スマホ充電の必須アイテムであるUSB充電器やモバイルバッテリーだが、最近は「USB PD」対応の製品が目立つようになってきている。多くはなんとなく「高速充電」的な意味と理解しているかもしれないが、それは当たらずといえども遠からずといったところだ。そうした曖昧な知識のまま、USB PD機器を購入してしまうと、手持ちの機器では使えないなど、手痛い失敗をすることになりかねない。そこで今回は、最新の充電トレンドである「USB PD」の現状についてわかりやすく解説していこう。

そもそも「USB PD」ってなんのこと?

「USB PD」とは「USB Power Delivery」の略称で、USB端子を用いてパソコンやスマホなどのデバイスを充電するための給電規格のことだ。

最大の特徴は、なんといってもUSB端子に「Type-C」コネクタを採用することで「最大100W」の給電が可能な点。5~10W程度しか扱えなかった従来のType-A(いわゆる「標準サイズのUUSB端子」)やマイクロUSB端子に比べると、およそ10~20倍ものパワーがあることになる。

これはあくまで単純計算だが、USB PD充電機器を用いれば、機器によっては理論上、従来のUSBの最大20倍の速度で充電が可能となる。
もっとも、現状では100W充電に対応する機器はMacBook Pro(15型)などがある程度で、そう多くはないが、今後、USB PDの普及に弾みがつけば、そうした高速充電がまたたくまに浸透する可能性は高い。

……と、ここまで聞いた諸氏の中には、
「Type-C端子がついたUSBケーブルなら持ってるから、これでPD充電できそう」
と思うかもしれない。だが、それはちょっと早計というものだ。

きっと、そのケーブルというのは、Type-C端子は備わっているものの、もう一方は「USB TypeA(標準サイズ)」端子というタイプではないだろうか。

画像: 高耐久USB Type-Cケーブル - MPA-ACS03NBK 断線に強い高耐久モデル。 USB Standard-A端子を搭載したパソコン・充電器と、USB Type-C端子を搭載したスマートフォンなどの接続ができるUSB2.0ケーブル。

高耐久USB Type-Cケーブル - MPA-ACS03NBK
断線に強い高耐久モデル。 USB Standard-A端子を搭載したパソコン・充電器と、USB Type-C端子を搭載したスマートフォンなどの接続ができるUSB2.0ケーブル。

実は、こうしたケーブルは、内部の配線構造は従来のUSBケーブルとほぼ変わりはない。USB PDに対応するには、最低でも両端子ともにType-Cコネクタを採用している必要がある。従って、この手の「片側だけType-C」はすべてUSB PD非対応と判断できる。

このように「USB PD」とひと口にいっても、ケーブルひとつとっても対応・非対応の違いがあり、正直なところ、ビギナーにとっては非常にややこしく感じるはずだ。

加えて、USB PDの高速充電を実現するには、ケーブルに加えて、充電器やモバイルバッテリー、さらにはスマホやパソコンなど、充電する端末側もすべて「USB PD」に対応している必要がある。もし、ひとつでも非対応の機器が入り込んでしまうと、USB PDの高速充電ではなく、通常のUSB充電に切り替わってしまう。

「Quick Charge」との違いは?

USB PD以外にも、日本でもよく知られたメジャーな高速充電規格として「Quick Charge」があるが、結論からいうと「USB PD」とはまったく別物となる。

Quick Chargeは、従来のUSB規格を米クアルコム社が独自に拡張して高速充電を実現させたもので、最新規格では最大20V出力を実現。ただし、利用するにはケーブルと充電器、さらには端末側もQuick Charge対応で揃える必要がある。

ただし、ここもややこしい点だが、実は、最新バーションの「Quick Charge 4/4+」では、USB PDとの互換性も備えている。平たくいえば「Quick Charge 4/4+」の充電器なら、USB PDの高速充電も利用できるということだ。

もちろん、互換性があるのはあくまでQuick Charge 4/4+のみで、それ以前の規格はUSB PDとの互換性はまったくない。Quick ChargeとUSB PDが混在しても通常のUSB充電は行えるが、高速充電には非対応となるので注意してほしい。

画像: 磁気研究所の「Quick Charge4.0」対応USB充電器で、当然「USB PD」充電もこなせる。Type-C端子のほか、通常のUSB充電に対応した3基のType-A端子を搭載するなど、なかなか使い勝手の優れた一品だ。

磁気研究所の「Quick Charge4.0」対応USB充電器で、当然「USB PD」充電もこなせる。Type-C端子のほか、通常のUSB充電に対応した3基のType-A端子を搭載するなど、なかなか使い勝手の優れた一品だ。

「USB PD対応」なのに充電できない理由とは?

前述したように、USB PDの高速充電はケーブル1本間違えるだけでも不可能となる。さらに、USB充電器やモバイルバッテリーなどの充電機器、パソコンやスマホなど、充電する側の機器もUSB PDに対応している必要がある。

つまり、USB PDの高速充電を利用するためには、最低限でもすべての機器を「USB PD」対応の製品で統一しなければらないということだ。

しかし、ときにはすべての機器がUSB PDに対応していても、端末を充電できない場合がある。こうした問題がよく起こりがちなのが、「ノートパソコン」の充電時だ。

これは、スマホやタブレットとは異なり、ノートパソコンの充電時は高出力を求められることが多いためだ。従って、使用しているUSB PD充電器が低出力タイプだと、パワー不足で充電できなくなってしまうというわけだ

こうした充電トラブルを解決するには、まずノートパソコンのUSB PD充電で必要なワット数を確認したうえで、それに見合う充電器とケーブルを揃える必要がある。必要な出力はデバイスによって異なるものの、大体の目安としてはノートパソコンの場合、最低でも「45W」以上の充電器を選択したい。

基本的には、すべて高出力対応の充電機器を選んでおけば間違いないが、使い勝手については注意が必要だ。なぜなら、USB PD機器は高出力モデルほど、重量が重くなってくるうえ、価格も高いという傾向があるからだ。

■USB PD機器の特徴

USB PD機器高出力タイプ低出力タイプ
充電器重量重い軽い
価格高い安い
モバイルバッテリー重量重い軽い
価格高い安い

現状ではスマホの場合、USB PD充電の対応出力は18W止まりの場合がほとんど。つまり、スマホで使用するだけなら、18W程度の低出力タイプで十分であり、それ以上を用意してもほとんど意味がない。

ノートパソコンでの利用がメインなら、付属のACアダプターよりマシと思って多少の重さは我慢できるだろうが、スマホやタブレットでしか使わないのに、高額で重い高出力タイプをわざわざ選ぶ必要もないだろう。

バリエーションが多すぎる!? 「USB PD」ケーブルの選び方

一方、USB PD対応のType-Cケーブルの場合、対応するUSB規格によって8種類ほどのバリエーションに分けられる。

■USB PD対応Type-Cケーブル比較表

USB規格最大データ転送速度最大電流(USB PD)
USB2.0480Mbps3A
5A
USB3.05Gbps3A
5A
USB3.1 Gen15Gbps3A
5A
USB3.1 Gen210Gbps3A
5A

USB規格が新しいほうが電流性能も高いと思うかもしれないが、比較表のとおり、実際にはUSB PDの給電能力とは無関係だ。例えば、USB2.0のケーブルでも5Aの電流を流せるものもあるし、逆に、最新のUSB 3.1 Gen2のケーブルでも3A止まりのものもある。

最も高性能なケーブルはどれかと尋ねられれば、USB規格が「3.1 Gen2」、USB PDが「5A」のタイプにはなるが、それがすべてにおいて最善かというとなかなか難しい面がある。

というのも、USB規格がより新しく、USB PDの電流性能が高くなればなるほど、ケーブルが太くなっていくうえ、価格も上がってくることが多いからだ。

例えば、スマホを高速充電するだけなら、最も安価なUSB2.0&3AのType-Cケーブルでも十分事足りる。それどころか、それ以上の性能を求めると、かえってケーブルが太くなって収納しにくくなったり、取り回しに難儀したりなど、使い勝手が悪くなってしまう。

もちろん、考え方は人それぞれだし、多少使い勝手が悪くてもノートパソコンとスマホの充電や高速データ転送を1本で済ませたいという人もいるだろう。もちろん、その場合には迷わずUSB 3.1 Gen2&5A対応のType-Cケーブルを選ぶべきだ。

機器別のおすすめUSB PD充電セットはこれ!

これまでの説明で、スマホやノートパソコンなど、充電する側の端末によって、最適なUSB PD機器は異なってくることはおわかり頂けたと思う。しかし、それでもビギナーが最適な充電機器をイチから選ぶのは、非常に厄介であることは間違いない。

そこで、そんな面倒を少しでも省ければと考え、スマホとノートパソコン別におすすめの充電機器を取り上げていくことにした。充電機器として紹介するのは、USB充電器とケーブル、モバイルバッテリーの3種類。これだけ揃えれば、USB PDの充電環境は万全のはずだ。

スマホ向け

【USB充電器】
RAVPower RP-PC108

画像: 幅49ミリ✕高さ30ミリ✕奥行き49ミリ、重量70グラムのコンパクト筐体を実現。2基のUSB端子を備え、Type-Cコネクタ側は18WのUSB PD、Type-A側は18WのQuick Charger3.0に対応している。

幅49ミリ✕高さ30ミリ✕奥行き49ミリ、重量70グラムのコンパクト筐体を実現。2基のUSB端子を備え、Type-Cコネクタ側は18WのUSB PD、Type-A側は18WのQuick Charger3.0に対応している。

【USB Type-Cケーブル】
Anker PowerLine+ USB-C & USB-C 2.0 ケーブル

画像: USB2.0に対応したUSB PD対応ケーブル。ケーブル皮膜に高耐久ナイロンを採用するなど、耐久性も申し分なし。ケーブル長は0.9メートルと1.8メートル、カラーはブラックとレッドの2種類を用意している。

USB2.0に対応したUSB PD対応ケーブル。ケーブル皮膜に高耐久ナイロンを採用するなど、耐久性も申し分なし。ケーブル長は0.9メートルと1.8メートル、カラーはブラックとレッドの2種類を用意している。

【モバイルバッテリー】
チーロ cheero Power Plus 5

画像: 18W出力に対応したモバイルバッテリーで、USB PD対応のType-C端子のほか、Type-A端子の全2基を備える。さらに、10000mAhの大容量を実現しつつも、幅46ミリ×高さ24ミリ✕奥行き98ミリ、重量205グラムと携帯性も抜群だ。電池残量をひと目で把握できる便利なデジタルインジケータも搭載している。

18W出力に対応したモバイルバッテリーで、USB PD対応のType-C端子のほか、Type-A端子の全2基を備える。さらに、10000mAhの大容量を実現しつつも、幅46ミリ×高さ24ミリ✕奥行き98ミリ、重量205グラムと携帯性も抜群だ。電池残量をひと目で把握できる便利なデジタルインジケータも搭載している。

ノートパソコン向け

【USB充電器】
RAVPower RP-PC105

画像: 最大61Wの出力が可能なType-Cを搭載したUSB PD充電器で、ノートパソコンの充電にうってつけ。加えて、USB Type-A端子も備えているため、PD非対応のデバイスを手軽い充電できる点も重宝するはず。カラーはブラックとホワイトの2種類。

最大61Wの出力が可能なType-Cを搭載したUSB PD充電器で、ノートパソコンの充電にうってつけ。加えて、USB Type-A端子も備えているため、PD非対応のデバイスを手軽い充電できる点も重宝するはず。カラーはブラックとホワイトの2種類。

【ケーブル】
エレコム USB3-CC5P10NBK

画像: 最大20V/5Aの高出力に対応したUSB PDケーブルで、最大10Gbpsのデータ転送速度を誇る「USB3.1 Gen2」に準拠。3重シールドを採用しており、外部ノイズの干渉もしっかり保護してくれる。ケーブル長は0.5メートルと1メートルの2種類。

最大20V/5Aの高出力に対応したUSB PDケーブルで、最大10Gbpsのデータ転送速度を誇る「USB3.1 Gen2」に準拠。3重シールドを採用しており、外部ノイズの干渉もしっかり保護してくれる。ケーブル長は0.5メートルと1メートルの2種類。

【モバイルバッテリー】
RAVPower RP-PB159

画像: 20100mAhの大容量を誇るモバイルバッテリーで、ノートパソコンの充電にも対応する最大45W給電に対応。USB PD対応のType-Cのほか、Type-A端子も備え、通常のUSB充電も利用できる点も使い勝手がいい。さらに、Type-Cコネクタは出力のほか、最大30Wの入力も可能で、残量ゼロになった本モバイルバッテリーをわずか3.5時間でフル充電できる。

20100mAhの大容量を誇るモバイルバッテリーで、ノートパソコンの充電にも対応する最大45W給電に対応。USB PD対応のType-Cのほか、Type-A端子も備え、通常のUSB充電も利用できる点も使い勝手がいい。さらに、Type-Cコネクタは出力のほか、最大30Wの入力も可能で、残量ゼロになった本モバイルバッテリーをわずか3.5時間でフル充電できる。

まとめ

スマホの高速充電を実現する便利な「USB PD」だが、利用するには充電器やケーブル、端末のすべてがUSB PDに対応している必要がある。また、ノートパソコンの充電もこなせる高出力なUSB PD充電器もあるが、現状では高額なうえ、サイズも大きいというネックがある。持ち運びには少々不向きなので、ノートパソコンとは別にスマホの充電環境は別途用意するなど、切り離して考えたほうがいいだろう。

◆篠原義夫(フリーライター)
パソコン雑誌や家電情報誌の編集スタッフを経て、フリーライターとして独立。専門分野はパソコンやスマホ、タブレットなどのデジタル家電が中心で、初心者にも分かりやすい記事をモットーに執筆活動を展開中。

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