ネットミーティングに、テレワークの会議、プレゼン、さらにはYouTube動画まで、WEBカメラによる顔画像にすっかり慣れたかたも多いでしょう。そして、まったく動きと意味のない顔画像は、出欠確認以上に価値がないと思っているのは、筆者だけではないと信じたい。そんななか、ケンコー・トキナーがクラウドファンディングで販売を開始した、多用途4K画質WEBカメラ「KZ-DC4K」を発見。これなら意味のある動画が撮れると確信し、発売前に導入、実際にテストしてみました。その感想をお伝えします。
執筆者のプロフィール
齋藤千歳(さいとう・ちとせ)
元月刊カメラ誌編集者。新しいレンズやカメラをみると、解像力やぼけディスク、周辺光量といったチャートを撮影したくなる性癖があり、それらをまとめたAmazon Kindle電子書籍「レンズデータベース」などを出版中。まとめたデータを元にしたレンズやカメラのレビューも多い。使ったもの、買ったものをレビューしたくなるクセもあり、カメラアクセサリー、車中泊・キャンピングカーグッズなどの記事も執筆。現在はキャンピングカーを「方丈号」と名付け、約9平方メートルの仕事部屋として、車内で撮影や執筆・レビューなどを行っている。
撮影角度が自由自在の「KZ-DC4K」
カメラアクセサリーメーカーが作る「ガチ」のWEBカメラ
みなさんはWEBカメラに興味がありますか?筆者はまったくありません。オンライン会議にWEBミーティング、Zoomなどなど、ノートパソコンに内蔵のカメラで十分じゃありませんか?4K画像で毎日眺めていたい上司や同僚、部下、取引先に囲まれた職場なんてないでしょ!同時に、「出欠を確認したら、みんな面白い動きのアバターにすればいいのに」。筆者は強くそう思うのです。
そんな筆者が、現在Makuakeにてクラウドファンディング中で、まだ発売前のWEBカメラを、かなり強引に借りてきました。商品名は「KZ-DC4K」。カメラアクセサリーメーカーとして有名なケンコー・トキナーの製品です。
クラウドファンディング後の一般販売予定価格は、19,800円(税込)。「会議用のWEBカメラなんてなんでもいい」と思っている筆者にとっては、かなりいいお値段。しかし、その価値がありそうなアイテムなのです。
相手に伝えたい情報を適切なアングルで撮影できる
筆者が会議用のWEBカメラが嫌いなのは、「会議に参加していますよ」という監視カメラ以上の役割を果たさないから。映像がなければ、「ワイヤレスで話だけを聞きながら、トイレにも行けるのに」などと思うわけです。
また、オフラインのリアルな会議なら、わかりづらい部分はその場でメモを書いて図で説明したり、現物やサンプルを持ち込んだりして、参加者に具体的な説明をするのが普通でしょう。しかし、一般的なWEBカメラは、撮影角度の制限などから、動画撮影機能がありながら、その役割を果たすことができない。そのため筆者は興味がないのです。
しかし、「KZ-DC4K」は金属製のしっかりとしたアームで、撮影角度を自由に調整できます。そのため、資料や商品などを真上から撮影する俯瞰撮影も可能。Windowsなら最大A3用紙相当の範囲を俯瞰撮影できる、つまり、A4の資料を見開きで撮影できるわけです。これなら会議中、ほとんど意味のない「顔」ではなく、「伝えたい情報」を伝えることができます。まさに意味のある動画情報を、オンラインの会議に持ち込めるといえるでしょう。
また、「KZ-DC4K」はその名のとおり4K(約800万画素)での動画撮影に対応、高画質な動画を扱うことができます。ただし、リアルタイムのオンライン会議などでは、4K動画は回線速度などの問題で現実的ではありません。将来的に、より高画質な動画が使えるので、長く使えるといったところでしょうか。
折りたたむと厚さは約1.4cm!出張にも楽々持参
メモを取る手元や商品などを真上から撮る俯瞰撮影は、昔からある手法ですが、カメラの設置などが大がかりになり、なかなか手軽にはできませんでした。ところが「KZ-DC4K」は、これ単体で簡単に俯瞰撮影を実現。しかも、折りたたむと厚さは約1.4cm、幅が約6.5cm、長さは約22cmとコンパクトに。重さが約365gあるのでけっこうずっしりしますが、上着の内ポケットに入るサイズです。出張先でノートパソコンにつなぎ、現物やサンプルなどを動画で解説しながら見せるといったシーンでは、非常に重宝です。USBケーブルを接続するだけのプラグインプレイ仕様なので、特別な設定が不要なのもうれしいところ。Windowsは8(32/62bit)〜/10(32/62bit)/Windows11、Mac OS 12.0.1以降に対応します。
顔よりも手元を見せて解説したい
簡単に俯瞰撮影できるのが本当に便利!
本来まったく興味のないWEBカメラである「KZ-DC4K」を、筆者が強引にお借りしてでも使ってみたかったのには、理由があります。これならば簡単に、手元での操作の様子を動画で見せられると思ったからです。
WEBでの会議などでは、途中で撮影アングルを変えて、手元撮影にすればよいのでしょう。しかし筆者は、YouTubeでの解説動画の一部として、俯瞰からの撮影画像を入れたいと考えました。そのため「KZ-DC4K」のアングルは俯瞰で固定しています。
実験的な撮影として、過去に特選街webでも紹介した「SLIK スマホ&タブレットホルダー」を解説しました。やはり手元の動画が撮影できると、わかりやすさが格段に上がります。
手元での現物の操作だけでなく、本などの紙の資料やメモなどの情報も共有しやすいのも助かります。「KZ-DC4K」は、WEBカメラの役割を大きく広げてくれるように感じました。
まとめ
最初は顔を出してあいさつし、その後は資料を写しておく
ある意味「KZ-DC4K」は、撮影角度が自由になるという機能だけで、WEBカメラの使い道を広げてくれたといえます。筆者であればカメラの操作の様子を撮影するのに便利ですし、人によっては、イラストの書き方やお習字、編み物などなど、動画で伝えたいことのある方にとっては、非常に優れたWEBカメラといえるでしょう。そんなガチな人々向けのWEBカメラなので、一般販売予定価格19,800円(税込)は妥当とも言えますが、クラウドファンディングでの割引を利用するのもおすすめです。
また筆者の場合、WEB会議では最初に一度顔を出してあいさつをしたあとは、資料にカメラを向けてしまいます。そうすると、「再度顔を写すように」と言われることはない傾向にあります。この点も、非常に助かるアイテムだと思っています。