多くの人を魅了するイルミネーションは、クリスマスシーズンの「冬の風物詩」ですよね。しかし、実際にイルミネーションが開催されている期間は結構幅があり、場所によっては11月くらいから翌年の2月くらいまで楽しむ事ができます。(※今回掲載しているイルミネーションは終了しています)今回はイルミネーションの撮影方法のコツを伝授していきます。

執筆者のプロフィール

吉森信哉(よしもり・しんや)

広島県庄原市生まれ。地元の県立高校卒業後、上京して東京写真専門学校(現・東京ビジュアルアーツ)に入学。卒業後は専門学校時代の仲間と渋谷に自主ギャラリーを開設し、作品の創作と発表活動を行う。カメラメーカー系ギャラリーでも個展を開催。1990年より、カメラ誌などで、撮影・執筆活動を開始。無類の旅好きで、公共交通機関を利用しながら(乗り鉄!)日本全国を撮り続けてきた。特に好きな地は、奈良・大和路や九州全域など。公益社団法人 日本写真家協会会員。カメラグランプリ2020選考委員。

使用レンズについて

イルミネーションは日が暮れてから鑑賞する被写体なので「雰囲気の良い写真を撮るには、特別な機材や撮影テクニックが必要なのでは?」と思う人もいるかもしれません。しかし、現在の一般的なデジタルカメラであれば、特殊な製品や高度な撮影テクニックがなくても、十分雰囲気の良い写真を撮ることができます

…とは言え、使用する機材の機能や特性はざっと把握しておく必要があるでしょう。また、撮影時のコツや注意点もいくつか意識する必要があります。

使用機材で特に注目したいのが“使用レンズの特徴や描写の違い”です。レンズ交換式カメラの場合、装着するレンズが変われば、その描写や写真表現も変わってきます。標準ズームレンズ、望遠ズームレンズ、中望遠の単焦点レンズ。今回のイルミネーション撮影では、この3タイプの交換レンズに注目してみます。そして、それぞれの描写の特徴や使用方法を考えてみましょう。

標準ズームレンズ
身近なイルミネーションや風景が自然に写せる

画像: ●ニコン Z7 II+「NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S」 本格広角域から“標準より少し望遠寄り”の中望遠域までカバーする大口径標準ズームレンズ。標準ズームの最高峰になる製品なので、最高水準の画質が期待できる。

●ニコン Z7 II+「NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S」
本格広角域から“標準より少し望遠寄り”の中望遠域までカバーする大口径標準ズームレンズ。標準ズームの最高峰になる製品なので、最高水準の画質が期待できる。

広角域から中望遠域までカバーする「標準ズームレンズ」。このレンズは、カメラと一緒に購入する事が多くて、非常に汎用性の高いレンズです。そのため、イルミネーション撮影でも使用する機会が多くなるでしょう。

標準ズームレンズの中には、開放F値を抑えた(F3.5-5.6など)小型軽量タイプや、開放F値がズーム全域で明るい(F2.8など)大口径タイプがあります。小型軽量タイプは携行性の良さが魅力で、高めのISO感度設定や手ブレ補正機能(ボディ側の補正機能も含めて)によって、夜間の“手持ち&ノーフラッシュ撮影”も可能になります。

さらに、小型軽量タイプより2も絞りくらい明るい(望遠側で比較)大口径タイプなら、より大きなボケ効果が得られます。また、同じ撮影状況でもシャッター速度が速くできるので、夜間撮影で過剰にISO感度を上げなくても手ブレを防ぐ事が可能になります。これによって“過度の高感度による画質劣化”も抑えられるのです。

画像: 大口径標準ズームの望遠端で、絞りを開放に設定して撮影。F2.8の明るさによって、ISO800以下でも十分手持ち撮影が可能なシャッター速度が得られた。また、背後のイルミネーションも、適度にぼかすことができた。 ニコン Z7 II NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S(70mmで撮影) 絞り優先オート F2.8 1/80秒 +0.7補正 WB:電球 ISO720(ISOオート時の値)

大口径標準ズームの望遠端で、絞りを開放に設定して撮影。F2.8の明るさによって、ISO800以下でも十分手持ち撮影が可能なシャッター速度が得られた。また、背後のイルミネーションも、適度にぼかすことができた。
ニコン Z7 II NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S(70mmで撮影) 絞り優先オート F2.8 1/80秒 +0.7補正 WB:電球 ISO720(ISOオート時の値)

望遠ズームレンズ
離れた被写体を切り取り、ボケ効果で雰囲気が出せる

画像: ●ニコン Z7 II+「NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S」 優れた光学性能のレンズを惜しみなく採用した、非常に高性能な大口径望遠ズームレンズ。レンズシフト方式の手ブレ補正機構を内蔵。また、三脚座も装備しているので三脚撮影も快適に行える(横位置と縦位置を変更しても、構図のズレが生じにくい)。

●ニコン Z7 II+「NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S」
優れた光学性能のレンズを惜しみなく採用した、非常に高性能な大口径望遠ズームレンズ。レンズシフト方式の手ブレ補正機構を内蔵。また、三脚座も装備しているので三脚撮影も快適に行える(横位置と縦位置を変更しても、構図のズレが生じにくい)。

離れた被写体を大きく写したり、被写体の前後を大きくぼかしたり、遠方の風景をイメージ通りに切り取ったり。望遠ズームレンズがあれば、そういった標準ズームでは難しい撮影が可能になります。当然、これらの“望遠ズームの作画効果”は、イルミネーション撮影でも役立ちます

そして、望遠ズームレンズにも、開放F値を抑えた(F3.5-5.6など)タイプや、開放F値がズーム全域で明るい(F2.8など)大口径タイプがあります。開放F値を抑えたものだと、望遠端の焦点距離が“300mm相当やそれ以上”と長い製品が多いのが魅力です。そして、開放F値が明るいものだと、開放絞りやその付近での大きなボケ描写が魅力で、画質も多くの開放F値を抑えた製品より優秀です。

ただし、大口径タイプの望遠ズームレンズは、大柄で重い製品が大多数です(マイクロフォーサーズ用の一部の製品を除いて)。そのため、他の撮影機材と一緒に携行する際にはかさ張り、重量的にも負担に感じる事が多くなるでしょう。ただ、逆に言えば、それらの負担を受け入れる事ができれば、輝くイルミネーションを大きくぼかすなど“大口径レンズ特有の描写”が堪能できます。

画像: 望遠ズームレンズは、できれば三脚を使用して撮影したい(三脚禁止ではなく十分なスペースがある場合)。そうれば、構図の安定や微調整が容易になるし、カメラブレを気にせずに低速シャッター撮影も行える。 ニコン Z7 II NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S(115mmで撮影) 絞り優先オート F8 1/2秒 +0.3補正 WB:晴天 ISO64 三脚

望遠ズームレンズは、できれば三脚を使用して撮影したい(三脚禁止ではなく十分なスペースがある場合)。そうれば、構図の安定や微調整が容易になるし、カメラブレを気にせずに低速シャッター撮影も行える。
ニコン Z7 II NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S(115mmで撮影) 絞り優先オート F8 1/2秒 +0.3補正 WB:晴天 ISO64 三脚

中望遠単焦点レンズ
機動性を生かして近くの被写体を多角的に捉えたい

画像: ●オリンパス OM-D E-M1 Mark II+「M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro」 35ミリ判換算で120mm相当になる、少し長めの中望遠マクロレンズ。最大径56mm・フィルター径46mm、重さ185g、という非常にコンパクトで軽快な製品だが、遠方風景から等倍(35ミリ判換算では2倍相当)まで、優れた描写性能を実現。

●オリンパス OM-D E-M1 Mark II+「M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro」
35ミリ判換算で120mm相当になる、少し長めの中望遠マクロレンズ。最大径56mm・フィルター径46mm、重さ185g、という非常にコンパクトで軽快な製品だが、遠方風景から等倍(35ミリ判換算では2倍相当)まで、優れた描写性能を実現。

標準ズームレンズだと、望遠側の焦点距離や開放F値の関係で、思ったようなボケ効果が得られない(特に開放F値がF3.5-5.6などの小型軽量タイプ)。かといって、望遠ズームレンズも、大口径タイプだと携行や取り扱いに負担が生じるし、小型軽量タイプだと開放F値が暗め…。イルミネーション撮影では、このようなジレンマを感じるかもしれません。

そんな時にお薦めしたいのが、35ミリ判換算で100mm前後の中望遠単焦点レンズです。大口径望遠ズームレンズよりも小さくて軽いのに、開放F値はF2より明るい! そんな製品が数多く発売されているのです。ですから、手頃なサイズと価格の中望遠単焦点レンズは、すでに望遠ズームレンズ(小型軽量タイプも含め)を所有している人にもお勧めです。

また、開放F値はF2.8やF3.5でも、小さな被写体を大きく写せる中望遠マクロレンズも魅力的な存在です。イルミネーションの中には、小さくて可愛らしいオーナメント(装飾品や小物など)もたくさんあります。そういう被写体を大きめに写すには、最大撮影倍率が高いマクロレンズが最適です。

画像: クリスマスシーズンのイルミネーションには、その雰囲気を盛り上げる装飾が多く見られる。中望遠マクロレンズを使用して、そんな装飾品の一部をクローズアップ。変化に富んだメタリックな球体に、周囲の色鮮やかなイルミネーションが反射していた。 オリンパス OM-D E-M1 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro 絞り優先オート F3.5 1/10秒 WB:晴天 ISO1600

クリスマスシーズンのイルミネーションには、その雰囲気を盛り上げる装飾が多く見られる。中望遠マクロレンズを使用して、そんな装飾品の一部をクローズアップ。変化に富んだメタリックな球体に、周囲の色鮮やかなイルミネーションが反射していた。
オリンパス OM-D E-M1 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro 絞り優先オート F3.5 1/10秒 WB:晴天 ISO1600

ホワイトバランス

デジタルカメラの基本的な画質調整機能のひとつに、ホワイトバランス(略記はWB)があります。これは、光源の種類や光線状態の違いよって生じる色調の偏りを違いを、望み通りの色調に調整するための機能です。白いモノが白く再現できれば、被写体の色も正しく再現できる。…というのが、ホワイトバランス調整の基準になります。

ホワイトバランスの設定を大まかに分類すると、オートホワイトバランス(略記はAWB)、光源や光線状態別、マニュアルホワイトバランス(※)、色温度指定。この4タイプになります。オートホワイトバランスは、さまざまな光源や状況下でも自然な色再現になるようカメラが自動で調整してくれるモードです。多くの撮影ジャンルと同様、イルミネーション撮影でもオートホワイトバランスは便利で有効なモードです。しかし、イルミネーションの色合いや周囲の状況(明るさや色など)によっては、調整が不十分で偏った色調のままだったり、調整され過ぎて色鮮やかさが失われたり…といった、不満が残る結果になる事もあります。

(※マニュアルホワイトバランス:白色やグレーを基準に測定するモード。ただし、このモードは「プリセットマニュアル」や「ワンタッチ」や「ホワイトセット」など、メーカーによって名称が異なる)

ホワイトバランス設定による色調の違い

まず、最初にオートホワイトバランスで撮影してみましょう。そして、その結果に満足できない場合には、光源の種類や光線状態別になっているモード(太陽光、曇天、日陰、電球、蛍光灯、など)の中から選択すると良いでしょう。ちなみに、イルミネーション撮影では「太陽光」に設定すると、見た目に近い色調になったり、鮮やかな色調に再現できる事が多いようです。

では、夕暮れ空を背景にしたイルミネーション撮影で、各ホワイトバランスの色調の違いをチェックしてみます。その際、イルミネーション自体の色だけでなく、背後の空の色調にも注目したいと思います。

WB:オート

画像: 池の中にあるメインのイルミネーションは、赤みの強い光源に照らされている。その色味が感じられる見た目に近い色調。だが、少し赤みが強い色調のせいか、背後の空の“上部の青い部分”は濁った印象がある。

池の中にあるメインのイルミネーションは、赤みの強い光源に照らされている。その色味が感じられる見た目に近い色調。だが、少し赤みが強い色調のせいか、背後の空の“上部の青い部分”は濁った印象がある。

WB:晴天

画像: オートに近い色調だが、オートと見比べるとわずかに赤みが抑えられている。それによって、背後の空の“上部の青い部分”もクリアで見た目に近い。

オートに近い色調だが、オートと見比べるとわずかに赤みが抑えられている。それによって、背後の空の“上部の青い部分”もクリアで見た目に近い。

WB:電球

画像: 池の中にあるイルミネーションの光源の赤みが抑えられていて、本来の被写体の色に近い描写。この部分の色再現は悪くない。だが、背後のイルミネーションや空を見ると、極端に青みの強い不自然な色調になっている。

池の中にあるイルミネーションの光源の赤みが抑えられていて、本来の被写体の色に近い描写。この部分の色再現は悪くない。だが、背後のイルミネーションや空を見ると、極端に青みの強い不自然な色調になっている。

WB:白色蛍光灯

画像: 使用カメラのホワイトバランスには、7種類の蛍光灯の設定(項目)が用意されている。その中から「白色蛍光灯」を選択。オートや晴天よりも空の青色が鮮やかで、メインのイルミネーションの色も良好。また、電球のような不自然さもない。

使用カメラのホワイトバランスには、7種類の蛍光灯の設定(項目)が用意されている。その中から「白色蛍光灯」を選択。オートや晴天よりも空の青色が鮮やかで、メインのイルミネーションの色も良好。また、電球のような不自然さもない。

イルミネーション撮影に適したホワイトバランスの設定はさまざまです。イルミネーションの種類や周囲の環境、時間帯による自然光の影響の有無。これらの諸条件によって、適切な設定も変わってきます。

今回の撮影では、夕暮れ時の時間帯での“背景の青空”が、大きな注目ポイントでした。この部分の色合いによって、写真全体の印象が大きく変わってくるからです。そういう観点で見ると、「オート」での空は“青色”の鮮やかさが欠けています(別のシチュエーションやカメラの違いなどで結果は変わるでしょうが)。「晴天」の空はオートよりも青色が鮮やかで全体的に肉眼に近い印象です。また、肉眼の印象とは少し異なりますが「白色蛍光灯」の鮮やかで艶やかな色調は、写真表現としては魅力的に感じられました。

絞り設定による“点光源ボケ”の特徴

広い範囲を風景的に狙うのではなく、特定の被写体をメインに狙う。そういう撮影では、被写体の周囲(前後)にあるイルミネーションの点光源を大きくぼかす事で、被写体の存在感が増して、雰囲気も幻想的になります。そういう写真を撮るには、これまで述べてきたように、開放F値の明るい大口径望遠ズームレンズや中望遠単焦点レンズを使い、絞りを開放やその付近に設定して撮影すると良いでしょう。

ですが、点光源が大きくボケるような撮り方をすると、クセのある描写になる事が多くなります。絞りを開放やその付近に設定して撮影すると、画面の周辺部に近い点光源ボケが円形ではなくレモンのような形に描写されるのです。これは「口径食(ビネッティング)」と呼ばれる現象で、レンズに斜めから入射した光が鏡筒などでケラレる(遮られる)ために発生します。そのケラレの度合いは製品によって差がありますが、絞りを絞り込む事で改善されます。

口径食が発生した写真が「良くない」とは言いませんが、点光源ボケの密度やボケ具合によっては、目障りに感じる場合もあります。そういう場合には、少し絞り込んで撮ったり、画面内の点光源ボケを写し込む位置を変えてみたり、といった工夫をすると良いでしょう。

F2.8(開放)

画像: 大口径望遠ズームの望遠端(200mm)で、開放絞りのF2.8で撮影。口径食の影響により、画面中央から外れた点光源ボケ(左側は後ボケ、右側は前ボケ)がレモン形に描写された。

大口径望遠ズームの望遠端(200mm)で、開放絞りのF2.8で撮影。口径食の影響により、画面中央から外れた点光源ボケ(左側は後ボケ、右側は前ボケ)がレモン形に描写された。

F5.6

画像: 同じレンズ条件(絞り値以外)で、開放から2段絞ったF5.6で撮影。ボケの度合いは小さくなり、点光源ボケもF2.8と比べると小さくなっている。だが、絞り込んだおかげで、口径食による“点光源ボケの変形”は、かなり解消されている。

同じレンズ条件(絞り値以外)で、開放から2段絞ったF5.6で撮影。ボケの度合いは小さくなり、点光源ボケもF2.8と比べると小さくなっている。だが、絞り込んだおかげで、口径食による“点光源ボケの変形”は、かなり解消されている。

2段絞って手前の点光源ボケを整える

画像: 池に架かる橋のトンネル状の柵に、緑と赤の色合いが美しいリースが架けてある。そして、池の手前の植え込みには、オレンジ色の電飾が施されていた。その手前にある電飾を“点光源ボケ”として画面内に取り入れる。そして、開放から2段絞る事で、画面周辺の点光源が変形するのを防いだ。 ニコン Z7 II NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S(200mmで撮影) 絞り優先オート F5.6 1秒 WB:晴天 ISO64 三脚

池に架かる橋のトンネル状の柵に、緑と赤の色合いが美しいリースが架けてある。そして、池の手前の植え込みには、オレンジ色の電飾が施されていた。その手前にある電飾を“点光源ボケ”として画面内に取り入れる。そして、開放から2段絞る事で、画面周辺の点光源が変形するのを防いだ。
ニコン Z7 II NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S(200mmで撮影) 絞り優先オート F5.6 1秒 WB:晴天 ISO64 三脚

着眼点とアプローチ

イルミネーションに限らず、自分が満足できる写真を撮るためには、機材の選択や撮影機能を駆使するだけでは十分とは言えません。%%眼前のイルミネーションのどこに魅力や興味を見出すかの着眼点%%。その着眼点を作画に反映させるためのアプローチこの2点が重要になってきます。

複数のイルミネーションがある中から、形や色彩が目を引く部分や組み合わせを見つけましょう。そして、その範囲が最も印象的に見えるカメラポジションやアングルを探ります。そのうえで、適切な範囲が写せる(切り取れる)レンズ画角で撮影するのです。ちなみに、この流れの逆もアリです。つまり、手持ちのレンズ画角を念頭に置きながら、印象的に見えるカメラポジションやアングルを探すのです。

画像: 海中をイメージして作られた、トンネル状のイルミネーションスペース。その出入口前から全体的に撮ったもの。状況はよく分かるが、作品としての面白味やインパクトは弱い。

海中をイメージして作られた、トンネル状のイルミネーションスペース。その出入口前から全体的に撮ったもの。状況はよく分かるが、作品としての面白味やインパクトは弱い。

さまざまなイルミネーションを風景的に捉える場合は、その風景の中に“他とは違うポイント”を見つけて画面内に取り入れると、写真の印象が強まります。また、通りの並木のように“連なるイルミネーション”がある場所では、対角線や放射線を意識した構図を心がけると、奥行きが感じられるダイナミックな写真に仕上がるでしょう。

色鮮やかなエビに注目&肉薄!

画像: いろんなアプローチが考えられる状況だったが、ここでは標準ズームの画角で楽に狙える場所にあったエビを模したイルミネーションに注目。できるだけ近くまで寄って、ズームの広角域で狙う。肉薄する事で臨場感を出しつつ、トンネルの奥行きも感じられるカメラアングルを選んだ。 ニコン Z7 II NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S(24mmで撮影) 絞り優先オート F2.8 1/25秒 +0.3補正 WB:晴天 ISO140

いろんなアプローチが考えられる状況だったが、ここでは標準ズームの画角で楽に狙える場所にあったエビを模したイルミネーションに注目。できるだけ近くまで寄って、ズームの広角域で狙う。肉薄する事で臨場感を出しつつ、トンネルの奥行きも感じられるカメラアングルを選んだ。
ニコン Z7 II NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S(24mmで撮影) 絞り優先オート F2.8 1/25秒 +0.3補正 WB:晴天 ISO140

画像: 遊歩道が交差する場所の中央に、ひと際目を引くツリー状のイルミネーション。そのシンボリックな被写体をメインに、標準ズームの広角域で周囲の“さまざまな明かり”を取り入れながら撮影。雰囲気は悪くないが、いろんな要素によって雑多な印象になった。

遊歩道が交差する場所の中央に、ひと際目を引くツリー状のイルミネーション。そのシンボリックな被写体をメインに、標準ズームの広角域で周囲の“さまざまな明かり”を取り入れながら撮影。雰囲気は悪くないが、いろんな要素によって雑多な印象になった。

低い位置から奥行きを意識した構図に

画像: ツリー状のイルミネーションから少し離れた広い遊歩道の中央に移動し、しゃがんだ体勢で少し見上げる恰好で撮影。シンボリックなツリーを画面中央下に入れながら、標準ズームの広角域で周囲の並木が放射状に広がるイメージで写し込む。 ニコン Z7 II NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S(24mmで撮影) 絞り優先オート F5.6 1/5秒 -0.3補正 WB:オート ISO1600

ツリー状のイルミネーションから少し離れた広い遊歩道の中央に移動し、しゃがんだ体勢で少し見上げる恰好で撮影。シンボリックなツリーを画面中央下に入れながら、標準ズームの広角域で周囲の並木が放射状に広がるイメージで写し込む。
ニコン Z7 II NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S(24mmで撮影) 絞り優先オート F5.6 1/5秒 -0.3補正 WB:オート ISO1600

位置移動で前後の点光源ボケを生かす

画像: 使用レンズは120mm相当の中望遠マクロレンズ。その画角をイメージしながら、近づいて撮れる被写体を物色。そして、植え込みの中に置かれたウサギの像に着目。その斜め後ろの位置に移動し、カメラ位置を思いっきり下げる。そうする事で、背後に見える青白いイルミネーションと同時に、手前にある植え込みの光も“点光源ボケ”として取り入れた。 オリンパス OM-D E-M1 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro 絞り優先オート F2.8 1/25秒 +0.3補正 WB:晴天 ISO1600
使用レンズは120mm相当の中望遠マクロレンズ。その画角をイメージしながら、近づいて撮れる被写体を物色。そして、植え込みの中に置かれたウサギの像に着目。その斜め後ろの位置に移動し、カメラ位置を思いっきり下げる。そうする事で、背後に見える青白いイルミネーションと同時に、手前にある植え込みの光も“点光源ボケ”として取り入れた。
オリンパス OM-D E-M1 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro 絞り優先オート F2.8 1/25秒 +0.3補正 WB:晴天 ISO1600
画像: 木の幹の電飾、植え込みの花や葉、いくつかの動物像。そして、その先に見える数々のイルミネーション。いろんな要素の中から、自分が「面白い」とか「美しい」と感じる部分を見つけ、それが伝わるアプローチを心がける。
木の幹の電飾、植え込みの花や葉、いくつかの動物像。そして、その先に見える数々のイルミネーション。いろんな要素の中から、自分が「面白い」とか「美しい」と感じる部分を見つけ、それが伝わるアプローチを心がける。

まとめ

デジタルカメラの性能向上(高感度画質や手ブレ補正機能など)によって、夜間の撮影が誰でも簡単に行えるようになりました。ですから、ライトアップされた建造物やイルミネーション風景にカメラを向けるケースも多くなるでしょう。しかし、実際に撮影してみると、その場で感じているイルミネーションの美しさや臨場感が出ていない…。そう感じる事も多いものです。

しかし、使用するカメラやレンズの機能や特徴(特長)を理解して撮影に臨めば、その場で感じた美しさや臨場感が写真でも表現できるようになるでしょう。さらに、その“写真の基礎力”を上げたうえで、自分の趣向や興味で被写体を観察&アプローチ。そうすれば、満足度の高いイルミネーション写真に仕上がるはずです。

撮影・文/吉森信哉

This article is a sponsored article by
''.