アナログレコードをいい音で聴くための新常識

塩化ビニールでできているレコードは物理的ダメージを受けやすく、それは音質低下に直結する。いい音を保つために必要なこととは?

持ち方は? クリーニング方法は? レコードの扱いの基本をプロが指南

達人がアドバイス!

ディスクユニオンJazzTOKYOの店長・生島さんは、ディスクユニオンオリジナルのレコード専用メンテナンスグッズの開発者でもある。今回は、長年レコードを扱ってきた経験に基づく手入れ術をご教示いただいた。

傷や変形によって大きく音が違ってくる

アナログメディアであるレコードは、乱暴に扱えば相応のダメージを受ける。

最も代表的かつ受けやすいダメージは、盤面の傷だろう。

極端なことをいえば、レコードをジャケットの内袋から出し入れするたびに盤面には擦り傷がつく。もちろん、その程度であれば音には影響しないが、深い傷はノイズの原因となり、最悪の場合、針飛びしてまともに再生できなくなってしまうこともある。

では、そうした深い傷は何によってつけられるのか。

多くは、レコード針によってである。

つまり、ターンテーブル上でレコードを再生中に、針を上げきらないままトーンアームをスライドしてしまったり、針を落とす際に手元が狂って盤面に針をぶつけてしまったりすると、派手に傷がつく。

よって、レコードを再生する際は、レコード針の上げ下げに細心の注意を払う必要がある。

また、レコードは塩化ビニールでできているため、熱に弱い。例えばストーブなどの熱源の近くにうっかりレコードを置きっぱなしにしてしまうと、ヒートダメージによって盤が歪んだり反ったりして、針飛びの原因になる。

加えて、ホコリやゴミが音溝に詰まると、ノイズや針飛びが起こる場合もある。聴き終わったレコードはターンテーブル上に裸のまま放置せず、きちんとジャケットに戻して棚にしまおう。と同時に、部屋の掃除も忘れずに。

コンディションから音の悪さがうかがえる悲しい例

目に見えて盤が歪んでいるヒートダメージ(写真左)、明らかにノイズになりそうな大きな傷と溝に付着したホコリ(写真中)、センターホール付近の“ヒゲ”(写真右)。アナログメディアゆえに物理的なダメージを受けやすいレコードは、取り扱いにも注意しよう。

レコードを持つ際は、盤面に触れないように

レコードを手で持つときは、必ず盤の縁に指を添えるようにして持ち、盤面に指や手のひらが触れないようにする……というのは、レコードを扱う際の鉄則としてよく聞く話だが、そもそも、なぜ盤面を触ってはいけないのだろうか?

「レコードを扱っていれば、ときには音溝に触れることもあるし、DJの方などは思い切り触っています。普通に考えて、人間の指が触れたくらいで盤に傷がつくことはありえません。しかし、特に脂性の人の場合、盤に指紋(指の皮脂)がついたまま放置すると、湿気によってその部分からカビが生えてきてしまうことがあります。盤がカビれば当然、音は悪くなります」

逆のいい方をすれば、仮に盤面に触って指紋がついても、クリーニングすれば問題ないということだ。

ずっといい音で聴くために! 「レコードの取り扱い」基本講座

1 中央から膨らますように広げる

レコードをジャケットから取り出す際は、ジャケットに折れ目がついたり、開け口の端が裂けたりするのを防ぐために、まず開け口を中央から膨らますように広げる。

2 内袋ごとまっすぐ引き出す

広げた開け口から内袋に入ったレコードをまっすぐ引き出す。内袋越しであれば盤面に触れてもかまわないが、内袋と盤面がなるべく擦れないように。

3 内袋からレコードを取り出す

内袋から盤を取り出す際の盤の持ち方。中指と薬指で下からラベル部分を持ち上げ、親指の腹もしくは付け根で盤の縁を支えるようにして片手で持つ。

4 中指と薬指でラベル部を持つ

3を下から見た図。盤の音溝部分には一切手が触れていないのがわかる。一見不安定に見えるかもしれないが、親指を縁に添えるだけで十分安定する。

5 両手でターンテーブルへ

ターンテーブルに乗せる際はレコードを両手で持つ。このときも、盤の縁に指の腹もしくは手のひらを軽く添えるようにして、音溝に指が触れないように注意する。

6 クルッと一回転させる

レコードをA面もしくはB面にひっくり返すときは、5の状態のまま盤の両縁を支点にクルッと1回転させる。慣れていない場合は、誤って落とさないように注意。

7 音溝部分に触れるのはNG

このように音溝部分を指で押さえるのはNG。指で触れた程度で傷がつくことはないが、盤に指紋がついてしまうとそこからカビが生えてくるおそれがある。

8 ピンの位置に合わせる

ターンテーブルとレコードは同じ大きさなので、両者の縁をそろえれば、自ずとセンターホールとピンの位置も合う。そうすれば、ラベルにヒゲが残ることもない。

解説/須藤 輝(フリーライター)

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