災害時に断水したり、避難所生活になったりして、清潔な水の入手や湯沸かしが満足にできない場合、調乳に支障をきたします。今春、乳児用液体ミルクの製造・販売が認可され、国内初となる製品が、明治とグリコから発売されました。非常時だけでなく、深夜、旅行先、自身の体調が悪いときなど、さまざまな状況下で活用できます。
ここまで進んでる!防災アイテム最前線
今回は「乳児用液体ミルク」
数々の被災体験を教訓に、防災アイテムは日々進化を続けている。ここでは、防災アイテムの最新事情と注目の製品をクローズアップする。
水や湯に溶かす必要がなく、災害時でも安心して授乳ができる
今春、乳児用液体ミルクの製造・販売が認可され、国内初となる製品が、明治とグリコから発売されました。従来は海外製品しかありませんでしたが、安心して使える国産の液体ミルクがようやく実現したのです。
液体ミルクは、常温で保存でき、調乳・温めなしで、哺乳瓶に移してそのまま乳児に与えられます。
粉ミルクの場合、沸かしたお湯に適量を溶かし、それを適温まで冷ますという段取りが必要ですが、液体ミルクなら、その作業が不要。
災害時に断水したり、避難所生活になったりすると、清潔な水の入手や湯沸かしも満足にできず、調乳に支障をきたしますが、液体ミルクと使い捨て哺乳瓶を用意しておけば、安心して赤ちゃんにミルクをあげられます。
また、調乳経験のない人に預ける場合、ミルクをうまく作れるか心配になりますが、液体ミルクがあれば大丈夫。
さらに、非常時だけでなく、深夜、旅行先、自身の体調が悪いときなど、さまざまな状況下で活用できます。このように、母親の不安や負担を軽減するのは、とても意味のあることです。
乳児用液体ミルク
明治 明治ほほえみ らくらくミルク
●内容量:240ml
●希望小売価格:215円(税別)
●賞味期限:1年
乳児用液体ミルク
グリコ アイクレオ赤ちゃんミルク
●内容量:125ml
●希望小売価格:200円(税別)
●賞味期限:6ヵ月
今回発売されたのは2製品で、明治の「明治ほほえみ らくらくミルク」は、頑丈なスチール缶入りで賞味期限は1年。一方、グリコの「アイクレオ赤ちゃんミルク」は、紙パック入りで、賞味期限は6ヵ月です。
それぞれ特徴が異なるので、状況や赤ちゃんの好みに合わせて選ぶのがいいでしょう。私は、明治の製品を飲んでみましたが、サラッとしていて飲みやすいので、赤ちゃんにも安心して与えることができそうですね。
※価格は記事作成時のものです。
防災生活の心得
万が一のときに備え、「災害発生時のルール」を家族で決めておこう
会社や学校にいるときに災害が発生したら、家族の安否が気になります。いざというときに困らないよう、非常時の連絡方法をあらかじめ決めておきましょう。
大災害が発生すると、携帯電話がつながりにくくなります。そんなとき活用したいのが、NTTの災害用伝言ダイヤル(下記参照)です。居場所などを録音しておくと、家族に現在の状況を伝えることができます。
そのほかに、自宅の近くの避難所や公園などを待ち合わせ場所として決めておけば、連絡が取れなくても安心です。また、「10時と16時(20分間待つ)」など、時間も決めておくと、待ち続ける不安もなくなります。
さらに、被災地から遠い地域に住む親戚などに伝言を託すのも有効。複数の手段を講じましょう。
【監修】国崎信江(危機管理アドバイザー)
危機管理教育研究所代表。女性・母親として、生活者の視点で防災・防犯・事故防止対策を提唱。テレビ出演・講演など、精力的な活動を行っている。
■取材・文/生島保