日本人のキレイ好きは、世界でも有名です。「洗いたがる人種」とも言えるかもしれません。「家電」はなかなか洗えませんが、口に入れるモノを扱う家電の中で、長年「洗えればいいな」と思われてきた家電があります。それが、電気ケトルですね。それを実現したのはティファール。日本メーカーではありませんでした。
ゴシゴシ洗える電気ケトル
今ドキの「ティファール顔」をした、ごくありきたりの電気ケトル。
お湯の最大容量は0.8L。また、湯を沸かす能力は、それなり(一線級の意)です。
しかし、日本人が切望した特性を持っているのが、この「ウォッシャブル 0.8L」(KO8001JP)です。
そう、洗えるのです。
日本人は「水で洗う」と落ち着きます。
汚れが落ちやすいのは、本当は水ではなく「お湯」なのですが、心理的には「水」なのです。私は「禊ぎ」の影響ではないかと考えておりますが、その話は置いておきましょう。
「ウォッシャブル」の防水能力は、IPX5。IPといのは、International Protection。そしてIPXは、防水(水に対する保護)を意味します。末尾の数字は等級を表します。数字が大きいほど、能力が高くなりますが、最高値は「8」です。
4級 あらゆる方向からの飛まつによる有害な影響がない(防まつ形)
5級 あらゆる方向からの噴流水による有害な影響がない(防噴流形)
6級 あらゆる方向からの強い噴流水による有害な影響がない(耐水形)
と定められています。
IPX5は、水道で洗う分にはOKということです。
まだ日本では、十分普及していない食洗機は強い噴流水がでますので、IPX6が必要で、そこまでではないレベルです。このため、「ウォッシャブル」は食洗機で洗うことはできません。
ティファール(T-FAL)電気ケトル 0.8L
ホワイトウォッシャブル
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やはり「洗えるって、気持ちイイ!」
では、電気ケトルの内部を実際に洗って見ましょう。
フタは「がばっ」と取れます。
フタが外せないと面倒な時が多いのですが、それがありません。男の私でも手を入れられます。そして中をゴシゴシ。
しかし、ここで結構引っ掛かりますね。内部にはリブがあるので、ガチンガチンという感じでしょうか。ここはできれば、リブなしで「手をくるりと回せばキレイ」という感じだといいな、と思いました。
そして外側も洗い、よくすすいでやると、清々しいです。気持ちイイ!
日本人の、日本人のための、フランス人による製品
日本市場で「清潔」と言うニーズは非常に強いです。
スマホのケースですら「抗菌」というマークの有りなしで売れ行きが違うのが日本流。ですから、日本の全家電メーカーは、丸洗いできる電気ケトルがあれば売れる、というのは分かっていたはずです。
しかし、それに対する答えを出したのは、日本ではなくフランスでした。
私は、ここに日本の家電メーカーの努力不足を感じます。
防水という技術は、古くから検討されてきた技術です。
このため、壁に突き当たっても、技術ヒントはいろいろあります。新しい技術進化をさせる場合も、ゼロからのブレイクスルーよりはるかに容易です。
しかし、今の日本は、そんな感じがしないメーカーが多い。
まだ、環境も、サービスも整わないIoTを掲げてみたりしています。IoTを掲げれば話題にはなりますが、使えない機能で価格を上げられても…と思います。
私はここに「商品企画不在」を感じます。真の商品企画は、容易に企画を捨てません。この防水機能などは強力な武器になるのですから、しつこく追いかけます。多分、今の日本では「遅れている企画」と考えられてるのでしょうね。
そして、ティファールは、そこに新しい視点で見直しを掛けた、そんな感じだと思います。
しかし、日本人なら「清潔」に対する思い、「洗う」ということの感覚を知っているはず。無念ですね。日本人の、日本人のための商品なら、日本人による「洗う清潔」を追求する心が欲しかったです。
ちなみに、ウォッシャブルは現在のところ、「日本専用」だそうです。
フランスからの贈り物として、享受すべきと思います。
簡単、シンプル、そして丸洗い。まさにヤカンです。
安全装置もありませんが、私は、日常道具はこれでイイと思っています。「定番化」確実な製品です。
◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング ポップ-アップ・プランニング・オ
フィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があ
り、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京歴史散歩とラーメンの食べ歩き