知ってるとためになる家電とIT用語の基礎知識(4)

空調家電

家電やITの世界では、さまざまな新製品や新サービスが登場しているが、そういった新しい「モノ」や「コト」を理解するうえで知っておきたいキーワードがたくさんある。そこで、現代を象徴する必須用語の基礎知識をわかりやすく解説していこう。
基礎知識(1)
基礎知識(2)
基礎知識(3)

自動調理鍋/次亜塩素酸(空間除菌脱臭機)/EMS/スマニュー/グノシー/フェイクニュース

自動調理鍋

食材を切って入れておくだけで、おいしい料理が仕上がる自動調理鍋が人気。内蔵されるレシピの数や種類も豊富

調理家電の世界で、今、最もホットな製品が、自動調理鍋である。

自動調理鍋は、その名のとおり食材を切って鍋の中に入れておけば、あとは何もせずに放っておくだけで、自動的にシェフ顔負けの料理が出来上がるという便利な家電だ。

もちろん、タイマー機能もあるので、朝、仕事に行く前に食材をセットしておけば、家に帰ってきたらすぐに出来立ての料理が食べられる。

ここ数年、シャープの「ヘルシオホットクック」やティファールの「クックフォーミー」、象印の「自動圧力IHなべ 煮込み自慢」など、各社から自動調理鍋が相次いで登場し、人気を集めている。

調理可能なメニューは製品によって多少違うが、数十種類から100種類以上のレシピを内蔵しており、レシピを選んで食材をセットするだけで、肉じゃがやアクアパッツァ、パエリアからカレー、おでん、ケーキまで幅広い料理を作ることができる。

また、ヘルシオホットクックや煮込み自慢は、食材の水分だけで調理を行い、旨みや栄養分を最大限に引き出す無水調理ができることも魅力だ。共働きなどで、料理を作る時間がなかなか取れないという忙しい人や、料理が苦手な人に特におすすめしたい。

シャープの「ヘルシオホットクック」。最上位モデルのKN-HW24Cは無線LAN機能を搭載し、レシピの追加ダウンロードが可能。

象印の「煮込み自慢 EL-MA30」。加圧と減圧を繰り返しながら食材にしっかりと味をつける。

次亜塩素酸(空間除菌脱臭機)

プールや水道水の除菌などに使われている「次亜塩素酸」の効果を、家庭にも導入することができる空間除菌脱臭機が話題

パナソニックは、昨年「次亜塩素酸 空間除菌脱臭機 ジアイーノ」の一般向け製品の販売を開始した。

空間除菌脱臭機とは、あまり聞き慣れない言葉だが、文字どおり、空間を除菌し、脱臭する装置だ。業務用の「ジアイーノ」は、以前から介護施設や病院、保育園、幼稚園などで使われてきたが、一般向けに販売される製品は今回が初めてとなる。

除菌と脱臭に使われる次亜塩素酸には、高い殺菌力と脱臭力があり、すでにプールや水道水の除菌、野菜の洗浄など幅広い分野で利用されている。

ジアイーノは、専用の塩タブレットを溶かした食塩水を電気分解して次亜塩素酸を生成する。パナソニックの試験によれば、ジアイーノを使うことで、約15畳の空間で、付着菌や付着ウイルスを99%以上除去・抑制できたという。

ジアイーノは、空気清浄機とは原理や目的が異なり、花粉やホコリなどを除去できるわけではないが、空気中の菌やウイルスを除去できるこれまでになかった家電だ。

菌やウイルス、ニオイ対策へのニーズが強い、乳幼児や受験生のいる家庭、在宅介護の家庭やペットを飼っている家庭などにおすすめしたい。空気清浄機と併用することで、室内の空気状態を最良に保つことができるだろう。

パナソニックの「ジアイーノ F-MV3000」。次亜塩素酸は菌やウイルスの内部まで浸透して作用するといわれている。

塩タブレットを水道水に溶かし、それを電気分解することで、次亜塩素酸を生成する。

EMS

腹部や二の腕、太ももなど、体のいろいろな箇所に貼り付けて、手軽に筋トレの効果が得られる「EMS」が人気になっている

EMSとは「エレクトリカル・マッスル・スティミュレーション」の略。電極を肌に密着させて筋肉に直接、電気的な刺激を与えることで筋肉を収縮させる技術のことだ。

EMSの歴史は長く、1960年代にはソ連(当時)でエリート・アスリートのトレーニング効果を上げる目的で利用されていた。また、トレーニングだけでなく、医療現場でリハビリにも取り入れられている。

一方、一般向けに販売されているEMS運動器は、腹部や二の腕、太ももなどに装着するだけという手軽さが魅力だ。

実際に筋トレやランニングなどをしなくてもトレーニング効果が得られ、別の作業をしながらでも運動できるため、ダイエット目的などで人気が高い。

EMS運動器の注目度がこの数年で高まったきっかけは、MTGが2015年7月に発売した「SIXPAD」シリーズだ。

サッカー界のスターであるクリスティアーノ・ロナウド選手のトレーニング理論を取り入れており、スポーティなデザインが特徴。同選手が出演する広告の効果もあって、EMS運動器の認知度が高まり、市場も一気に拡大した。

現在は、ほかのメーカーも市場に参入。中でも、マクセルの「もてケア」シリーズは、高品質とリーズナブルな価格展開によって人気商品となっている。

電極を肌に密着させて筋肉の収縮を促し、筋トレの効果を得ることができるEMS。写真のマクセル「もてケア」など、多くの商品が市場をにぎわせている。

スマニュー/グノシー

ニュースサイトやブログなどから話題を収集し、一覧表示するアプリが、情報収集の要になりつつある

「スマニュー(スマートニュース)」と「グノシー」は、ともにスマートフォン向けのニュースアプリ。インターネットのニュースサイトやブログなどから話題のニュースやトピックを収集し、一覧で表示してくれる。

スマニューもグノシーも、ニュース収集の仕組みは同じ。どのニュースをピックアップするかは、担当者の経験やセンスに頼るのではなく、独自に開発したアルゴリズムにより自動で判断している。

ニュースアプリの利点は、膨大な情報の中から有益な情報を探し出す手間と時間を省けることだ。

忙しい生活を送る現代人には、もはや必須のツールといえるだろう。

「スマニュー」のアプリ画面。収集する対象となるサイトをユーザーが設定できる。

フェイクニュース

「ツイッター」や「フェイスブック」を通じて拡散される「偽物のニュース」が、社会を揺るがせ始めている

文字どおり虚偽(=フェイク)の情報で構成されたニュース記事のことだが、広義では誹謗中傷を目的にした個人のブログ記事なども含まれる。

「ツイッター」や「フェイスブック」といったSNSを通じて拡散されることで、大きな混乱を引き起こすおそれもあるとして、現在、社会問題化している。

2016年の米大統領戦では、フェイクニュースが国民の投票行動に大きな影響を与えたとされている。選挙期間中に「ローマ法王がドナルド・トランプ氏を支持」や「ヒラリー・クリントン氏がイスラム国に武器を供与」といったフェイクニュースが数多く飛び交い、トランプ氏の当選につながったともいわれる。

フェイクニュースがやっかいなのは、共有し、拡散した人に悪意がなくとも、拡散されたことで信頼度が増してしまい、深刻な結果につながる危険性もあることだ。

ニュースの真偽を見定める冷静な判断が求められる。

解説/石井英男(テクニカルライター)/加藤 肇 (フリーライター)

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