【扉の修理DIY】プロに教わったコツは「完全分解」 経年劣化で外れてしまった折戸を元どおりに直すには

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筆者は、亡き父が建てた実家の建物に、妻と息子の三人で住んでいます。築年数は30年を超えているので、壁紙を貼り替えたり、屋根を塗り替えたりはしたものの、それなりに快適です。しかし、クローゼットや室内ドアなどに用いられる「折戸」がバラバラに崩れ、上手に直せないことには困っていました。そこで、内装や建具のプロである友人に、素人でも直せる方法とコツを教えてもらいました。その方法をみなさんにもお伝えしたいと思います。

執筆者のプロフィール

齋藤千歳(さいとう・ちとせ)

元月刊カメラ誌編集者。新しいレンズやカメラをみると、解像力やぼけディスク、周辺光量といったチャートを撮影したくなる性癖があり、それらをまとめたAmazon Kindle電子書籍「レンズデータベース」などを出版中。まとめたデータを元にしたレンズやカメラのレビューも多い。使ったもの、買ったものをレビューしたくなるクセもあり、カメラアクセサリー、車中泊・キャンピングカーグッズなどの記事も執筆。現在は昨年8月に生まれた息子と妻の3人、キャンピングカー生活にハマっており、約1カ月かけて北海道を一周するなどしている。

経年劣化で壊れる

木製の扉は木が痩せて外れてしまう

「折戸」は、扉を折りたたむかたちで開けるドアのことです。扉を開ける際に必要なスペースが小さいので、狭い場所でも開閉が便利で、廊下に面したトイレのドアなどにもよく使われます。

筆者の家では、クローゼットの扉が折戸でした。木製の折戸なのですが、すべてというわけではありませんが、多くの扉は接合部分が外れて、扉としての機能を果たさない状態なっていたのです。このことを友人の「株式会社 道産木」の代表取締役である松岡正文さんに相談したところ、修理の方法とコツを教えてもらえることになりました。

「株式会社 道産木」の代表取締役である松岡正文さん。

木製の「折戸」は、ある程度の期間が経過すると、使用した木材がさらに乾燥して痩せるため、どうしても接合部があまくなり、外れてしまうといいます。まずは、これを分解するところから教えてもらいました。

必要な道具

特殊な道具は「釘〆」くらい

最低限必要な道具は
・プラスとマイナスのドライバー
・スパナ
・ハンマー
・カッター
・木工用ボンド
・釘〆

新しく購入したのは一番右の「釘〆」くらい。

折戸の金具などを外すためのプラスとマイナスのドライバー、そして折戸を取り外す際の金具を緩めるスパナ。分解した扉を再度組み立てる際に使うハンマー。分解した折戸を再度組み立てる際に接着に使う木工用ボンド。そして、邪魔な釘を奥まで打ち込むのに釘〆を使います。カッターとハンマーの間にある四角い物は、扉を再度組み立てるときに当てる板。基本的になんでもいいそうです。

おそらく特殊な道具は釘〆くらいでしょう。筆者は近所のホームセンターで数百円で購入しました。さほど高い道具ではありません。また、ドライバーについては、電動のものがあると作業が格段に楽になります。

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2021-07-26 16:08

まずは折戸を外す

折戸上部の金具を緩めると簡単に外れる

折戸は、上部の軸を固定している金具を緩めると簡単に外れます。写真では、まず折戸を閉じた状態でスパナを使って、金具を緩めています。

扉の上部を固定する金具を緩める。

筆者の家の折戸には、スパナでもプラスドライバーでも回すことのできる金具が使われていました。松岡さんはプラスドライバーで簡単に緩めていましたが、素人の筆者には、ねじ穴をなめる可能性のないスパナでの作業のほうが簡単に感じました。

素人にはスパナの方が楽だった。

金具を緩めて、「折戸」全体を斜めにすると、簡単に外れます。

階段わきのクローゼットです。

最大のコツは完全分解

急がば回れが実はプロのテクニック

外した折戸は、木が痩せて接合部が外れてしまっています。筆者は、接合部の外れた部分にだけ木工用ボンドを入れて、接着するのかと思いました。しかし、松岡さんからの指示は「基本的に金具はすべて外して分解します」というもの。

金具はすべて外す。

折戸の折れる部分の金具、さらに取っ手の金具なども外して分解します。取っ手まで外すのは、この後の分解・再組み立て作業を平らな状態で行えるようにするための準備です。

接合の弱い部分はすべて分解しよう

木の組み合わせなどでついていた部分は、木が痩せて弱くなっていることもあるので、弱くなっているところはすべて外してしまうのがおすすめだといいます。そのため、しっかりとくっついている部分以外は分解します。

しっかりくっついている部分以外は分解する。

接着部分をしっかり清掃する

弱くなった部分を分解すると、木が痩せただけでなく、接着剤も弱くなって、そのカスのようなものが付いている部分があります。このカスは、新しい接着剤を流し込み時に邪魔になりますし、粘着力を弱める可能性が高いので、カッターで削り取って除去します。

接着剤のカスはカッターで削り取る。

さらに、扉の板がはめ込んであった溝を確認すると、斜めに打ち込んだ隠し釘がみつかりました。これは無理に抜くと扉を傷つけてしまうので、マイナスドライバーで少し起こして、釘〆で打ち込んで処理します。

小さな凹凸の見逃さず処理する。

「小さな釘くらい」と筆者は思ってしまうのですが、このような小さな凹凸をしっかりと処理しておくことが、再組み立ての強度に影響するそうです。横着をせずにしっかり打ち込んで処理しておきましょう。

木工用ボンドを流し込み再組み立て

接合の弱くなっている部分を分解し、ボンドのカスや釘などを処理した扉の接合部の凹部分に、木工用ボンドを流し込んでいきます。組み上げたときに多少はみ出しても、濡れた雑巾で拭いて除去することもできますし、木工用ボンドは乾くと透明になるので、あまり目立ちません。多めに塗っておくのがコツだそうです。

木工用ボンドは多めに塗るのがコツ。

木工用ボンドを塗った扉を、再度組み立てます。木が痩せて、緩くなり、抜けた部分が多ので、簡単に組み直せることが多いですが、きつい部分はハンマーで叩いて組み込んでいきます。この際に、扉を直接叩くとキズがつくので、薄い板などを当てて叩くとキズができづらいそうです。

冒頭の「必要な道具」に出てきた「板」がここで登場。

組み立て直したら、平らな状態で24時間ほど乾燥させます。

24時間寝かせる。

購入すると、そこそこ高価なので、今回は使用しませんでしたが、クランプ(締め具)などを使って圧着するほうが、より強固に接着ができるそうです。

取り付けて完成

取り付けも上部の金具を緩めて行う

木工用ボンドが乾いたら、外した金具や取っ手などを付け直して、折戸を元の状態に戻します。

金具や取っ手を付け直す。

折戸を外したときと同じように上部の金具を緩めて、折戸の下の金具を差し込み、斜めにした状態で上の金具に折戸上部の金具を差し込みます。スライドさせながら、まっすぐな状態に戻しましょう。

上部の金具を緩める。

そして最後に、緩めた上部の金具をスパナで締めて、固定すれば修理は完了です。

まとめ

電動ドライバーだけは用意しておくことをおすすめする

職人さんにお願いしたら、最低でもやはり数万円の出費を覚悟しなくてはいけない修繕です。自分でやれば時間はかかりますが、数百円から数千円の道具代やボンド代で済むのは大きなメリットでしょう。実際に教えてもらいながら作業を進めると、さほど難しいことはありませんでした。素人でもできるように、複雑な作業を省いてもらっているおかげもあります。

ただし、扉を分解・再度組み立てを行うには、かなり本数のネジを外し、取り付けなくてはいけません。手回しのドライバーでは、疲労がすさまじいと予想されます。できれば、電動ドライバーだけは用意しておくことをおすすめします。ちなみに筆者は、壊れている折戸すべてを直すために、「IRIS OHYAMA 充電式インパクトドライバ JID80」を購入しました。

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取材協力

株式会社 道産木 松岡正文さん

今回、修理を教えてもらった、株式会社 道産木の松岡正文さん。内装や建具のスペシャリスト。住まいの困ったがあれば、ぜひ気軽に相談してほしいといいます。筆者は、自宅内部の細かな「困った」をいろいろと相談しています。
▼株式会社 道産木(公式サイト)

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齋藤千歳(フォトグラファーライター)

元月刊カメラ誌編集者。新しいレンズやカメラをみると、解像力やぼけディスク、周辺光量といったチャートを撮影したくなる性癖があり、それらをまとめたAmazon Kindle電子書籍「レンズデータベース」などを出版中。まとめたデータを元にしたレンズやカメラのレビューも多い。使ったもの、買ったものをレビューしたくなるクセもあり、カメラアクセサリー、車中泊・キャンピングカーグッズなどの記事も執筆。現在はキャンピングカーを「方丈号」と名付け、約9㎡の仕事部屋として、車内で撮影や執筆・レビューなどを行っている。北海道の美しい風景や魅力を発信できればと活動中。

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