一眼レフと同様、レンズを交換できるミラーレス一眼において重要なのがレンズのマウント。マウントによって、装着できるレンズが違ってくる。またミラーレス一眼で使用できる交換レンズには、目的に合わせてさまざまな種類がある。選ぶうえでのポイントは、「焦点距離(画角)」「F値(明るさ)」「手ブレ補正」の三つだ。いずれもしっかりと理解しておきたい。
原則的に各社が独自のマウントを採用している
ミラーレス一眼などのカメラにレンズを取り付けるリング状の銀色の座金が「レンズマウント」だ。単純に「マウント」と呼ぶメーカーもある。座金の寸法だけでなく、フランジバック(マウント面から撮像面までの長さ)や電子接点の位置と数、カメラとレンズの間で情報をやり取りする手法なども含めた仕様を指す場合もある。
原則的に、レンズマウントは各社が独自の規格を採用しており、座金の口径、レンズを固定するための爪の位置や数などはメーカーによっても異なるし、一眼レフかミラーレス一眼かによっても違ってくる。そのため、メーカー間で互換性がないのが通常だ。また、同じメーカー内でも一眼レフとミラーレス一眼とではマウントの仕様は異なる。
例外はシグマのsd Quattro やペンタックスのK-01(生産終了)で、ミラーレス一眼ながら一眼レフと同じマウントを採用。既存の一眼レフ用レンズをそのまま利用できるメリットがある半面、フランジバックが一眼レフと同じために小型軽量化の面で不利になる。
複数のメーカーが同じマウントを採用するケースもある。ミラーレス一眼ではマイクロフォーサーズ(オリンパスとパナソニックが採用)やライカLマウント(ライカ、パナソニック、シグマが採用)があるが、これも数少ない例外だ。
一方、マウントの異なるカメラとレンズを組み合わせることができるマウントアダプターもある。
ニコンのマウントアダプターFTZなどのような一眼レフ用レンズを同じメーカーのミラーレス一眼に装着できる純正タイプのほか、シグマのマウントコンバーターMC-11などのように異なるメーカーのカメラとレンズをつなぐためのものもある。
また、AF(オートフォーカス)やAE(自動露出)が働かないなど、機能の制限はあるが、装着して撮影は可能というものも数多い。
交換レンズの種類は?
標準、広角、望遠の画角をカバーしたい
一眼レフと同様、ミラーレス一眼もレンズ交換が可能だ。さまざまなシーンに対応できるように、多彩な交換レンズが用意されている。
多くのカメラは、一般撮影に便利な標準ズームを同梱したレンズキットの形態で発売されている。標準ズームは広角から中望遠までをカバーするもので、スナップや記念撮影などに使いやすい。が、運動会といったスポーツイベントや、野鳥や動物などの近づけない被写体を撮りたいならもっと望遠のレンズが必要になるし、その反対に狭い室内で撮るときや、広大な風景を撮りたい場合は、もっと広角のレンズが欲しくなる。
どういうシーンを撮りたいのかによって用意すべきレンズは変わってくるが、おおざっぱにはフルサイズ換算の焦点距離が16ミリ相当程度の超広角から400ミリ相当程度の望遠まであれば、たいていのシーンには対応できるだろう(APS-Cサイズのカメラの場合は、実際の焦点距離が11ミリ程度から300ミリ程度、マイクロフォーサーズなら8ミリから200ミリ程度となる)。
もう一つ、レンズについて考えておくべき要素が「明るさ」だ。レンズの明るさはボケ具合を大きく左右するが、レンズキットに同梱の標準ズームは総じて暗いため(F3・5~5・6程度)、背景をぼかしたポートレートなどをねらいたい人には物足りなく感じられるはずだ。
これもおおざっぱには、レンズの名称の「F××」という数字が小さいほど明るいレンズという意味だ。レンズは明るいほど大きく重く、高価になりがちだが、「撒き餌レンズ」(※)と呼ばれるお手ごろ価格の単焦点レンズ(F1・8程度が多い)がねらいやすくておすすめだ。
また、暗いシーンや望遠撮影時に欠かせない手ブレ補正は、最近はカメラ本体に内蔵されるケースが増えつつあるが、そうでない場合は、レンズ側に搭載されているかどうかもあらかじめ確認しておきたい。
※撒き餌レンズ……描写性能がいい割に低価格で手を出しやすいレンズ(コンパクトタイプの単焦点レンズが多い)に対して、カメラファンの間で使われている呼称。。メーカーが新規ユーザーを獲得するのに効果が高いところから、漁や釣りで使う「撒き餌」になぞらえている。
解説/北村智史(カメラライター)