今回テストを行ったパナソニックの「LUMIX DC-TZ95」は光学30倍の高倍率ズーム搭載コンデジ。前モデルと比較して、レンズに変更はないが、他の部分に進化がある。例えば、ズームバック機能や大型の電子ビューファインダー、軌跡合成など、この「レンズ以外の進化」に注目だ!
今回のテストアイテムはこちらパナソニック LUMIX DC-TZ95
実売価格例:5万7260円
●プロフィール
光学30倍の高倍率ズームを搭載するコンパクトデジカメ。前作よりも高精細・高倍率になったファインダーや、望遠撮影時に見失った被写体を素早く探せる「ズームバック機能」などを搭載。より使いやすいカメラへと進化した。
<SPEC>
●撮像素子/1/2.3型高感度MOS
●有効画素数/2030万●焦点距離(35ミリ判換算)/24-720mm
●光学ズーム/30倍
●ファインダー/0.21型(約233万ドット)
●モニター/3.0型(約104万ドット)
●記録メディア/SDXC/SDHC/SD
●Wi-Fi/IEEE 802.11b/g/n●電源/充電式バッテリー
●サイズ/幅112.0mm×高さ68.8mm×奥行き41.6mm●重量/328g
一時的に広角側にして被写体を探せる機能も
DC-TZ95には、広角24ミリ相当から超望遠720ミリ相当までの光学30倍ズームが搭載されている。だが、このレンズ仕様は、前作のDC-TZ90も含め、2014年発売のTZ60まで同じだ。
本機の進化点は、レンズ以外の部分にある。まず、望遠や超望遠撮影で被写体を見失った際に、素早く被写体が見つけられる「ズームバック機能」。背面の「Fn2」ボタンを押し続ける間、一時的に広角側にズームして被写体の周囲が確認できる。ズームバック量は、メニューで「L」か「S」に設定可能だ。
また、電子ビューファインダーも進化し、約233万ドット/倍率約0・53倍の高精細な大型ファインダーが搭載された。これは、コンパクトな高倍率ズーム機としては立派な仕様で、使用感も良好だ(TZ90は、約117万ドット/約0・46倍)。
新たな機能としては、「軌跡合成」がユニーク。これは、「4Kフォト」(秒間30コマ連写)で撮ったカットから複数のカットを選択し、1枚の写真に合成するもの。被写体の動きがリアルに再現できる。
■180度チルト式タッチモニターを搭載
背面には、四つの「Fn」ボタンを装備。液晶は180度チルト式タッチモニターで、AF位置の指定や各種機能の設定が可能。
■720ミリ相当の望遠端で撮影
720ミリ相当の望遠端で、キリンの群れから一頭をアップで切り取る。「ズームバック機能」が役立つシーンで、画質もこのクラスとしてはまずまず。
重さは気になるが、基本性能はミラーレス並み
現在、各社から高倍率ズームを搭載するコンパクトデジカメが発売されているが、その中でも本機は、ボディに厚みがあり、手にすると少し重さを感じる。また、ズーム操作中に、画面の”がたつき”が見られるのも、動画撮影時では気になるところ。
それでも、高精細な大型ファインダーは、構図が不安定になりがちな超望遠撮影には有利だ。また、画質モードでRAWやRAW+JPEGが設定できたり、AFの速度や追従性が向上する空間認識技術が採用されたりと、ミラーレス一眼並みの基本性能が備わっている点も、魅力的なポイントといえる。
おすすめ度…B⁺
コンパクトながら大型ファインダーを搭載。超望遠撮影でも安定して撮れる
ココが〇
小型の高倍率ズーム機としては、ファインダーが高精細で大型。RAWモード、空間認識AF、電子水準器など、高い基本性能を持つ。
ココが×
高倍率ズームの仕様が、2014年モデルから進化していない。厚みがあり重さを感じるボディ。ズーム時の画面の"がたつき"も気になる。
※文中の「オススメ度」は、「A+」から「C-」までの9段階評価になっています。
※価格は記事作成時のものです。
解説/吉森信哉 (フォトグラファー)