Q
先日、自宅のポストに「一般社団法人700Mヘルツ利用推進協会」のチラシが入っていて、「6月○日以降、テレビ映像が乱れる可能性があります」「必要があれば工事します」といったことが書いてありました。よくわからないのですが、これって、もしかして新手の詐欺でしょうか?(埼玉県 H・Nさん 53歳)
A
この質問は、テレビ放送に詳しいAV評論家の藤原陽祐さんに聞いてみましょう。
藤原
「オレオレ詐欺」に始まり、「振り込め詐欺」「なりすまし詐欺」、さらには「母さん助けて詐欺」と、いろいろな詐欺が横行していますから、こんな見慣れないチラシが突然、投函されていたりすると、確かに詐欺かと疑いたくなりますね。
でも、ご安心ください。「一般社団法人700Mヘルツ利用推進協会」は、ドコモ、KDDI、沖縄セルラー、ソフトバンクが合同で設立した法人で、ウエブサイトも存在しています(※下記参照)。
その目的は、アナログテレビ放送の停波(地デジ移行)で空いた電波帯域、つまり700Mヘルツの周波数帯を携帯電話やスマホで問題なく利用できるようにすること。昨今、スマホの急速な普及もあって、そのデータ通信量は急激に増加し、通信速度の低下やつながりにくさといった問題が生じています。新たに700Mヘルツ帯の周波数を利用することで、スムーズかつ快適な通信環境を整えていこうというわけです。
現在、地上デジタル放送の周波数帯は470M〜710Mヘルツ。そして新たに携帯電話事業者に割り当てられるのは、718M〜748Mヘルツの帯域になります。「空いているところを使うのに、なぜテレビ放送が乱れてしまうのか」と疑問に思うかもしれませんが、その可能性は否定できないようです。
問題になりやすいのが、700Mヘルツ帯の携帯電話基地局周辺の家屋やビルなどの建物内で、ブースター(受信した信号を増幅する装置)を使用して地上デジタル放送を視聴しているケース。特に、アナログ放送時代のブースターをそのまま使用しているなら要注意です。
この場合、700Mヘルツ以上の帯域の電波まで増幅してしまうため、地デジ放送の電波だけでなく、基地局からの電波も一緒にゲイン(電気回路における利得)が上がってしまうことになります。
その結果、テレビ画面上にブロックノイズが出たり、画面が突然、フリーズしたり、最悪の場合、映像がブラックアウトしたりしてしまう可能性があるわけです。
──アナログ放送時代のブースターは、確かに、私もまだ持っていますね。使ってはいませんが……。
藤原
投函されたチラシは、こうした問題が生じた場合、テレビ受信対策コールセンターに連絡してくれれば無償で工事をするという趣旨を伝えるためのもの。詐欺ではないので、心配はいりません。
工事の内容は個別の事情で変わってくるため、一概にはいえませんが、アンテナの調整、ブースターのゲインの調整、機器の交換といったものになると思われます。
ちなみに、このチラシは、700Mヘルツ帯携帯電話基地の稼働準備が始まった2017年の秋ごろから、順次、配られているようです。急に自宅の地デジ受信が不安定になったなど、心当たりのある方は、一度、コールセンター(下記参照)に問い合わせてみるといいでしょう。
──正式な団体で、詐欺ではないということですね。了解しました!
■700MHzテレビ受信障害対策コールセンター TEL.0120-700-012