こうじ菌や酵素の働きを加熱や酒精によって止めていない「生みそ」が、健康効果が高いのですが、気軽に手作りには挑戦できません。そこでお勧めしたいのが、仕込み3分、発酵1ヵ月、うま味が強く塩分控えめ。無添加で安心。の「豆乳みそ」です。【解説・レシピ・料理・スタイリング】園田芽衣】園田芽衣(うちらぶKitchen主宰・発酵マイスター)
解説者のプロフィール
園田芽衣(そのだ・めい)
発酵マイスター。浦添市食生活改善推進員。子どものアレルギー発症を機に毎日の食を見直し、食に関する講座やイベントを手掛けるようになる。発酵、酵素、ミネラルの力を活用し、【つよいカラダを作る食育】を教える発酵料理教室「うちらぶ Kitchen」を主宰。豆乳みそをはじめとする発酵調味料や、ノンシュガースイーツなどの商品開発を行う。「沖縄ちゅらTV」(NHK沖縄)の人気コーナー「おなかスイスイ発酵スイーツ」の料理監修を担当している。https://peraichi.com/landing_pages/view/hakkolove
仕込み3分でおいしいみそを簡単手作り
「1日1杯のみそ汁で医者いらず」「みそ汁一杯三里の力」などと昔から言われている通り、みそは、日本が誇る健康発酵調味料です。
発酵によって、大豆のたんぱく質が消化吸収されやすい形に分解され、ビタミンや抗酸化成分が生み出されるので、栄養価も高まります。
こうじ菌が生み出すさまざまな酵素(体内での化学反応を促進する物質)をたっぷり含む酵素食品であり、腸内環境を整える作用も抜群です。
特に、こうじ菌や酵素の働きを加熱や酒精によって止めていない「生みそ」が、そうした健康効果が高いのですが、その分、発酵がどんどん進んでしまうため、流通には不向きです。
かといって、みそを手作りするとなると、大豆を一晩以上水に漬ける→軟らかくなるまで蒸すかゆでる→大豆をつぶして塩とこうじを混ぜる→丸めて詰めると、仕込みだけで2日がかりの大仕事。さらに発酵熟成に半年から1年かかるとなると、そう気軽には挑戦できません。
そこでお勧めしたいのが、仕込み3分、発酵1ヵ月でできる「豆乳みそ」です(作り方は下記参照)。
豆乳みそは、ジップ式の密閉保存袋に豆乳、米こうじ、塩を入れて、袋の上からもんで混ぜるだけで仕込みは完了。後はときどき袋の口を開けて空気を抜き、もむだけなので、誰でも簡単に作れます。
わが家では7歳、5歳の子たちは仕込みから一人でできますし、末っ子も2歳のときから空気抜きと「おいしくなーれ」と声をかけながらもみもみして日々お世話をしています。
そのうえ、豆乳みそは
◎市販のみそより塩分控えめ。無添加で安心。
◎うま味が強いので、だし不要。お湯を注ぐだけでおみそ汁ができる。
◎さっと溶けるので、いろいろな料理に活用しやすい。
と、いいことずくめのみそなのです。
NHKの番組で紹介し大好評!
私が豆乳みそをはじめとする発酵食を積極的に取り入れるようになったのは、母乳で育てていた長男が、生後2ヵ月で重度のアレルギーを発症したのがきっかけでした。
長女も多少アレルギー性鼻炎がありましたが、長男はアレルゲン検査で食品36品目中、大豆以外の35項目がNGという重症のアレルギー体質だったのです。
医師から「母乳にはアレルゲンは出ない」と言われましたが、実際に私が卵を食べれば長男の肌は真っ赤に腫れ上がり、私がパンを食べればブツブツガサガサになって、眠れないほどのかゆみで泣き叫びます。
私が何を食べているかで、明らかに体調が変わり、苦しむ子どもの姿を目の当たりにして、私自身も食べることが怖くなりました。そこから自分の食生活を見直し、きっちり排泄してデトックス(毒素排出)できる腸内環境をつくることの重要性を学びました。
そして、腸内環境を整える発酵食品や酵素、抗酸化作用の強い食べ物を中心とした食事を実践したところ、家族みんながどんどん元気になっていったのです。そうした食生活で中心となったのが、豆乳みそでした。
ひどいアレルギーだった頃の長男は、極度に暑がりで、氷入りの飲み物が大好き、手足に比べておなかが冷えていました。
それが、豆乳みそを活用した食生活に変えていく中で、徐々におなかが温かくなり、36℃程度だった平熱も36℃後半に上昇。35項目もあったNG食材が2年後にはゼロになり、3歳にはなんでも食べられるようになりました。
ちなみに体質改善に取り組む間に生まれた次女は、アレルギーゼロの超健康体で、長男の担当医から「兄妹でこれほど体質が違うのも珍しい」と言われたほどです。長女の鼻炎や私の便秘も、今では全くなくなり、家族に笑顔が増えたのが一番うれしいです。
食の大切さを実感し、同じような悩みを持つママ友たちに講座を開いたことを端緒に、豆乳みその作り方と食育を教えるようになりました。「沖縄ちゅらTV」(NHK沖縄)で紹介した際は、大きな反響があったそうです。
豆乳みそを愛用してくださっている方たちからは、便秘やアレルギー解消はもちろん、体脂肪が減った、フケが出なくなった、美肌になった、カゼをひかなくなったなど、たくさんの喜びの声が届いています。皆さんもぜひ作ってみてください。
「豆乳みそ」の作り方
【仕込み】
【材料】
・豆乳…200ml
・米こうじ…200g
・天然塩…32g
・ジッパー密閉式保存袋
・消毒用アルコール(調理用)
※18度以上の焼酎や泡盛でも代用できる。
❶保存袋の口を広げて折り、口周りをアルコールで拭き、消毒する。
❷(1)に塩と豆乳を入れ、軽くもんで塩を溶かす。
❸(2)に米こうじを加え、軽くもんで全体をなじませる。
❹空気を抜いて、保存袋の口を閉じ、室温(約15~30℃)に置く。毎日軽くもむ。
※直射日光は避ける。
※仕込み日を袋にメモしておくとよい。
【8日目〜1ヵ月】
❺仕込みから1週間たったら、袋の口を開けて空気を入れ替える。(4)と同様、空気を抜いて口を閉じ、軽くもむ。2~3日に1回(ガスで袋がパンパンになっていたら毎日)、くり返す。
※少しずつこうじの粒が滑らかになり、色が濃くなっていく。水分が分離したら、軽くもんで混ぜ込んでおけばOK。
【完成!】
仕込みから1ヵ月以上たち、みそのいい香りになり、ベージュ色が濃くなったら完成!好みでもう2~3ヵ月常温で熟成させてもよい。保存は冷蔵庫で、半年程度が目安。冷蔵庫内でも少しずつ熟成が進む。
■うま味が濃いからダシいらず!お湯を注ぐだけの簡単みそ汁
大さじ1の豆乳みそを180~200mlのお湯に溶かす。
※乾燥ワカメや油揚げなど好みの具を加えてもよい。
「豆乳みそ」アレンジレシピ
♪こうじが生きているからお肉が軟らかくしっとり焼きあがる!
チキンの照り焼き&豆乳みそドレッシング
【材料】(2人分)
鶏もも肉(骨付き)…2本
豆乳みそ…大さじ1
ニンニク…1片
米油…大さじ1
〈ドレッシング〉
オレンジの搾り汁…50ml
豆乳みそ…25ml
米油…大さじ1~2
塩…少々
サラダ(キャベツ、パプリカなどお好みで)…適宜
ゆで卵…1個
【作り方】
❶鶏もも肉と豆乳みそをビニール袋に入れ、もみ込んでなじませ、10分置く(冷蔵庫で1晩置くと、肉がより軟らかくなる)。
❷フライパンに油を引き、刻んだニンニクを入れて揚げ焼きし、ニンニクの香りが立ったら、(1)を皮目を下にしてフライパンに並べ、ふたをして中火で5分焼く。
❸皮目にきれいな焼き色がついたらひっくり返し、再度ふたをして中火で2分焼く。
❹ドレッシングの材料をすべて混ぜる。
❺チキンを皿に盛り、付け合わせにサラダと半分に切ったゆで卵、(4)を添える。
♪スイッチぽンで出来上がり!
豚肉と根菜のゴロゴロ煮
【材料】(2人分)
豚肩ロース肉…200g
ジャガイモ…2個
サツマイモ…1本
ニンジン…1本
豆乳みそ…大さじ1〜2
【作り方】
❶豚肉は一口大に切る。ジャガイモ、サツマイモ、ニンジンはよく洗い、皮付きのまま一口大に切る。
❷炊飯器に(1)を入れて、豆乳みそを加えて、全体に絡める。
❸炊飯器のふたをして早炊きボタンを押し、炊き上がったら出来上がり。
※通常の炊飯ボタンの場合は25分たったところで手動で止め、出来上がり。
♪味が絡みやすいから最後にかけるだけでOK
サバみそ
【材料】(2人分)
酒…大さじ1
サバ(2枚おろし)…1尾分
豆乳みそ…大さじ1
付け合わせ(千切り大根・スダチなど)…適宜
【作り方】
❶フライパンに酒を入れ、皮を下にしてサバを並べる。
❷ふたをして中火で2分蒸し焼きにしたらひっくり返し、もう1分焼く。
❸火を止めてから、豆乳みそをサバにかけ入れ、ふたをしてそのまま2〜3分蒸らす。
❹器に盛り、付け合わせを添える。
♪豆乳みそだけなのにツナマヨ風味に
ツナみそピザ
【材料】(2枚、2~3人分)
オリゴ糖(ハチミツでも可)…10g
ドライイースト…3g
ぬるま湯…90ml
中⼒粉…160g
塩…少々
オリーブ油…10g
ツナ缶…1個
豆乳みそ…大さじ1~2
トッピング(ピザ用チーズ、タマネギスライス、ケチャップなど)…お好みで
【作り方】
❶オリゴ糖とドライイーストをぬるま湯に⼊れて10分置いておく。
❷中力粉と塩をボウルに⼊れて混ぜ、(1)を少しずつ加えながらこねる。生地がある程度まとまったらオリーブ油を加え、粉っぽさがなくなるまでこねる。
❸丸くまとめてふんわりとラップをかけ、30~40℃で1.5倍になるまで、約30~40分発酵させる。50℃程度のお湯を鍋に張って湯煎するか、オーブンの発酵機能を使うとよい。
❹発酵させている間に、ツナ缶の油を軽く切り、豆乳みそと混ぜておく。
❺(3)が発酵後、2等分にして麺棒でフライパンの直径に合わせて丸く伸ばす。(4)を全体にぬり、お好みのトッピングをのせ、フライパンで中火で15分焼く。