今回の質問は、レンタル店で借りたCDを取り込んだ音楽ファイルをアップロードした際の著作権の問題です。プロがズバリ回答します。
Q
8月号で「Google Play Music」が紹介されていましたが、レンタル店で借りたCDを取り込んだ音楽ファイルをアップロードしても、著作権の問題は生じないのでしょうか?(H・Gさん 東京都 44歳)
A
この質問は、8月号で当該記事を担当したフリーライターの大坪知樹さんに聞いてみましょう。
大坪
「Google Play Music」は、無料プランであっても、最大5万曲の楽曲をクラウド上へアップロードでき、パソコン、スマホ、タブレットで音楽が聴けます。音源を端末にダウンロードする機能もありますが、クラウド上に保存された音源をネットワーク経由でそのままストリーミング再生もできるため、端末の保存容量を気にせず、いつでもどこでも大量の楽曲を聴けるのが大きな魅力です。このように便利なサービスなので、ついうっかり法令違反や権利の侵害を起こさないように注意したいものですね。
まず、CDの複製やリッピングは、個人が私的に聴く範囲であれば、なんら問題はありません。言葉としては聞いたことがあるかと思いますが、これは『私的使用のための複製』に当たります。レンタル店で借りたCDをリッピングしてパソコンへ取り込むことも、CD-Rで複製することも、法律には触れず、著作権を侵害することはありません。
では、「Google Play Music」のようなクラウドサービスへ音楽をアップロードすることに、問題はないのでしょうか。
ネットに他人の著作物である音楽をアップロードし、例えば自身のホームページなどで不特定多数に向けて公開することは、著作権の侵害に該当するため、もちろんできません。
ただし、「Google Play Music」を含むクラウドサービスは、基本的には個人のIDとパスワードでログインし、自分のデータをネットワーク経由で活用するものです。アカウントが正しく管理されていれば、自分以外の第三者が勝手に聴くことはできません。
つまり、私的使用の範囲に入るため、法律的にも問題はなく、レンタルCDからパソコンへ取り込んだ音源をアップロードしても問題はないと考えられます。
──クラウドにアップロードしても問題ないってことなんですね。
大坪
実は、現状では日本の法律において、クラウドサービス上での著作権の扱いについては詳しく明記されていません。そのため、適法/違法のどちらとも書かれてないのですが、サービスの特性や利用方法を考慮すると、前述のようにとらえるのが自然かと思われます。
ポイントとなるのは、クラウドサービスを活用していても、あくまでも個人の私的使用であるということ。
第三者と共有するためのシェア機能が用意されている「Googleドライブ」などとは異なり、「Google Play Music」にはそういった機能はありません。しかし、友人と一つのアカウントを共有して音楽を聴いたりすると、私的使用の範囲から外れていると判断される可能性が高くなるでしょう。
いまやGoogleのようなオンラインサービスにおけるIDとパスワードは非常に重要な個人情報なので大丈夫だとは思いますが、流出のないよう注意し、便利に活用していただければと思います。
──法律で明記されてないけど、私的使用であればOKと解釈できるということですね。了解しました!