【味噌の作り方】手作りレシピは材料3つだけ!仕込み時期やカビ対策を初心者向けに紹介

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発酵食品ブームが続くなか、日本の食卓に欠かせない調味料である味噌(みそ)を手作りする人が増えています。無添加のおいしい味噌を食べるなら、断然、自家製がおすすめです。「難しそう」と思うかもしれませんが、びっくりするくらい簡単!コロナ禍のホームステイ生活やゴールデンウイークを利用して、自宅で味噌づくりに挑戦しませんか。

昔は家庭で味噌を作っていた

「手前味噌ですが…」という言葉があるように、昔は各家庭で味噌を作り、その出来栄えをさりげなく自慢していたとか。それだけ、味噌は誰でも簡単にできる調味料なのです。今では味噌を買うのが当たり前となり、私自身、「自家製なんてムリ!」と思っていました。ところが、昨年コロナ禍のホームステイ生活のなか、初めて味噌づくりにチャレンジしたところ、思った以上に簡単でびっくり!茹でた大豆を潰し、塩と米こうじを混ぜて放置するだけ。添加物を一切使用しない好環境のなか、微生物の力によって昔ながらのおいしい味噌ができるんです!

味噌は栄養豊富&機能性の高い発酵食品

大豆から作られる味噌は、植物性たんぱく質に富み、人間に必要な必須アミノ酸が豊富に含まれる発酵食品です。人間にとって有益な微生物の活動は「発酵」、一方で不利益な結果をもたらせるものを「腐敗」と言います。味噌は、発酵によって保存性が高まり、深みのある味わいや香り、栄養価も向上しているのです。近年では、人間の健康維持に寄与する機能性が解明され、5つのアミノ酸が結合したペプチドには高血圧を防ぐ効果があるそう。そんな万能食材の味噌には、数多くのことわざがあります。

<味噌にまつわることわざ>
●味噌は医者いらず…健康維持に大きな効用がある
●味噌汁一杯三里の力…朝飲んだ味噌汁一杯で、三里を歩く力がつく
●味噌を買う家には蔵が建たない…自家製味噌が当たり前だった昔、その味噌を買うようでは金はたまらないと言われた
●女房と味噌は古いほどよい… 何事も古いほど味わいが深くなる

材料は大豆・塩・米こうじだけ!

自家製味噌で必要な材料は、大豆・塩・米こうじの3つだけ。保存料無添加、無着色の安心・安全な味噌が作れます。大豆や塩はスーパーで、米こうじは米や味噌、こうじを扱う専門店やネット通販で購入できます。材料とプラスチック桶のついた「手作り味噌セット」も販売されています。ちなみに京都在住の私は、近所の農産物直売所で、加藤商店の「手作り味噌セット」を予約購入しました。加藤商店ではネット販売を行い、全国発送もしています。
▼加藤みそオンラインストア(公式サイト)

味噌を仕込む時期は?

味噌の仕込みは、一年中いつでも可能です。昔は「寒仕込み」と言われ、1・2月の寒い冬の時期に仕込み、実りの秋や鍋物を楽しむ冬にいただくのが一般的でした。10ヵ月ほど時間をかけて熟成させるので色が濃く、お味噌の風味や旨味が強いことが特徴です。一方、3~5月の春に仕込むと寒仕込みより熟成期間が短く、色鮮やかな旨味のある味噌になります。夏は気温が高くなり、熟成中に雑菌が混入しやすくなりますが、殺菌したキレイな容器を使い、風通しの良い冷暗所に保存すれば、ほぼ失敗はありません。これから仕込めば、半年後にはおいしい味噌を味わえますよ。

<参考文献>
『「発酵」のことが一冊でまるごとわかる』(著者/齋藤勝裕 発行/ベレ出版) 『発酵食品の化学 第3版』(著者/坂本卓 発行/日刊工業新聞社) 『マンガで読む発酵の世界』(著者/黒沼真由美 監修/舘博 発行/緑書房) 『味噌大全』(監修/渡邊敦光 発行/東京堂出版) 『素材がよろこぶ 調味料の便利帳』(発行/高橋書店)

味噌づくりに挑戦しよう!

必要なのは技ではなく、腕力と根気です

昔から各家庭で作っていた自家製味噌には、プロの技は必要なし。料理が苦手な人、ふだん料理をしない人でも大丈夫です。ただし、大量に茹でた大豆を潰したり、塩や米こうじと混ぜ合わたりするのに、腕力と根気が必要です。できれば1人ではなく、家族や友人に協力してもらいましょう。ちなみに私は高校生の息子と2人で作りました。

以下、加藤商店の「手作り味噌セット」に付いていたレシピを基に、材料と作り方を紹介します。

自家製味噌の材料(出来上がり約4kg)と道具

◎大豆…1kg
◎米こうじ…1.3kg
◎塩…400g

◎仕込み用桶…1樽(5キロのプラスチック桶を使用)
◎ビニール袋(5キロ用)…1枚

そのほかに大豆を茹でる大鍋(5リットル以上)、大豆・米こうじ・塩を混ぜる大鍋や寿司桶などを用意しましょう。

手作り味噌セットの大豆・米こうじ・塩。すべて国産です。

プラスチック桶とビニール袋。そのほかに大きな鍋も用意。

自家製味噌の作り方

(1)大豆を洗い、4リットルの水に一晩浸ける。(豆がすべて水に浸かり、さらに少しかぶるくらい)

翌朝には1.5倍くらいに膨らみます。

(2) 鍋に、水けを切った(1)の大豆と新しい水(大豆の2倍の量)を入れ、火にかける。最初は強火、沸騰したら弱火で吹きこぼれないように煮る。途中、アクが出たら取り、煮汁が少なくなっ水を足す。指で軽く豆を挟んでつぶれるくらいまで、、3~4時間コトコトと煮る。

我が家の大鍋2つに分けて煮ました。

沸騰するとアクがたくさん!大豆のいい香りが漂ってきました。

朝7時から11時まで、4時間ほど煮たら大豆は柔らかく仕上がりました。

(3) (2)の大豆をざるにあける。煮汁は少量残しておく。すりこ木、ビンの底などで大豆を潰す(フードプロセッサーで潰してもよい)。

私はビニール袋に大豆を入れ、麺棒で潰してからすり鉢で潰しました。この方法が一番効率的だと思います。

ビニール袋に入れ、破れないように気をつけながら麺棒で潰します。

すり鉢で潰すのには、かなりの力が必要です。

(4)米こうじと塩を混ぜる。混ぜ過ぎて米こうじをつぶさないように気をつける。

大きくて深い容器があると便利!私は米こうじを3等分しました。

丁寧に混ぜ合わせると、米こうじの香りが立ち上ってきます。

(5)潰した大豆も3等分して、それぞれの鍋に少しずつ加えてよく混ぜ合わせる。このとき、粘土くらいの硬さがちょうどいいが、少し硬ければ、取っておいた煮汁を加えて調整する。

色は薄いですが、見た目は味噌そのもの。

(6)殺菌済みのプラスチック桶にビニール袋をセットする。混ぜ合わせた(5)をおにぎり大のだんご状に丸め、「みそ玉」にする。みそ玉を桶に3~4個ずつ詰めて上から押し、しっかりと空気を抜くのを繰り返す。隅々まできっちり詰めること。

空気に触れるとカビが発生しやすいので、ぎゅっと詰め込みます。

(7)表面を平らにして、ラップでぴったりと覆う。その上に塩を大量に敷きつめてから、桶の蓋をしたら完成。

塩が雑菌の繁殖を防ぎます。代わりに酒粕を使っても。

保管場所・成功のポイント

▼直射日光の当たらない、通気性のいい場所(床下収納など)に保管。半年~1年かけて熟成させる。熟成時間が長いほど、味がまろやかになります。

▼味噌は、空気に触れるとカビが発生しやすいので注意。たまに確認して、カビが出ていてたら取り除きましょう。重石をすると、水分が上がってきて表面を覆って空気に触れなくなるため、カビが出にくくなります。

まとめ

4時間かけてグツグツと大豆を煮て、茹で上がったらすり鉢で潰したり、塩や米こうじと混ぜ合わせたり。パン生地を捏ねる感覚に似ていて、ほっこりと穏やかな気持ちになりました。高校生の息子とおよそ2時間、大豆の香りに包まれながら、学校のことや部活、趣味のことなど、いろんな話をしました。こんなにゆっくりと話したのは久しぶり。穏やかな休日を過ごせたことが、とっても幸せでした。
昨年仕込んだ自家製味噌は、潰しきれなかった丸ごと大豆が残っていたりして、不細工でした。けれど、自分たちで作ったので愛着がありますし、完全無添加なので安心。最後まで大切に、おいしくいただきました。今回仕込んだ味噌も、半年後には出来上がります。今年も、味噌汁や田楽、鍋など、いろんな料理を楽しみたいと思います。

■文:藤田美佐子
京都市在住。フリーランスの編集兼ライターとして観光、食、求人、医療、ブライダルなど幅広い取材・執筆活動を行う。1児の母。趣味はマラソン・トレラン、美味しいものを食べたり、つくることが大好きな食いしん坊。

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