ワンセグ搭載機種が減った最大の理由は、利用者のニーズが減ったから。通信速度の向上により、スマホでは動画を快適に視聴できる。『Netflix(ネットフリックス)』『Amazon(アマゾン)プライム・ビデオ』などの動画配信サービスは、テレビとは異なり、好きな時間に視聴可能でワンセグよりも高画質だ。
最近のスマホにワンセグ機能がないのはなぜ?
読者からの質問
以前はガラケーやスマホによく搭載されていたワンセグ/フルセグ機能が、今はあまり見かけなくなったのはなぜなんでしょう。最近また地震が多くなってきたように思うし、災害時の情報収集には有用だと思うのですが……(ネット障害のときも使えますし)。(T.Sさん 大阪府 49歳)
編集部:
この質問は、ITライターの村元正剛さんに聞きましょう。
専門家の回答
専門家:
「かつては、防水、おサイフケータイと並んで、ケータイに欠かせない機能と思われていたテレビ放送受信のワンセグ。スマホが主流になってからも、多くの機種が搭載し、より高画質で見られるフルセグに対応する機種もありました。しかし、ここ数年、ワンセグ/フルセグを視聴できるスマホは減りつつあります。
例えば、ドコモは2021年3月現在、19機種のAndroidスマホを販売していますが、そのうちワンセグを搭載しているのは、AQUOS(アクオス) R5G、Xperia(エクスペリア) 1 II、Xperia XZ3、らくらくスマートフォンの4機種のみ。圧倒的なシェアを持つiPhoneも搭載していないので、もはやワンセグを見ている人は少数派といえるでしょう。
ワンセグ搭載機種が減った最大の理由は、利用者のニーズが減ったからです。通信速度の向上により、スマホでは動画を快適に視聴できるようになりました。『Netflix(ネットフリックス)』『Amazon(アマゾン)プライム・ビデオ』などの動画配信サービスは、テレビとは異なり、好きな時間に視聴することができますし、ワンセグよりも高画質で楽しめます。今や最新ニュースの動画もスマホで見られます。『TVer(ティーバー)』などのアプリでは、見逃したテレビ番組を見ることもできます。したがって、外出時にリアルタイムでテレビ番組を見たい人は少なくなっていると推測されます」
編集部:
なるほど。スマホで見られる動画の種類が激増したのですね。
専門家:
「また、2019年3月にはワンセグ付きの携帯電話だけを持っていたとしてもNHK受信料の支払い義務が生じるという最高裁の判決が出ました。以前は『ないよりはあったほうがいい』と思われていたワンセグですが、今は『ないほうがいい』と考える人もいるわけです。これも、メーカーがワンセグ搭載を見送るようになった理由の一つかもしれません。
さらに、ワンセグ搭載機種の多くは、視聴する際に付属のアンテナケーブルを付けなくてはならず、使い勝手もいいとはいえません。ワンセグのニーズは、今後も下がっていくと予測されます。
全国どこでも受信できるワンセグは、災害発生時などに情報源として役立つことはいうまでもありません。しかし、非常時の通信環境は改善されつつあります。災害時に備えて、NHKのテレビ番組が見られる『NHKプラス』や、ラジオが聴ける『radiko(ラジコ)』などのアプリをインストールしておくことをおすすめします」
編集部:
了解しました。ありがとうございます!