ショートメッセージやLINEなどで「マスクを無料配布する」などと、リンクで架空の詐欺サイトへ誘導したり、「コロナの影響で金相場が上がる」として金を買う権利を勧誘したりといった詐欺事例が発生している。あらかじめ情報収集をしておき、被害にあわないようようにしておこう。
毎日のように起こるネットがらみの事件。注目の事例を紹介するとともに、その対策も解説していこう。
解説者のプロフィール
福多利夫(ふくた・としお)
デジタル関連のフリーライター。インターネット以前のパソコン通信時代からのネット民。家電製品協会認定の家電総合アドバイザーでもある。
あなたもねらわれている!?
ネットの“アブない”事件簿
新型コロナウイルスの蔓延で深刻化したマスク不足。まず問題となったのが、Amazonやメルカリなどでのマスクの高額転売。これは、転売が禁止されたことで終息したが、さらに悪質な便乗詐欺が次々と起こっている。
例えば、SMS(ショートメッセージ)やLINEを使って「マスクを無料配布する」としてリンク先の詐欺サイトへ誘導し、クレジットカード情報を詐取したり、不正アプリをインストールさせたりする例が報告されている。
もちろん、マスク販売だけではない。LINEが厚生労働省と協力して行った体調に関するアンケートにも、LINEの公式マークの付いていない偽アンケートが発生。偽サイトに誘導されてクレジットカード情報の入力を求められる事案が発生している。
また、自治体や、自治体からの委託を受けた業者と偽り、コロナウイルスが水道管で繁殖しているというSMSを送り、高額な配管清掃の契約を迫るケースもあるという。
■国民生活センターが注意を喚起!
さらに、巧妙な「ランサムウエア」(ウイルスによってスマホやパソコンを使用不可能な状態にし、解決のため金銭を要求する身代金要求型不正プログラムのこと。)も登場。
ウイルスの感染地域がわかるという偽Androidアプリをインストールするとスマホ画面がロックされ、解除のために金銭が要求される。
■セキュリティアプリメーカーも呼びかけ
注目の出来事があれば必ず便乗詐欺が現れる。通常の迷惑メールなどと同様、冷静な対応が肝心だ。
処方箋
ショートメッセージやLINEなどで、相手側が勝手に送ってくる情報は嘘と考え、いきなりリンクをクリックしたりしない。
情報が必要な場合は、自分から公的機関や企業が発信する「公式」の情報を探しに行くこと。新型コロナウイルスで、得する話はないことを肝に銘じよう。
今回のネットのアブない事件簿
「 新型コロナウイルス関連詐欺」
ショートメッセージやLINEなどで「マスクを無料配布する」などと、リンクで架空の詐欺サイトへ誘導したり、「コロナの影響で金相場が上がる」として金を買う権利を勧誘したりといった詐欺事例が発生。
また、世界保健機関(WHO)や厚生労働省などの公的機関の公式サイトを偽装する例も多発している。
解説/福多利夫
イラスト/早川修