【潜入レポ】日本初の「魚専門」書店SAKANA BOOKSに行ってみた!マニアじゃなくても時間を忘れて楽しめる

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日本初の魚専門の新刊書店、SAKANA BOOKS(サカナブックス)。魚にまつわるあらゆる本が揃う、マニアにはたまらない場所として人気を集めています。どんなお店なのか、店長の浦上宥海(うらかみ うみ)さんに、お話を伺ってきました!

魚をきっかけに世界が広がっていく

週刊つりニュースが書店をつくったわけ

日本初の魚専門新刊書店、「SAKANA BOOKS(サカナブックス)」(東京都新宿区)。2022年7月のグランドオープン以来、魚好き垂涎の書店として話題を呼んでいます。

一見すると、本屋さんがあるようには思えませんが……。

運営するのは、釣り専門メディアの(株)週刊つりニュース。店舗は同社のオフィス内にあります。看板は出ているものの、入口は普通のオフィス然としています。「ほんとに本屋さんがあるのかな?」と若干の不安を感じつつ、勇気を出して足を踏み入れてみました。

入口を入るとすぐ、お目当ての本屋さんがありました!

迎えてくれたのは、名前からして魚にご縁のありそうな、店長の浦上宥海さん。もともとここは、週刊つりニュースの応接スペースだったそうです。

「コロナ禍で打ち合わせの機会も減ってしまって。当社の社長が、使われなくなったこのスぺースを活用したいと考えたのが、もともとのきっかけです。釣りが好きな人はもちろん、魚料理が好きな人や水族館が好きな人など、魚をキーワードに、いろいろな人が集まれる場所になるといいなということで、書店をつくることにしました」(浦上さん)。

児童書も充実!約1300冊の品揃え

およそ8畳ほどのスペースの店内には、魚にまつわるあらゆる切り口の本が並んでいます。冊数にして1200~1300冊ほど。図鑑、児童書、写真集、専門書、料理本、マンガなど…そのジャンルは多種多様です。

「魚から派生して、幅広いテーマ、文化を囲い込むようなイメージで選書しています。魚をきっかけに、そこからさらに世界が広がっていくような場所になれればいいなと」(浦上さん)。ベーシックな本もしっかり品揃えしつつ、魚についてより理解を深めてもらえるよう、専門性の高いニッチな本も充実させているのだとか。

魚の生態についての学術書や、地方出版社による地域の魚の本なども網羅している。

食糧としての魚、生物学的視点から見た魚、怪魚や未確認の魚を探すなど冒険の対象としての魚、民俗学的視点から見た魚と人の関わり、環境問題、芸術や、文学作品のモチーフとしての魚……。浦上さんのいうとおり、棚を見ていると、魚から派生する世界は本当に幅広いことがわかります。

児童書も充実。絵本の棚に並ぶウオヒレ(実物)も気になる…。

浦上さんお勧めの本

取材時、浦上さんにたくさんの本のなかからお勧めを2冊を選んでもらいました。1冊目は、『feat.鱒 フィーチャリング トラウト』(喜島進著/Northern Pika) 写真左。

写真左:『feat.鱒 フィーチャリング トラウト』(喜島進著/Northern Pika)
写真右:『大英自然史博物館 珍鳥標本盗難事件 なぜ美しい鳥は狙われたのか』(カーク・ウォレス・ジョンソン著・矢野真千子訳/化学同人)

北海道に移住した著者が、移住者の目線で鱒釣りの魅力を紹介した1冊。鱒たちの姿を、臨場感あふれるカラー写真で忠実に再現。その生態や、四季折々の鱒釣りについて、詳しく紹介されています。「とにかく鱒の美しさに目を奪われます。こんなに美しいんだ!って。著者の喜島さんが、北の大地で自然とのかかわりを心から楽しんで暮らしている様子も伝わってきます。読んでいると自分も北海道に行きたくなる1冊です」(浦上さん)。

2冊目は、『大英自然史博物館 珍鳥標本盗難事件 なぜ美しい鳥は狙われたのか』(カーク・ウォレス・ジョンソン著・矢野真千子訳/化学同人)写真右。

大英自然史博物館に収蔵された約300羽の鳥の標本が消えた、という事件を追った犯罪ルポルタージュ。一見、魚とは無関係に見えますが、実はこの事件の背景には、希少な鳥の羽を使って毛針(釣りに用いる針の一種。針に羽毛などを付けて餌にみせかける)を作る愛好家の存在がありました。釣りはせず、毛針を作ることそのものに執着する愛好家たちのありようや、犯人の生い立ち、博物館の存在意義や絶滅危惧種の保護についてなど…さまざまな問題を編み込みながら、一気に読ませる内容だそう。「思わず徹夜で読み込んでしまいました」と浦上さん。

この2冊、魚や釣りが共通のテーマの一つになっているものの、切り口は全く異なります。あらためてSAKANA BOOKSのふり幅の広さが実感できます。

いよいよ出版レーベルも始動!

書籍『水族館人 今まで見てきた景色が変わる15のストーリー』を発売

こうした充実の品揃えのウワサを聞きつけて、オープン以来SAKANA BOOKSには全国からたくさんのファンが集まっているそうです。子どもから大人まで、来る人に共通しているのは「魚が大好き」ということ。時折開催されるイベントなどの場を通して、お客様同士がつながることもあるそうで、"全国の魚好きが集まれる場所"というコンセプトのとおりになっているようです。

さらに多くの人に魚の魅力を伝えるべく、SAKANA BOOKSは、出版レーベルとしての活動も開始しています。

2023年4月には、第1弾となる書籍『水族館人 今まで見てきた景色が変わる15のストーリー』を発売。浦上さんが企画から携わったというこちらの書籍は、水族館にかかわる「人」にフォーカスしています。

「大きな水族館やアクセスの良い水族館がフィーチャーされがちですが、小規模でもユニークな水族館が日本にはたくさんあります。そして、そこには胸を熱くする水生生物と人間とのドラマが多くあり、皆さんにそれを届けたいと思いました。水族館って、飼育スタッフ以外にもこんなにたくさんの人が関わって出来上がっているんだ、ということを知っていただけると思います」(浦上さん)。

館長、飼育員、広報といった水族館で働く人はもちろん、建築設計、生き物の採集や手配、館内の音楽に関わる人、はては写真家・小説家・漫画家といった水族館をテーマにした創作活動をする人まで、15名のインタビューをまとめた内容になっています。

巻末には、水族館ブロガーとして人気の「めnち」こと新井竜実さんが監修した、「日本全国水族館リスト」がついています。小規模な施設も含め、日本全国から147館が紹介されています。

「日本には、100を優に超える水族館があるのですが、実は世界でもこれだけ水族館のある国は珍しいんです。日本という水族館大国に生まれた幸運な皆さま、ぜひ水族館へ…!そんな思いで作った本です」(浦上さん)。

取材に答えて下さった浦上さん。「旅が大好きなので、呼ばれると『出張SAKANA BOOKS』としてどこへでも出かけていきます」とのこと。手にしているのは新刊書籍『水族館人』。

●SAKANA BOOKSオンラインのほか、全国の書店でも購入可能。

年に数回は、写真展などのイベントも開催するなど、店内では定期的にイベントも行われています。最新情報はSAKANA BOOKSのTwitter (@SAKANABOOKS_)にてチェックしてみてください!

まとめ

マニアじゃなくても楽しめる!

「魚マニアに人気」という評判を聞いて訪れたSAKANA BOOKSでしたが、行ってみて筆者が感じたのは、実は魚マニアだけでなくて、どんな人が見ても「面白そう!」と思う本に出合えるということ。

魚という共通する話題はありつつ、扱う本のテーマやジャンルはとにかく幅広く、品揃えは海のように豊か。見ていると時間を忘れてしまいます。筆者自身も、(浦上さんに失礼ながら)ものすごく魚が大好きというわけではなかったのですが、欲しい本がたくさんあって、紙袋いっぱいに買い物をして帰ることになりました。

魚が大好きという人も、魚は普通(?)かな、という人も、ぜひ訪れてみてほしい!筆者オススメの本屋さんでした。素敵な1冊に出合えるかもしれません。

【店舗情報】

SAKANA BOOKS(サカナブックス)
営業時間 12:00〜17:30(土・日・月・火・水曜日)定
休日 木・金曜日
※そのほか臨時休業あり。最新情報はTwitterを参照ください。

最寄駅 都営新宿線「曙橋駅」A1出口より徒歩5分
丸ノ内線「四谷三丁目駅」2番出口より徒歩6分

所在地 〒160-0005 東京都新宿区愛住町18-7 (株式会社週刊つりニュース1階)
電話番号 03-3355-6401(平日9:30〜17:30) ※週刊つりニュースの代表電話

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◆執筆/高尾麻里(Edittor)
小売業専門誌出版社を経て、健康雑誌の編集に携る。趣味は何もしないでぼーっとするタイプの旅と乱読・積ん読。

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