当のポイントを還元する。
定期券利用者への時差通勤によるポイント還元は、JR西日本のICOCAでも検討中。今後、さらに広まっていきそうだ。
●時差通勤でポイント
※ポイントプログラムの内容は記事作成時のものです。
■解説/綿谷禎子(ライター)