アナログレコードの【カッティング】とは?匠の技が出来を左右する最初の製造工程

家電・AV

カッティングとはレコード製作の最初の工程のこと。その後、いくつかの工程を経て大量のレコードがプレス(複製)される。実際、音楽そのものを熟知し録音時間やピーク、どのあたりで静かになるかなどを計算のうえでマシンの設定やチューニングを施す。すべては、カッティングエンジニアが製作した一枚のラッカー盤が基になることを知っておこう。

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アナログレコードの「カッティング」とは?

読者から質問

アナログレコードの「カッティング」とは何ですか? また、それは「誰がカッティングを行うか」によって、出来が変わるものでしょうか?(S.Tさん 東京都 40歳)

専門家の回答

編集部:
これは、AV評論家の林正儀さんに聞きます。

専門家:
「カッティングというのは、レコード製作の最初の工程です。その後、いくつかの工程を経て大量のレコードがプレス(複製)されていくのです。
ボーカルもクラシックも、録音によって得られた音源は、まずカッティングマシンで柔らかなラッカー盤(凹)に刻まれます。
その後は、凹、凸の型取りを繰り返すのですが、メタルマスター(凸)、メタルマザー(凹)、そして最後のスタンパー(凸)でレコードをプレスするという流れです。

大量に出回るレコード盤も、実はカッティングエンジニアが製作した一枚のラッカー盤が基になっています。
これはアルミの板にラッカーコーティングした柔らかいシートで、失敗したらすべて最初からやり直し。カッティングは機械任せではなく、とてもヒューマンな作業なのです。

私は実際のカッティング風景を見たことがありますが、音楽そのものを熟知して、録音時間やどの辺にピークが来るか、どのあたりで静かになるかなど、すべて計算のうえでマシンの設定やチューニングをしていましたね。
音のレベルや溝どうしの間隔などがすべて音質にかかわってくるので、溝の刻み方はとてもデリケート。
ですから、カッティングエンジニアの経験と感性、技術がレコードの出来にかかわってくるのです。匠のワザといっていいでしょう」

編集部:
カッティングを行うのは、音楽を熟知した人でないといけないということですね。

専門家:
「レコード製作の工程で、マザーやスタンパーなど、あとの工程になるほど枚数を多く作るのはわかるでしょう。
かつてのようなミリオンセラー時代は、大変な数を作っていたわけですね。最終のプレス工程に用いるスタンパーは、レコード数百枚ごとに交換するようになっていますよ。

以上が一般的なレコードの製造プロセスですが、一部には『マスター盤プレッシング』というハイクオリティ盤もあります。
これは、音質重視の枚数限定盤。マザーとスタンパーの工程を飛ばして、マスター盤から直接プレスしてしまうものです。
二度のコピーを省くため、カッティング時に近い音溝が形成され、よりダイレクトでリアルな再生ができます」

編集部:
なるほど。今の話をうかがうと、マスター盤プレッシングの音を聴いてみたくなりますね。
ありがとうございました!

イラスト/はやし・ひろ

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