【電気圧力鍋の “違い” に注目】調理モード、レシピメニュー、加圧時間、予約機能…意外と知らない電気調理鍋の基礎知識

調理家電

材料と調味料を入れてスイッチを押せば、煮込み系の料理が「ほったらかし」で作れる電気調理鍋。最近人気でいろんな製品が出ていますが、実はけっこう知られていない「違い」があるんです。ごちゃごちゃになりやすい基礎知識を整理して、メリット・デメリットの把握に役立ててください。アイリスオーヤマ、ティファール、コイズミ、象印、シャープなどの人気モデルを中心に紹介します。

どの調理モードで何が作れるの?

最近の電気調理鍋は、一台◯役という多機能製品が多いです。自分の目的に合った調理モードが搭載されているか確認しましょう。

圧力調理モードとは

高温・高圧調理をすることで、硬い食材でも短時間で軟らかくなったり、味がしみやすくなります。何時間も煮込む牛すじの下ごしらえや煮豆作りに便利。

無水調理モードとは

食材に含まれる水分だけで調理するモード。「時短」にはなりませんが、無水カレーや野菜スープなど、栄養素やおいしさが凝縮した無水料理が作れます。

スロー調理モードとは

沸騰させずにじっくり加熱するモード。80度前後で調理することで、煮崩れせずに食材をやわらかく加熱できます。

煮込み調理モードとは

料理の仕上げに、煮込むときに使います。カレーにとろみをつけたり、角煮の汁を煮詰めたりします。

蒸し調理モードとは

付属のカゴや台を使って蒸し調理をします。中華まんをしっとり温めたり、茶碗蒸しを作ったり。プリンや蒸しパンなどのスイーツ作りもOK。

炊飯モードとは

白米や玄米を、圧力で「もっちりと」炊き上げます。圧力をかけずにさっぱり炊き上げるモデル(例:アイリスオーヤマ)もあります。

アイリスオーヤマ
電気圧力鍋 2.2L
PC-MA2-W
▼商品サイズ(cm):幅約28.2×奥行約27.4×高さ約21.3▼電源:AC100V(50/60Hz共用)▼付属品【白米用計量カップ(1合)】原料樹脂:ポリプロピレン/耐熱温度:120℃/容量:180ml【蒸しプレート】原料樹脂:ポリプロピレン/耐熱温度:120℃【レシピブック】▼商品重量:約3.6kg●定格消費電力:800W●炊飯容量/無洗米、白米:3合/玄米:2合●最高圧力:70kPa●調理容量:約1.4L●満水容量:2.2L●電源コード:約1.0m(マグネットプラグ) ●自動メニュー:6種類●手動メニュー:圧力調理/温度調理/低温・発酵調理/なべモード/無水調理/蒸し調理(Amazon)

「自動メニュー」「レシピメニュー」「手動メニュー」の違いを確認

「自動メニュー」「レシピメニュー」は、意外に混乱しがち。頭の中で整理できていると、選ぶ時に困りません。

自動メニューとは

時間や温度がセットされていて、料理名を選んですぐにスタートできるメニューのこと。カレーや肉じゃがなど、よく作る料理が自動メニューになっていることが多いです。自動メニューがたくさんある製品ほど、お任せ度は高いです。

レシピメニューとは

付属のレシピ集を見ながら、記載されている調理モードや時間/温度を自分で設定します。自動メニューより少し手間がかかります。

自動メニューは、料理名を選んでスタートするだけ

シロカレシピ集 | シロカ株式会社

www.siroca.co.jp

手動メニューとは

レシピ集に載っていない料理を作るとき、自分の判断で時間を設定します。電気式でない普通の圧力鍋に一番近い使い方で、料理に慣れている人向けの機能です。

圧力鍋の加圧時間

加圧時間+20~60分が全体の目安

「加圧時間5分」となっている料理でも、作ってみたら1時間近くかかったということがあります。圧力調理は「加圧時間」のほかに、「加熱時間(蒸気をためる)」と「減圧時間(蒸気を抜く)」が必要です。加圧時間+20~60分が全体の目安となります。メニューによっては、普通の鍋で加熱するのと変わらないケースもあるので、覚えておきたいポイントです。

「圧力をあげる」は「加熱時間」、「蒸らし」は「減圧時間」と同じの意味

panasonic.jp

「自動排気」と「強制排気」の違い

「強制排気」方式は時短になる

圧力調理=時短とは限りませんが、「強制排気方式のもの(例:ティファール)」は別です。加圧終了と同時に蒸気を抜いてしまう方式で、最後の段階の「減圧時間」がなくなる分、時短になります。上の図でいうと、最後の「蒸らし」の時間がまるまるカットできるイメージです。

蒸気を抜く時に勢いよく噴き出すので、天井が低い場所では使えないという制限がありますが、減圧がスキップできる分、料理のできあがりの時間が見えやすいなどのメリットもあります。

ティファール
クックフォーミー エクスプレス
CY8511JP
▼サイズ:幅38×奥行35×高さ32.5cm▼電源: 100V 50-60Hz▼消費電力: 1200W▼保証期間: 1年▼付属品:なべ、蒸しかご、蒸しかご台、計量カップ、クイックスタートガイド、取扱説明書▼内蔵レシピの数: 150レシピ▼本体重量(kg):6.5(Amazon)

「圧力」の種類違い

気圧を変えることで味が沁みやすい

www.zojirushi.co.jp

通常は一定圧力だが「可変圧力」採用モデルも

圧力が高いほど、火を通す威力が強くなります。強く加熱しすぎると食感がクタッとなったり、硬くなったりしやすい葉野菜や魚、貝類などは、低い圧力で優しく加熱するのが理想的。仕上がりにこだわりたい人には、圧力段階が選べる製品(例:コイズミ)がオススメです。

コイズミ
電気圧力鍋
KSC-4501
▼”はじめての圧力鍋”でもマイコン&5段階圧力で「簡単・時短」本格煮込み。▼満水容量3.0L、コンパクトで大容量!▼本体サイズ:幅27.5×奥行31×高さ27.5cm▼本体重量:3.9kg▼自動メニュー:6つ(角煮、肉じゃが、おでん、炊飯、玄米、カレー)(Amazon)

また、通常は一定圧力ですが、中には調理中に圧力をこまめに変える「可変圧力」を採用しているモデル(例:象印)も。圧力を変えることで、少ない量の汁でも中まで味を沁みやすくしています。

象印
電気圧力鍋
EL-MB30AM
▼簡単操作:材料と調味料を入れて、メニュー番号を選ぶと、時間になればできあがり▼自動調理:一定圧力(煮崩れしにくい1.2気圧)、可変圧力(味を染みこませる、加圧と減圧の繰り返し)、無水調理(素材の水分をつかって茹で上げ)、温度調理(温度調節が大変だった食品を自動調理、100/90/80/70/60/50/40℃設定に対応)(Amazon)

「予約機能」も内容はそれぞれ

一口に「予約機能付き」といっても、製品によって内容は全然違ったりします。知っておかないと「え、夏は予約できないの?」なんてガッカリするケースもあります。

全メニュー予約できるわけではない

自動メニューやレシピメニューがたくさんある製品でも、全部のメニューが予約できるわけではなく、数品から10数品というのが一般的。中には炊飯だけ予約OKという機種もあります。また、機能的にすべて予約はできるけど、「腐りやすい食材や夏場の長時間の予約はしないで」とNGを出しているものもあります。

夏でも腐らない予約機能がある

予約機能には、設定した時間になったら加熱を開始するもの(タイマー式)と、予約時間を設定した直後から調理を開始するものがあります。すぐに調理を開始するものは、火を通したあとに腐らない温度で保温して、予約時間の直前に仕上げるようにプログラムされているため、夏場でも安心して利用できるんですね。値段が高めの製品は、この予約機能を搭載(例:シャープ)しています。

シャープ
ヘルシオ ホットクック
KN-HW16E
▼サイズ:36.4×28.3×23.2cm▼定格消費電力:600W▼付属品:蒸し板、保存専用ふた、メニュー集▼電源コードの長さ:約1.4m▼本体重量(kg):5.5(Amazon)

予約時間の設定は?

タイマー式

「今から1時間後に調理をスタート」というように、調理開始時間をタイマー式で設定する方式です。19時できあがりにしたいときは、「この料理だと1時間くらいかかるから、18時スタートでいいかな?」と予想し、さらに「今は朝9時だから『9時間後にスタート』でセットしよう」と、逆算しながら設定する必要があります。

時計式

炊飯器のような感覚で、できあがり時間をセットする方式。19時できあがりにしたいときは、「19時」と設定するだけでOKです。

12時間以上の予約に対応している機種では、夜ごはんを朝予約するのに便利

jp.sharp

いずれも、設定時間の単位が「10分刻み」「30分刻み」「1時間刻み」などと分かれていて、タイマー式で1時間刻みの場合はけっこう調整が大変です。ただし、出来立てにこだわらない場合は、そこまで気にしないでOK。調理後に勝手に保温に切り替わる機種を選べば、あたたかい料理が食べられます。

まとめ

圧力調理にこだわりたいのか、時短にしたいのか、予約中心で使いたいかなど、目的によって選び方は変わってきます。すでに発売されている製品は、ネットで取扱説明書が見られるので、細かいところまでじっくりチェックしたい人はそちらを確認して吟味してください。せっかく買うなら、自分に合ったものを選びたいですよね!

▼こちらも参考にしてください

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諏訪圭伊子(フリーライター)

家電に携わって30余年のアラフィフライター。月刊『特選街』であらゆる家電を詳しくレビューした「我ら!家電体験隊。」の連載を長年担当。様々な家電メーカーの新製品発表会に参加し、最新の情報収集を行う。プライベートでは仕事と家事を切り盛りする2児の母。ママ友に情報を共有するような親しみやすさをモットーに、その家電が暮らしにどう生きるかをイメージできるような、具体的で丁寧な解説を目指している。

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