脳卒中というと脳の病気のように思いがちですが、正確には脳にいく血管の病気です。血管がダメージを受けると、脳卒中が起こりやすくなるということです。【解説】豊田章宏(中国労災病院治療就労両立支援センター所長・同病院リハビリテーション科部長)

解説者のプロフィール

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豊田章宏(とよた・あきひろ)

1986年、岩手医科大学医学部卒業、脳神経外科講座入局。90年、同大学大学院医学研究科終了。96年、中国労災病院リハビリテーション科部長。2018年、同病院治療就労両立支援センター所長に就任し、勤労者医療の一環として就労支援に取り組む。

脳卒中のリスクが最も高いのは生活習慣病!

今、世界では6人に1人が脳卒中にかかり、6秒に1人が脳卒中で亡くなっています。

たとえ命が助かったとしても、後遺症が残れば、一生ハンディを背負って生きていかなくてはなりません。そうならないためにも、できることなら脳卒中になる前に防ぎたいものです。

では、どんな人が脳卒中にかかりやすいのでしょうか。

脳卒中というと、脳の病気のように思いがちですが、正確には脳にいく血管の病気です。脳にいく血管が詰まれば脳梗塞、破れて出血すれば脳出血です。

ですから、血管がダメージを受けると、脳卒中が起こりやすくなるということです。

下に、脳卒中にかかりやすいタイプを20項目挙げました。これらはいずれも、血管への負担を大きくする要因です。該当する項目があればあるほど、注意が必要です。

脳卒中にかかりやすい度チェック20

□ 高血圧である。
□ 糖尿病である。
□ 脂質異常症である。
□ 太っている。
□ 運動不足である。
□ お酒をたくさん飲む。
□ タバコを吸う。
□ 濃い味つけが好き。
□ 脂っこい物が好き。
□ 味見せずに調味料を足す。
□ 果物を食べることが少ない。
□ 野菜をあまり食べない。
□ ストレスがたまっている。
□ 孤独。ゆっくり休めない。
□ 完璧主義者である。
□ 睡眠時無呼吸症である。
□ 夜間頻尿である。
□ 60歳以上である。
□ 脈が乱れることがある(心房細動である)。
□ 親族に脳卒中患者がいる。
※複数該当する場合は要注意!

最もリスクが高いといわれているのは、高血圧、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病です。生活習慣病に長期間さらされると、動脈硬化が進行し、血管は非常にもろくなります。

そして、生活習慣病のベースにあるのが、肥満、運動不足、お酒の飲み過ぎ、喫煙、偏った食生活(濃い味つけが好き、脂っこい物が好き、味見せずに調味料を使う、野菜や果物をあまり食べないなど)です。

そのほか、ストレスがたまっている、孤独、ゆっくり休めない、完璧主義者であるなどは、精神面に悪影響を及ぼし、食生活の乱れ、活動低下による運動不足になる可能性があります。

肥満やお酒の飲み過ぎは睡眠時無呼吸症候群を引き起こしたり、ストレスや運動不足は夜に眠れず頻尿につながったりもするので、そのような症状がある人も要注意です。

加えて、年齢も大きなリスク要因です。60歳を過ぎると生活習慣病がグンと増えるほか、加齢による血管の老化も進みます。

また、心房細動といって、不整脈があると心臓に血栓ができやすくなり、それが脳の血管に飛んで詰まることで脳梗塞を引き起こすケースもあります。心房細動は、肥満の人や、80歳以上の人に多く見られます。

さらに、脳卒中のなかでもクモ膜下出血は、遺伝によって起こりやすいといわれています。

脳卒中の予防法

タバコはきっぱりやめて果物は適量を摂取!

それでは、この20項目をもとに、脳卒中の予防法を考えてみましょう。

まず、年齢はどうすることもできません。遺伝も同様ですが、もし親族に脳卒中になった人がおられるなら、脳ドックを受けておくと安心です。

生活習慣病のある人は、しっかり治療しましょう。まず治療すべきは、高血圧です。高齢者は、いきなり薬で下げるとフラつくことがあるので、医師の指示に従って徐々に下げます。

不整脈や、就寝中に呼吸が10秒以上止まる睡眠時無呼吸症候群も、治療が必要です。

そして、医療機関における治療以外で、自分でできることといえば、生活習慣の改善です。特に中年期以降は、筋肉を落とさず肥満を解消することが大切。そのために必要なのが、食事と運動です。

食事は甘い物や脂っこい物を控え、ひと口ごとに箸をおき、よく噛んで食べましょう。
 

血圧のためには塩分も控えめに。かといって高齢者が塩分を制限し過ぎると、低ナトリウム血症を起こしかねません。1日7〜8gを目安にしましょう。

野菜や果物には、ナトリウムを排出するカリウムが含まれるほか、食物繊維も豊富です。果物は糖分のとり過ぎにならない程度に、何事も適量を守って食べるようにしてください。

コンビニ弁当が多くなりがちな夜間労働者なども、脳卒中を起こしやすいので、弁当にサラダなどの野菜を加えましょう。

運動は、エレベーターを使わず階段を使う、電車をひと駅手前で降りて歩く、座りっぱなしの人はたまに立ち上がってスクワットを行うなど、できることから意識して行ってください。

お酒は、ビールなら中瓶1本、日本酒なら1合、ワインならグラス2杯までが適量です。喫煙は加熱式タバコも含め、きっぱりやめることをお勧めします。

そのほか、ストレス発散も心がけましょう。好きなことをしたり、人との会話を増やしたりするだけでもスッキリします。大きく口を開けて発声練習をしたり、カラオケで歌ったりするのもよいでしょう。のどの筋肉が鍛えられて、睡眠時無呼吸症候群や誤嚥の予防になります。

なお、脱水から脳梗塞につながることもあります。汗をかく夏はもちろん、暖房で乾燥する冬も、こまめに水分を補給することが大切です。

※この記事は『壮快』2020年3月号に掲載されています。

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