占いは、現代に至るまで、さまざまな人々の心を引きつけてきました。
一方、中には、占いに科学的な根拠があるかわからないということから、占いに対して懐疑的な目を向けている方もいらっしゃるかと思います。
そこで当記事では、そのような人に向けて、占いには科学的根拠があるのかを、解説します。また、占いがこんなにも多くの人々に愛されている理由や、占いを信じる人の傾向についても詳しく取り上げています。
ぜひ、最後までご覧ください。
占いには科学的根拠があるのか?占い別に徹底解説!
まず、占いには科学的な根拠があるのかということを、占いの種類ごとに説明します。
命術
まず「命術」をご紹介します。
「命術」においては、生年月日や出生時間、出生時の星の配置などのその人の生まれに関する情報をもとに、占いを行います。四柱推命や九星気学、数秘術、算命学、占星術などは、この「命術」の理論に基づいた占いだといえるでしょう。
しかし、「生まれた時間や瞬間の星の位置が、その人の運命や性格に影響を与える」ことは、2025年現在、いかなる研究機関においても証明されていません。つまり、命術には科学的な根拠がないのです。
卜術
次にご紹介するのは「卜術(ぼくじゅつ)」です。卜術は、偶然現れた象徴や事象を用いて、未来の出来事や物事の成り行きを占う占術で、周易や断易、梅花心易、タロットカード、ルーン占いなどは、「卜術」の理論を用いたものだといえるでしょう。
卜術は、長い歴史を持つ占術ではありますが、科学的な根拠が乏しいというのが実情です。
それにもかかわらず、卜術は多くの人々に愛されています。その理由のひとつとして、柔軟性の高さが挙げられます。例えば、タロットカードの絵柄をどのように解釈するか、ルーンのシンボルをどのように捉えるかは、占いを受ける人の心理状態や価値観によって大きく変わってきます。そのため、時に驚くほど的確な答えを導き出せることがあります。このような要因から、現代においても卜術は様々な人から親しまれているものと思われます。
仮にそれが偶然によるものだったとしても、その人にとって望ましい答えを導き出すことができているなら、占いとしての役割は果たせているのではないでしょうか?
関連記事:
タロット占い(カード)のやり方や種類を紹介!初心者におすすめの方法も解説!
相術
最後にご紹介するのは、「相術」です。相術とは、実体あるものの姿かたちを見て行う占術で、姓名判断・手相占い・風水などがここに当てはまります。
相術は、他の占術に比べてある程度の科学的根拠が存在する占術となっています。
まず、人相や骨格をもとにした占いは、占いを受ける人の外見をもとにした一種の分析と解釈することができます。例えば、筑波大学の山本眞理子氏が2000年に行った研究によると、「外見が魅力的な人は、他者から肯定的な行動を頻繁に受ける」傾向があるそうです。このことからは、容姿が他者の行動に大きな影響を与えることがわかります。さらに、同研究では、容貌が本人の社会的な振る舞いや自己認識に与える影響についても、言及が行われています。
つまり、人相や骨格をもとにした占いは、その人の外見、さらにはそれが他者に与える印象をもとに、その人の性格や運命を推測・予測するものだといえるでしょう。
手相についても、同様に科学的視点から紐解くことができます。というのも、似た生活習慣を持つ人々の手相には共通点が見られ、また健康状態が似ている人々の肉付きや手のシワも似通う傾向があることが確認されているからです。手相占いの多くはこのようなデータをもとに行うものであり、そのため、ある意味では一種の分類学的・統計学的アプローチといえるでしょう。
さらに、風水もまた、一定の科学的根拠に裏打ちされたものです。例えば、北東を「鬼門」とし、水回りや玄関の配置に制限を設ける理由には「湿気」があります。湿気が多い場所ではカビが生えやすく、細菌が繁殖しやすくなるため、住人の健康に悪影響を与えるリスクがあります。そのため、風水では、日当たりが悪く、湿気が溜まりやすい北東の方位に清潔で乾燥しやすい構造を求めるわけです。これは、単なる伝統や迷信にとどまらず、健康管理の観点からも理解されるべき教訓となります。
このように、相術は科学的根拠に基づいた教訓が多く含まれている分野なのです。
占いに科学的根拠がないのに人が信じる5つの理由とは?
ここまで述べたように、占いの多くは、科学的な根拠がありません。しかし、それにもかかわらず、占いは今も多くの人々に信じられ、実践されています。
ではなぜ、占いはこれほどまでに多くの人の信頼を集めているのでしょうか?その理由の中から、代表的なものを5つ、ご紹介します。
理由①占いが日常の一部になっているから
占いが広く受け入れられている一因として「それらの占いが、日常生活に根付いているから」というのがあります。例えば、皆さんは朝の情報番組で「星座占い」が行われていたり、雑誌の一角で「血液型占い」のコーナーが設けられているのを見たことはありませんか?
このように占いは、私たちの日常の至る所に溶け込んでいます。何気なく触れる占いの結果が、私たちの気持ちに寄り添ったり、私たちを励ましてくれる……といったこともあるかもしれません。このような日常的な接触が、占いに対する親しみや信頼感を育んでいるのかもしれません。
理由②占いが100%当たらないとも言い切れないから
また、占いに科学的な根拠が乏しいからといって、すべての占いが必ず外れるわけではありません。時には、占いの結果が自分の状況や心境に驚くほど合致することもあります。これは、偶然によるものかもしれませんが、人によっては、このような偶然の一致をもとに、占いを信じるようになるということがあるかもしれません。
また、予言を実現するため、無意識のうちに動いている人もいます。例えば、占い師から「あなたは近い将来、仕事で大きな成功を収めるでしょう」と言われた人がいたとしましょう。人によっては、その言葉に勇気づけられ、いつも以上に積極的に仕事に取り組むかもしれません。結果として、予言通りに成功を収められるということがあるかもしれません。
このような要因が占いの信頼を深めているという可能性は、否定できません。
理由③当たることが前提で占っているから
占い師の多くは「占いは当たるもの」と確信した上で、占いを行っています。中には、占い師の中にはロジックを気にしておらず、占いが当たるのは根本的な話であると考えている方もいます。業界としての暗黙の了解ともいえます。
このような態度が、占いを受ける人々に安心感を与え、結果として信頼を集める要因となっている可能性もあります。
理由④科学で解決できないことも多いから
科学技術がこれほど発展した現代においても、そのロジックを解明できていない現象の数は、決して少なくありません。例えば、「幽霊」や「デジャブ」などの正体は、科学が進歩した現代においても未だに解明されていません。
さて、皆さんは「悪魔の証明」という言葉をご存知ですか? これは、「ある事物が存在する」ということを証明するのは可能でも、「それが存在しない」と証明することは非常に難しいことを表した言葉です。例えば、ある特定の特徴を持つ犬が「存在している」ことを証明しなさいと言われた場合、そのような犬が実際に存在することを示すのは比較的簡単です。しかし、逆に「そのような特徴を持つ犬は、存在しない」と証明するのは非常に困難です。なぜなら、それを証明するためには、現在、過去、未来に存在するすべての犬の特徴を確認しなければならないからです。
この概念は、占いにおける科学的な立証の難しさにも通じます。占いが「効果がない」と証明することができないのです。実際、重大な決断を前にして、霊的な力や宇宙の力などといった、見えないものの力に頼りたくなる人は決して少なくありません。
占いは、こうした人々が求める心の支えを提供し、彼らが望む方向に導くものとして、多くの人々に受け入れられ続けています。科学では解き明かせない「何か」を求める心理に応えるものとして、占いはその存在価値を持ち続けているものと思われます。
理由⑤占いには心理学テクニックが組み込まれているから
次に挙げられる理由として、現代の多くの占いが、心理学のテクニックである「バーナム効果」や「コールドリーディング」を巧みに利用しているからという点が挙げられます。
例えば、皆さんにおいても、雑誌やテレビの星座占い・血液型占いを見て「なんだか当たっている気がするけれど、これって誰にでも当てはまることじゃない?」と感じたことはありませんか?
それもそのはず。こうした占いの多くは「バーナム効果」という心理現象を利用しているのです。
バーナム効果とは、誰にでも当てはまりそうな一般的な内容でも、伝え方によっては、まるで自分にだけ当てはまることかのように感じてしまうという心理的な効果のことです。例えば、「あなたは今、他人に話せない悩みを抱えているのでは?」や「過去に辛い別れを経験していますよね?」といった言葉は、誰にでも該当する可能性がありますが、その瞬間の雰囲気や言い回しによっては、自分にのみ当てはまる特徴を言われた!と錯覚してしまうのです。
また、「命術」だけではなく、「卜術」も心理学的なテクニックに依存している部分があります。
卜術では、「コールドリーディング」と呼ばれるテクニックが使われています。
コールドリーディングとは、相手の反応を観察し、その言動から相手の心情や思考を読み取る心理テクニックです。例えば、タロットカードをめくりながら、相談者の表情や反応を観察し、そのヒントから過去や未来について語る占い師も少なくありません。
これらの心理テクニックは、人々の占いに対する信頼性を高めるのに貢献していると言えるでしょう。
関連する記事:
〈気になる心理学〉バーナム効果とは 占いはなぜ当たる? 二面性の提示で「必ず当たる」ようにできている
占いを信じやすい人の特徴4選
次に、占いを信じやすい人の特徴を4つ、ご紹介します。
【占いを信じやすい人の特徴】
- 決断力がない
- 恋愛や仕事などで悩んでいる
- 自己肯定感が低い
- 固定観念が強い
それぞれ、詳しくみていきましょう。
特徴①決断力がない人
現代において占いは「人々の不安や迷いに対して、何にも、また誰にもよらない答えを示してくれるもの」として機能しています。重大な決断を求められる場面において、人々は占いを頼りにする傾向にあります。
決断力のない人たちが、占いを重宝する理由は、まさにここにあります。占いを用いることで「確実な答えを得る」ことができます。そのような人においては、自分の選択に対して強い自信を持てないことから、他者の意見やアドバイスに左右されることが少なくありません。
占いによって導き出された答えは、見えない力——例えば「宇宙」や「霊」によるものと看做されることがほとんどです。他者の影響——期待や、圧力などを受けず、フラットな答えを得られるという点から、占いに信頼をおいている人の数は、決して少なくないものと考えられます。
このように、占いは、重大な選択を目前に控えた人々に対して、迷いを解消する手助けを提供するだけではなく、自分自身の意思で決断を下すための強力なツールとなることがあります。
特徴②恋愛や仕事などで悩んでいる人
恋愛や仕事に関する悩みなどの、大きな課題を抱えた人たちの目に、そのような特性を持つ占いが、この上なく魅力的なものとして映ることは、想像に難くないかと思います。恋愛や仕事は、私たちの人生を彩る、非常に重要な要素のひとつですが、時に、重大な決断を迫られることが少なくありません。
恋愛においては「相手の気持ちがわからない」「今の関係を続けるべきかどうか」といった悩みが、仕事においては、キャリアの方向性や転職、昇進など、将来に対する不安が、常に付きまといます。このように、大きな選択肢や重要な決断を前にしたとき、私たちはどうしても不安に駆られ、自分にとって最適な選択肢を選ぶのに手間取ることがあります。
占いは、こうした迷いや不安に対して、「何も知らない第三者の目線」で答えを示してくれるのです。特に、恋愛や仕事の問題においては冷静な判断が難しくなることがあります。占いは、このような感情の影響を受けず、より客観的で中立的な視点から、アドバイスを提供してくれます。
また、占いの答えは、「道しるべ」となることがあります。例えば今、あなたが「相手は本当に自分を愛しているのか?」という不安を抱えていたとしましょう。その際、占いが「あなたと彼の関係は今後良い方向に進む」と答えを示せば、不安が和らぐだけではなく、その結果、より積極的に関係を深めるための行動を起こせるようになるのではないでしょうか。
このように、占いによって導かれた答えは人生の重要な局面において、不安を和らげ、決断を下すための心理的な支えとなる役割を果たしています。特に、自分では判断が難しい、感情に左右されがちな状況において、占いがもたらす答えは一種の「安心感」と「確信」を提供してくれます。
そのため、恋愛や仕事など、重大な悩みを持つ人たちに、占いは重宝されているのです。
特徴③自己肯定感が低い人
皆さんは「自己肯定感」という言葉をご存知でしょうか?自己肯定感とは「ありのままの自分を肯定的に受け入れ、尊重し、自分自身を信頼できる心の状態」を指す言葉です。現代社会においては、この自己肯定感を持てない人々、いわゆる「自己肯定感が低い人」の存在が、深刻な社会問題となっています。
自己肯定感が低い人においては、自分の価値を信じることができないため、他人の意見や外的な要素に強く影響を受けやすく、その結果、自らの意思で決断することに不安を感じやすいのです。こうした状況では、占いが重要な役割を果たすことがあります。占いは、その人にポジティブなメッセージを送り、自分自身の価値を再確認させる手助けをすることができるのです。
例えば、自己肯定感が低い人が占いを受け、占い師から「あなたには大きな成功が待っている」「あなたの選択は間違っていない」といった励ましや前向きな予言を受け取ったとしましょう。このような肯定的なメッセージは、自己評価を一時的にでも引き上げ、自信を持って行動に移すきっかけとなります。
また、占いの結果は、行動を起こすための後押しとなることが多いです。例えば、自己肯定感が低い人は、未来の不確実性や選択に対して不安を感じることが多いでしょう。占いを通じて「あなたは正しい道を進んでいる」「今後の運勢が上向いてくる」といった具体的なアドバイスや予測を得ることで、不安を払拭し、行動を起こす勇気を持つことができます。
このように、占いは自己肯定感が低い人々にとって、自信を取り戻すための有力な手段となり、彼らが自分の人生に対して前向きに取り組むためのサポートとして機能します。
特徴④固定観念が強い人
固定観念が強い人は、自分の考えや価値観に強く固執し、他者の意見や異なる視点を受け入れるのが困難な傾向があります。彼らは、自分の信じるものや信念に確固たる裏付けを求め、その確信が揺らぐことを極端に恐れるため、しばしば外部の要素に頼って自分の考えを正当化しようとします。
こうした人々にとって、占いは特に魅力的な手段となることが多いです。なぜなら、占いは曖昧で主観的な要素が多いため、結果を自分の解釈次第で自由に捉えることができるからです。固定観念が強い人は、占いの結果を自分の都合の良いように解釈し、自身の信念に沿うものを選び取る傾向があります。これにより、彼らは安心感を得るだけでなく、「自分は正しかった」と自分を正当化するための材料を手に入れるのです。
占いが提供する柔軟な解釈の余地は、固定観念が強い人々にとって、さらに強固な心理的サポートとなります。彼らは占いによって自分の考えや価値観を裏付けられることで、他者の意見や異なるアプローチに対して耳を傾ける必要がなくなり、結果的に固定観念がさらに強まる可能性があります。占いが彼らにとって、無意識的に自己の意見を肯定するための「道具」として使われることがあるのです。
また、固定観念が強い人々は、自分の信念を支持する情報を集め、反対意見を無視する傾向にあります。これは、心理学的には「確証バイアス」と呼ばれ、占いを通じてこれが強化されることもあります。占いの曖昧さが、彼らにさらなる確証を与え、「自分は正しい」という信念が揺るがないものとして固まっていくのです。
このようにして、占いは彼らにとって自己の正当性を保ち、他者の意見や異なる視点に対する防衛策として機能することが多くあります。結果的に、固定観念が強い人は占いを通じて自分の信念を強化し、自分の立場を再確認するための手段として占いを活用することが多いです。占いが彼らにとって心の支えであり、確実性を求める心理的な手段となるため、占いは彼らの中でますます信頼性を高め、自らの世界観を固定化させる要因となり得るのです。
まとめ
この記事では、占いに科学的根拠があるのか、また占いがなぜこれほど多くの人々に信じられているのかについて解説しました。さらに、占いを信じる人々に共通するいくつかの特徴についても、解説を行いました。
占いには命術、卜術、相術といった多くの種類があり、その中でも相術には科学的要素が含まれている場合もありますが、全般的には科学的根拠が乏しいことが指摘されています。それにも関わらず、多くの人々が占いを信じ続けている理由として、占いが日常生活に深く根付いていることや、心理学的テクニック(バーナム効果やコールドリーディング)が利用されていることが挙げられます。また、占いを信じやすい人々には、決断力の欠如や悩みを抱えていること、自己肯定感の低さ、そして固定観念が強い傾向が見られます。
占いは、単なる未来予測にとどまらず、心理的な安定を提供し、時には自己認識を深める手助けをすることもあります。科学的な裏付けがないからこそ、占いは人々に心の支えを与える一つの手段として存在し続けているのです。
関連する記事: