昆虫を食べると温暖化を防げるでしょうか? 昆虫を食べるなんて考えられない、と思う人もいるかもしれませんね。しかし昆虫は、東南アジアやアフリカでは、いまでも広く食べられていますし、日本にもイナゴやハチの幼虫を食べる地域があります。じつは昆虫を食べる「昆虫食」は、エネルギー問題の観点からもとても注目されています。「昆虫食」について解説します。
解説者のプロフィール
一般財団法人 エネルギー総合工学研究所
1978年4月1日「財団法人エネルギー総合工学研究所」として設立。「エネルギーの未来を拓くのは技術である」との認識のもと、シンクタンクとしての研究活動を続けている。対象分野は地球環境、新エネルギー、電力システム、水素エネルギー、炭素循環エネルギー、原子力と多岐にわたり、とくに昨今では、CO2 の有効利用技術開発推進やカーボンニュートラルなど、脱炭素エネルギーシステム分野での最先端の情報を有する。著書に『図解でわかるカーボンニュートラル』(技術評論社)など。
本稿は『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! エネルギーのしくみ』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
イラスト/添田あき、堀口順一朗、北嶋京輔
昆虫を食べると温暖化を防げる?
昆虫は育てる過程で、森林伐採しなくてよいので環境にやさしい!
昆虫を食べるなんて考えられない、と思う人もいるかもしれませんね。
しかし昆虫は、東南アジアやアフリカでは、いまでも広く食べられていますし、日本にもイナゴやハチの幼虫を食べる地域があります。
じつは昆虫を食べる「昆虫食」は、エネルギー問題の観点からもとても注目されています。どうしてでしょうか?
昆虫食のメリット
まず、昆虫を育てる場合には、農場や農地のような広い敷地を必要としません。
そのため、新たに森林を切り開く必要がありません。
また、国内に生息する昆虫を食べることにすれば、えさを輸入しなくても済みますし、加工にも特別な設備は必要ありません。
昆虫の温室効果ガス排出量は、家畜の場合の数十分の1から数百分の1に抑えられると推測されています。
固体数が多く成長のスピードが速いこともメリットです。
また、昆虫は高タンパク質でビタミンやミネラルも豊富なので、健康食としてもおおいに期待されています。
本稿は『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! エネルギーのしくみ』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
昆虫食と肉食の比較
国連も昆虫食に注目
肉や穀物が足りなくなる「タンパク質危機」や、食料全体が不足する「食料危機」を避けるための手段として、国連も昆虫食に注目しています。
日本でもコオロギを使ったせんべいなどが購入できますし、ヨーロッパでも昆虫食が普及しはじめています。
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なお、本稿は書籍『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! エネルギーのしくみ』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。近年、「エネルギー問題」や「再生可能エネルギー」という言葉をよく耳にします。「エネルギーって、なに?」と尋ねられたとき、適切に答えるのはなかなか難しいことです。この本を読めば、エネルギーとは何か、という基本的な知識が理解できます。同時に、私たちはその存在に気づかないうちに、数多くのエネルギーに囲まれて生活していることがわかると思います。エネルギーがなければ、世界中の人々の生活や経済活動が成り立ちません。一方、地球温暖化対策や脱炭素化により、エネルギーをめぐる状況は大きな転換期を迎えています。本書では、エネルギーの学問的な基礎知識に加え、最新の科学技術や、エネルギーにまつわる国際的なデータや制度についてなど、重要でおもしろいトピックをイラストと図解でわかりやすく説明しています。