【膝痛・変形性ひざ関節症改善】リンパの流れを良くする体操「膝裏伸ばし」のやり方

美容・ヘルスケア

リンパは心臓のようなポンプの役割がないので、半日近くもかかって全身を巡ります。とてもゆっくり流れているので滞りやすいのです。本来回収するべき水分や老廃物や痛み物質が留まったままになると、むくんだり、疲労がたまったり、痛みが続いたりするのです。【解説】前新マミ(リンパティック・ストレッチ教室主宰)

解説者のプロフィール

前新マミ(まえあら・まみ)
リンパティック・ストレッチ教室主宰。1950年北海道函館市生まれ。3歳からクラシックバレエを始め、19歳のときにプロダンサーに転向。体のメンテナンスや不調改善のためのリンパティック・ストレッチを考案。年齢を問わず筋肉を育てることを提唱している。著書に『寝たままスッキリ! リンパ体操』(高橋書店)ほか。

バレリーナの疲労を取るために考案

私は3歳からバレエを始め、その後、18歳で北海道函館市から上京。師事したバレエ教師の千葉昭則先生が、リンパ体操の元になる「リンパティック」を考案しました。

バレリーナは毎日長時間に及ぶ練習を続けないと踊ることができません。リンパティックは、リンパ(体内の老廃物や毒素、余分な水分を運び出す体液)の流れを促進して、バレリーナが過酷な練習で使った筋肉や体の疲労を、少しでも早く取るためのストレッチです。

私は、その考えと実践を受け継いでバレリーナからダンサーに転身してからも、自分の体のメンテナンスのためにリンパティックを続けてきました。

そして、この効果はダンサーだけでなく、多くの人の助けになるのではないかと、「リンパ体操(正式名称はリンパティック・ストレッチ)」教室を開き、現在、さまざまな不調のあるかたたちが通っています。

リンパ体操の目的は、全身のすみずみにリンパを巡らせることです。

心臓から押し出された血液は約1分ほどで全身を巡り、酸素や栄養を供給しています。

一方のリンパはというと、心臓のようなポンプの役割がないので、半日近くもかかって全身を巡ります。とてもゆっくり流れているので滞りやすいのです。

リンパの働きの一つに、体にとっていらないものを回収する役割があります。リンパの流れが滞ると、本来回収するべき水分や老廃物や痛み物質が留まったままになり、むくんだり、疲労がたまったり、痛みが続いたりするのです。

リンパ体操でリンパの流れをよくすると、これらの症状が改善されます。

正しい姿勢が保てないとリンパも滞る

そんなリンパ体操には、ひざを伸ばすストレッチがたくさん組み込まれています。なかでも「ひざ裏伸ばし」(やり方は下記)は、とても重要です。

腰痛や股関節痛、ひざの痛みなど、加齢とともに下半身に現れる不調は、ひざがしっかり伸びていないことが大きな原因の一つです。

本来ひざ関節は、まっすぐに伸びているのが正しいのですが、歩くときには後ろ側の屈筋(曲げる筋肉)が働いてひざを曲げています。

つまり、ひざ周辺の筋肉は、伸ばすことより曲げることが得意なので、どうしてもひざ関節、特にひざ裏は曲がっていることが多くなるのです。

ひざが曲がっていると、重心も正しい位置にないため、姿勢が悪くなり、腰や股関節、ひざ、足首などによけいな負担がかかり、痛みにつながります。

また、正しい姿勢が保てないと、リンパも滞り、痛み物質が回収されず、痛みが解消しづらくなるのです。

痛ければ動くこともおっくうになるので、結果としてどんどん動かさなくなる。その結果、ますますひざは伸びづらくなるという悪循環に陥っていきます。

以上のような事態になる前に、骨に異常がなければ、少しずつでいいので、ひざ裏を伸ばしましょう。動かすことで関節の潤滑液の役割を果たす滑液の分泌も促されるので、変形性ひざ関節症のかたなどは、すぐに効果を実感できるはずです。

ひざ裏伸ばしの効果を持続させるために
《日常で気をつけたい動作》

【姿勢】
ひざが曲がっていると腰や背中、首などもあるべき軸から重心がずれてしまい、各所に痛みが発生する要因となる

【座る】とき
足を広げ、足裏を内側に向けてだらりと緩んでいる。癖になると立ったときにO脚になり、ひざに負担がかかる

【歩く】とき
日本人は内股の人が多い。内股歩きは、ひざを伸ばさずにひざから下だけを使って歩くのでよくない

かかとを突き出すとひざは伸びる

ひざ裏伸ばしをするときに最も意識することは、かかとを突き出すようにする点です。かかとをジワジワと天井に向けて突き出すと、自然にひざが伸びてきます。

ひざ裏を伸ばす時間は1回5秒以上で、回数は1日4回以上行いましょう。毎日続けると効果が早く現れます。

また、ひざ裏伸ばしの効力を持続させるためにも、日常の中で気をつけたい動作を上記で紹介しているので、参考にしてください。

ひざ裏伸ばしをした後は、疲れが取れる、目がよく見える、よく眠れる、肩こり、むくみが解消する、といったような痛み以外の改善も感じられます。

ひざには大きなリンパ節(体内の老廃物や疲労物質を回収し運ぶリンパ管が合流するところ)があります。そこを刺激することと、足を上へと伸ばすことで、リンパの流れが劇的によくなるからです。

皆さんもひざ裏伸ばしをぜひ実践してください!

「ひざ裏伸ばし」のやり方

あおむけになり、足は腰幅に開き、ひざを立てる

両足を胸に引き寄せ、かかとを前方に突き出す

かかとを天井に向けることを意識しながら、じわじわ足を腰の真上で伸ばして、5秒以上キープしたら、(2)→(1)と元に戻る。息を吐きながら行うようにする。
これを1日4回以上行う

[初心者]
《最初は伸びなくても大丈夫!》
ひざがまっすぐに伸びない人は、無理に伸ばさず、伸びるところまででOK

[上級者]
《❸ができる人はさらに挑戦!》
(3)ができる人は、片足ずつ伸ばし、上げた足側の手でつま先を持ち、反対の手でひざを押すと、より効果が高まる

《注意するポイント》
これではひざ裏に効果なし!

上の❷の動作を省いて、ただ足を上げてしまうと、股関節周辺の筋肉を使わず、太ももの筋肉を使うことになってNG

かかとではなく、つま先のほうが天井を向いていると、十分にひざ裏の筋肉を伸ばすことができない

足は必ず腰の上で伸ばす。床に近いところで伸ばすと、ひざ裏ではなく、太ももの筋肉や腹筋を使うことになる

できない人は壁を利用してもOK!カンタン「ひざ裏伸ばし」

壁に足の裏をつけて、息を吐きながら、かかとでグッと壁を押す。手でひざを押してもよい

かかとを壁に預けて脱力。しばらくそのままでいると、じわじわとひざ裏が伸びる

この記事は『安心』2019年3月号に掲載されています。

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