より気軽に、楽しくおいしく実践していただくために「外食やコンビニ食で糖質制限ができないか」と、いろいろなお店のメニューを私が実際に食べて、食後の血糖を測定するという調査を始めたのです。クリニックがある九州を中心に食べ歩き、その数は130品を超えました(2018年8月31日現在)。【解説】亀川寛大(なごみクリニック院長)
解説者のプロフィール
亀川寛大(かめかわ・かんだい)
なごみクリニック院長。宮崎医科大学医学部(現・宮崎大学医学部)卒業。鹿児島市医師会病院、宮崎県延岡市介護老人保健施設、西階クリニック院長などを経て、2017年に熊本市のなごみクリニック院長に就任、2018年に糖尿病再生医療研究所所長。熊本を中心に全国で糖質制限、間欠的ファスティングの指導を行っており、常に患者さん目線から「ほんとうの健康とは何か」をわかりやすく解説している。
「主治医が見つかる診療所(テレビ東京)」などメディア出演を始め、Facebook「亀ドクの血糖値の上がらない店・メニュー」で日々情報を発信中。
『ラーメン好きの医者が教える糖質制限の外食ガイド』(60種類のメニューを自分の体で徹底調査!)がマキノ出版から発売中。Amazonで好評発売中
『亀ドク』亀川寛大 糖質off-icialサイト:https://toshitsuseigen.biz/
自ら体を張り5カ月で15kgの減量に成功!
私自身、1食当たりの糖質量を20g以下に抑える「ガチ糖質制限」を2015年に行って、5カ月で15kgの減量に成功しました。ちなみに、お茶わん1杯分のご飯に含まれる糖質は、約50gです。
その後、糖質制限の効果を短期間で確認するために、3カ月かけて実験を行いました。
まず、毎日カレーライスを2kg食べて、糖質を600g摂取する生活を1カ月間続けました。結果として体重は8kg増。それから糖質制限を開始すると、45日で元の体重に戻り、見た目も若返りました。
■45日間で8kgの減量に成功!亀川先生の軌跡
糖質制限の効果を確認するため、まず糖質たっぷりのカレーライスを毎日2kg食べて、1カ月かけて8kg太ったところからスタート
このように医師の私が体を張って試したことで、肥満や糖尿病の患者さんにも安心して糖質制限に取り組んでもらえるようになりました。
ただ、糖質を制限する食事には「食材や調理法を選んで自炊しなければならない」といった、めんどうくさいイメージがあります。また、生活習慣病の改善や減量を目的とした中高年は、昼食に外食のかたが多いですし、一人暮らしの高齢者については、コンビニを利用している例が多く見られました。
より気軽に、楽しくおいしく実践していただくために「外食やコンビニ食で糖質制限ができないか」と、いろいろなお店のメニューを私が実際に食べて、食後の血糖を測定するという調査を始めたのです。クリニックがある九州を中心に食べ歩き、その数は130品を超えました(2018年8月31日現在)。
これまでに、ちょっとした事件もありました。
あるお店で、糖質ゼロ麺をうたったメニューを注文しました。食べるとモチモチとした歯ごたえで、「糖質ゼロ麺は、普通はキシキシしているのに、これは違う。普通の麺にかなり近い! 進化している」と感心しました。
ところが、食べている最中に車酔いのようなフワッとした感覚に襲われました。血糖値が急上昇しているときの症状です。実際、食後60分まで血糖値はぐんぐん上昇しました。
おかしいと思って店員さんを呼び、調理前の糖質ゼロ麺と、普通の麺を持ってきてもらいました。すると、私が食べたのは明らかに普通の麺なのです。私の注文とは違い、お店側が普通の麺を使ったらしいのです。道理で、普通の麺と遜色ないと感じたわけです。
私の健康状態に問題がなかったのが不幸中の幸いで、糖尿病の患者さんだったら、と考えると寒気がします。糖質オフメニューをうたうお店は、こういうかたも注文するということをきちんと認識して、ミスがないよう注意して取り組んでほしいと思います。
外食を利用した「ゆるい糖質制限」で効果を実感
現在はさまざまな人が糖質制限に取り組んでいますが、ダイエット・美容が目的ならば、糖尿病などの改善を目的としたガチ糖質制限ではなく、「マイルド糖質制限」が適しています。1日当たりの糖質量を130g以下に抑える、ゆるやかな糖質制限です。
そこで、食後血糖値の上がり方でマイルド糖質制限に適しているかどうかを、そして、値段や量から、コスパが高いかどうかなどを総合的に検討し、外食やコンビニ食を「亀○つ!」と評価しました。今回は4つのメニューを紹介します。
私がお勧めする外食OK・コンビニOKの糖質制限は、満腹OK・飲酒OK・間食OKの一生続けられる若返り法です。皆さんも美と健康のために試して、効果を実感してください。
ローソンは〇、ガストは◎、ジョリーパスタは〇
■ローソン『でか焼鳥 もも塩 6本』
ローソンのホームページでは、「でか焼鳥 もも塩」の1本当たりの炭水化物量は0.7g。6本食べても計4.2gにしかならないので、期待が持てます(※)。
実際に食べたところ、「でか」というだけありボリュームもあって満足しました。
血糖値の最大上昇幅は26㎎/㎗(60分後)でしたので、推定糖質量は26gです。公表された炭水化物量と差があります。なお、通常、1gの糖質で血糖値が1㎎/㎗上がるとされています。
朝は血糖値が上がりやすいうえ、食後60分以降は車の運転をしたので、その緊張下でのストレスで血糖値が上がった可能性があります。ですから、食事をした影響での血糖値は、45分後の10㎎/㎗と考えます。
ローソンの「でか焼鳥 もも塩」6本の評価は亀2つ!
■ローソン『Lチキ 旨塩 3個』
ローソンのホームページによると、「Lチキ 旨塩」1個当たりの栄養成分は次のとおりです。「たんぱく質14.9g、脂質17.6g、炭水化物14.3g、ナトリウム882g」(東北・中四国・九州・沖縄地域)
糖質量の記載はなく、炭水化物量は、3個で42.9gです。衣が分厚いのかもしれません。食べてみると、サクッとした食感の衣とジューシーな肉質でおいしいです。
血糖値の最大上昇幅は58㎎/㎗(30分後)でしたので、推定糖質量は58gです。公表されている炭水化物量45・9g(3個)と比較しても差はありますが、血糖値の上昇幅は妥当と考えます。
ローソンの「Lチキ 旨塩」3個の評価は、亀1つ!
先に紹介したローソンの「でか焼鳥 もも塩」の結果からもわかるとおり、鶏肉料理を選ぶなら焼き鳥の塩がお勧めです。
◎ステーキなら血糖値はほとんど上がらない
■ステーキガスト『カットステーキ 食べ放題』
「ステーキガスト」には店舗限定、実施日限定の「カットステーキ 食べ放題」があるのをご存じですか?私は3回目の挑戦です。今回は昼休みで時間がなかったので、サラダバー付きでしたが食べませんでした。
注文は最初が240gで、あとは80gずつ、何皿でもおかわりができます。前回は2kg近く食べたので、肉をかみ過ぎて最後のほうは、あごが痛くなってきました。それが今回は1・2kgと少なかったので、痛みもなく、おいしく食べられました。
ステーキを食べ始めた直後から、血糖値が下がっていますが、食前血糖値の108㎎/㎗がやや高めだった影響で、血糖値の変動はほとんどないと思われます。この結果からわかるとおり、糖質をほとんど含まない肉単体ならば、血糖値は上がりません。血糖値を直接的に上げるのは糖質だけなのです。
ステーキ ガストの「カットステーキ 食べ放題」の評価は亀3つ!
店舗限定、実施日限定の「限定」を外してほしいですね。
■ジョリーパスタ『スモークサーモンのクリームソース』
ジョリーパスタの「スモークサーモンのクリームソース」は、ほうれん草を練り込んであるフェットチーネ(きしめん状の幅広パスタ)でした。オリジナルの低糖質粉で作れられています。彩り鮮やかで、クリームソースと絡んでおいしいです。
血糖値の最大上昇幅は17㎎/㎗(30分後)でしたので、推定糖質量は17gです。公表の糖質量は38.3gとのことですが、食後の血糖値の上昇が抑えられているとわかります。これは、クリームソースに含まれている、たんぱく質による効果だと考えられます。低糖質にクリームソースの組み合わせはお勧めです。糖質制限中でも食べられるパスタ、というのも高評価です。
ジョリーパスタの「スモークサーモンのクリームソース」の評価は、亀2つ!
パスタを食べたいときには、トマト系よりクリーム系をお勧めします。
【出典】ラーメン好きの医者が教える糖質制限の外食ガイド (60種類のメニューを自分の体で徹底調査!)