へその周囲には臓器や脳に直結する神経が密集しており、生命を維持するための重要な役割を果たしています。へそ周辺の皮膚をつまんで刺激するおなかつまみを行うと、皮膚刺激によって臓器の機能が活性化し、生活習慣病などの病気が改善に向かうのです。【解説】杉山平熙(すぎやま按腹鍼灸院院長)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

杉山平熙(すぎやま・たいき)
すぎやま按腹鍼灸院院長。鍼灸師。日本の伝統医療である「按腹」と「打鍼法」の思想と技術を融合させた「へそ按腹法」を考案。全国から難病の患者さんがひっきりなしに訪れている。「自分で病気を癒すこと」が大切としたへそ按腹法を確立し「お孫さんにもやってあげてください」と、セルフケアのやり方も指導している。そのほか、韓国やイタリア、ハワイ、ベナンなどからの研修生への指導や、アフリカなど医療の行き届いていない地域に広める活動にも取り組む。著書『お腹のしこりが万病の原因だった!』(コスモ21)が好評発売中。

冷えたおなかには病気の根っこがある

ご自分のおなかに手を当ててみてください。ほどよく柔らかく弾力があり温かみがあるなら、よいおなかです。

一方、冷えていたり、触ると硬いおなか、しこりがあるおなかは要注意です。

私の治療は、全身のどこが悪くても、おなかにしか鍼を打ちません。鍼の数も、ほんの数本です。それでも全身の症状がよくなるのは、おなかにこそ、あらゆる病気の根っこがあるからです。

私の治療院に来るかたは、例外なくおなかが冷えて、硬いしこりがあります。

これは内臓が下垂し、動きが鈍くなっているからです。内臓の動きが鈍くなると、おなかの血流が悪くなり、どんどんおなかが冷えていきます。

日本の伝統医療は、従来、おなか(内臓)を重視してきました。おなかで診断する「腹診」は従来から東洋医学の伝統的な診断法として存在していましたが、おなかで治療する「按腹」は、日本固有のものです。

今回ご紹介する「おなかつまみ」(正式名称「へそ按腹」)は、その流れを受け継ぎ、私が考案したものです。

おなかには、全身の臓器に対応する反射区(ゾーン)があります。おなかに触って硬いしこりがあれば、そこに対応する臓器に異常があるということで、しこりを取れば臓器の異常も改善していきます。

それを示した「おなかの治療地図」(下図参照)は、安土桃山時代から江戸時代前期にかけて活躍した治療家、御園夢分斎の『臓腑の図』をベースに、私が作成したものです。

へそ周辺の皮膚を刺激することが大事

私が治療家として最終的に目指していることは、「誰でも自分で自分の体を癒せるように指導すること」です。

こうして生まれたのが、おなかつまみです。ではなぜ、おなかの皮膚をつまんだだけでさまざまな病気が治っていくのでしょうか。私は次のように考えています。

東洋医学では、人間の体にある臓器を「五臓六腑」から構成されているとしています。五臓は、肝(肝臓)、心(心臓)、脾(脾臓)、肺、腎(腎臓)。六腑は、胆(胆嚢)、小腸、胃、大腸、膀胱、三焦です。

実は、三焦に相当する臓器はどの部位なのか、明確にわかっていません。諸説ありますが、私は長年の臨床経験および研究結果として、皮膚、とりわけへそ周辺の皮膚を三焦というのではないかと推測しています。

へその周囲には臓器や脳に直結する神経が密集しており、生命を維持するための重要な役割を果たしています。

一方、皮膚は人体で最大の臓器といわれており、無数の細胞が電気信号でつながり、人体を防御しています。

へそ周辺の皮膚をつまんで刺激するおなかつまみを行うと、皮膚刺激によって臓器の機能が活性化し、自律神経(内臓や血管の働きを調整する神経)のバランスを整えたり、ホルモンバランスを整えたりすると考えられます。

その結果、生活習慣病をはじめ、さまざまな病気が改善に向かうのです。

次項では、腸を温めて自然治癒力を高める基本のおなかつまみのやり方、そして、多くのかたがお困りの、高血圧と糖尿病に有効なおなかつまみのやり方をご紹介します。ぜひお試しください。

「おなかつまみ」のやり方

※おなかつまみ注意事項

◎おなかつまみは、1日3回、朝昼晩に行うとよいでしょう。ただし、飲酒後や食後1時間は避けましょう。
◎がんのような進行性の病気の人、妊娠中の人は注意が必要なので、独断では行わないでください。脳梗塞のある人は、症状(マヒなど)のない側だけ行ってください。
◎また、基本のおなかつまみはどの症状にも当てはまりますので、必ず行ってください。

おなかつまみは、おなかの硬いところ、しこりのあるところをつまむ健康法です。しこっているところは、つまむと痛いので、すぐにわかります。

毎日つまんでしこりが取れると、おなかが柔らかくなり、温かくなってきます。すると気(生命エネルギー)・血(血液)の流れがよくなり、臓器の機能が活性化してきます。また、体温も上がり、自然治癒力がどんどん増してきます。

おなかが冷えると、カイロなどを当てて温める人がいますが、それでは自然治癒力は発揮されません。むしろ、外から温めるものに頼ってばかりいると、自分で温める力が弱ってしまいます。
おなかつまみは、自力でおなかを温める方法で、しかも芯から体が温まります。

つまみ方は、簡単です。皮膚を両手で薄くつまみ、中の肉を弾くように、キュッキュッと押し出します。強くつかんだり、引っ張ったりする必要はありません。優しくつまんで、中に押し出すようにするのがコツです。

【おなかつまみの手指の動かし方】

画像2: 【腸を温める方法】しこりをほぐしてお腹の冷えを改善する「おなかつまみ」とは

❶おなかの肉をできるだけ薄くつまむ。力を入れず、軽くつまむ。

画像3: 【腸を温める方法】しこりをほぐしてお腹の冷えを改善する「おなかつまみ」とは

❷つまんだ肉を元の位置に弾き戻すように、親指とその他の指を合わせる。

【基本のおなかつまみ】

画像4: 【腸を温める方法】しこりをほぐしてお腹の冷えを改善する「おなかつまみ」とは

刺激する位置:胃と脾の反射区
脾と胃の反射区は全ての病気で詰まりやすい部分。どんなときでも、まずは、脾と胃のこりを取って柔らかくする。

画像5: 【腸を温める方法】しこりをほぐしてお腹の冷えを改善する「おなかつまみ」とは

肋骨のいちばん下の骨に沿って、ハの字におなかつまみを行う。

画像6: 【腸を温める方法】しこりをほぐしてお腹の冷えを改善する「おなかつまみ」とは

みずおちから下の胃の部位を、まんべんなくつまむ。

※つまんだ部分が赤くなり、熱を感じるまで行う。

【高血圧を改善するおなかつまみ】

血圧が上がるのは、
①交感神経(活動時に働く神経)が緊張して末梢血管が収縮するため
②水分調節がうまくいかない
という二つのパターンがあります。

①を抑えるのが「肝」、②が「腎」です。
肝から腎の反射区に向かって、おなかを念入りにつまんで、肝と腎のこりを取り、それぞれの働きを高めます。肝は、背中とわき腹も含まれますので、つまんで痛いところを念入りに行ってください。

画像7: 【腸を温める方法】しこりをほぐしてお腹の冷えを改善する「おなかつまみ」とは

刺激する位置:肝→腎の反射区を順番に行う

画像8: 【腸を温める方法】しこりをほぐしてお腹の冷えを改善する「おなかつまみ」とは

わき腹から腸骨の上まで、肝の反射区をまんべんなくつまむ。反対側のわき腹も行う。

画像9: 【腸を温める方法】しこりをほぐしてお腹の冷えを改善する「おなかつまみ」とは

腸骨から鼠蹊部(足のつけ根)に沿って、つまむ位置を斜めに移動しながら、腎の反射区をつまむ。反対側も同様に行う。

※つまんだ部分が赤くなり、熱を感じるまで行う。

【糖尿病を改善するおなかつまみ】

糖尿病は、食べ物からとった糖が細胞に取り込まれず、血液中に過剰にあふれ出てしまう状態が続く病気です。血液が糖でドロドロになり、それが毛細血管を詰まらせて、合併症の原因になります。

糖が細胞に取り込まれない理由は、①膵臓が弱ってインスリンを出せなくなったこと、②細胞膜が硬くて、インスリンに反応しなくなっていること、の二つあります。

東洋医学では、膵臓は脾臓に属すと考えています。そこで、まず脾のある肋骨の上と、肋骨の内側に沿って、おなかつまみを行います。

次に、細胞膜を柔らかくするため、胃、小腸、大腸のこりを取り、最後に、腎を柔らかくして、老廃物の排出を促します。足のつけ根のほうまでつまむことが重要です。

画像10: 【腸を温める方法】しこりをほぐしてお腹の冷えを改善する「おなかつまみ」とは

刺激する位置:胃→大腸・小腸→腎の反射区を順番に行う

画像11: 【腸を温める方法】しこりをほぐしてお腹の冷えを改善する「おなかつまみ」とは

胃の反射区をまんべんなくつまむ。

画像12: 【腸を温める方法】しこりをほぐしてお腹の冷えを改善する「おなかつまみ」とは

小腸、大腸の反射区をまんべんなくつまむ。

画像13: 【腸を温める方法】しこりをほぐしてお腹の冷えを改善する「おなかつまみ」とは

左右の腎の部位をつまみ、足のつけ根までしっかりつまむ。

※つまんだ部分が赤くなり、熱を感じるまで行う。

This article is a sponsored article by
''.