人がはじめて電気の存在に気づいたのは、紀元前600年頃だとされています。古代ギリシャの「七賢人」のひとりとされるタレスが、偶然起こった現象から、静電気の存在に気づきました。タレスはピラミッドの高さを計測したといわれています。タレスがどのように静電気を見つけたのか、静電気のしくみとは、について紹介します。
解説者のプロフィール
一般財団法人 エネルギー総合工学研究所
1978年4月1日「財団法人エネルギー総合工学研究所」として設立。「エネルギーの未来を拓くのは技術である」との認識のもと、シンクタンクとしての研究活動を続けている。対象分野は地球環境、新エネルギー、電力システム、水素エネルギー、炭素循環エネルギー、原子力と多岐にわたり、とくに昨今では、CO2 の有効利用技術開発推進やカーボンニュートラルなど、脱炭素エネルギーシステム分野での最先端の情報を有する。著書に『図解でわかるカーボンニュートラル』(技術評論社)など。
本稿は『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! エネルギーのしくみ』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
イラスト/添田あき、堀口順一朗、北嶋京輔
電気の存在がはじめてわかったのはいつ?
古代ギリシャ人が、琥珀を布でこすって「静電気」を見つけたのが最初!
人がはじめて電気の存在に気づいたのは、今から約2600年前の紀元前600年頃だとされています。
古代ギリシャの哲学者タレスが、琥珀を布や皮でこすると、ほこりや鳥の羽根などの軽い物体を引きつける力が生まれることに気づきました。
タレスの静電気の発見
古代ギリシャの哲学者タレスは、偶然起こった現象から、静電気の存在に気づいた。
布でこすったあと、琥珀がほこりや鳥の羽根などを引き寄あ。タレスはこれを、磁気による現象だと考えていた。
▼エネルギーの重要人物
タレス(紀元前624年頃~紀元前546年頃)
古代ギリシャの哲学者。円の直径に対する円周角は直角であるという「タレスの定理」を証明したり、測量術を用いて日食を予測したりと、マルチに活躍した。
本稿は『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! エネルギーのしくみ』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
電気の語源
琥珀とは、数千万年から数億年前に樹木から分泌された樹脂が土砂などに埋もれて姿を変えた、茶色い石のような物質です。
大昔に地中に埋もれたマツなどの樹脂が、化学変化を起こして石のようになっています。
もしかするとタレスは、古代ギリシャで宝石として装飾品に使われていた琥珀の美しさを引き出すために、布で磨いていたのかもしれません。
当時はまだ、この物を引き付ける力が静電気であることはわかっておらず、タレスもこの力を「磁気」によるものだと考えていたようです。
しかし、静電気の正体が明らかになり、琥珀を示す古代ギリシャ語の「elektron」が、のちに電気「electricity」の語源となりました。
タレスは古代ギリシャの「七賢人」のひとりとされる哲学者で、天文学や測量術の研究をしていました。
幾何学や土木技術にも通じていて、ピラミッドの高さを計測したといわれています。
静電気のしくみ
-(マイナス)の電気が放出される現象が、静電気の正体。人に向けて-の電気が放出されると、体内に電流が流れて、軽い痛みを感じる。
(1)人や物は+と-の電気を均等にもっているが、摩擦が生じると、+が多い状態になる。
(2)金属に触れると、金属の-の電気が人体の+に引き寄せられ痛みを感じる。
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なお、本稿は書籍『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! エネルギーのしくみ』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。近年、「エネルギー問題」や「再生可能エネルギー」という言葉をよく耳にします。「エネルギーって、なに?」と尋ねられたとき、適切に答えるのはなかなか難しいことです。この本を読めば、エネルギーとは何か、という基本的な知識が理解できます。同時に、私たちはその存在に気づかないうちに、数多くのエネルギーに囲まれて生活していることがわかると思います。エネルギーがなければ、世界中の人々の生活や経済活動が成り立ちません。一方、地球温暖化対策や脱炭素化により、エネルギーをめぐる状況は大きな転換期を迎えています。本書では、エネルギーの学問的な基礎知識に加え、最新の科学技術や、エネルギーにまつわる国際的なデータや制度についてなど、重要でおもしろいトピックをイラストと図解でわかりやすく説明しています。