この記事では新型コロナウイルス流行以降、注目が集まっている「配信ライブ」という新たな音楽イベントの形について、現状を整理しつつお伝えします。ZAIKOやYouTube Liveといった主要な配信媒体(プラットフォーム)や、国内外の配信イベント事例などの紹介も踏まえつつ、コロナ禍におけるイベントの今後についても考えていきます。

そもそも、配信ライブとは?

画像: 配信ライブとは、オンライン上のストリーミングサービスなどを通して視聴する音楽ライブの形態のこと(写真はイメージ/Adobe Stock)

配信ライブとは、オンライン上のストリーミングサービスなどを通して視聴する音楽ライブの形態のこと(写真はイメージ/Adobe Stock)


配信ライブとは、オンライン上のストリーミングサービスなどを通して視聴する音楽ライブの形態です。従来は通常のライブイベントのサブジャンルとして扱われていましたが、大規模イベントの開催が難しくなったコロナ禍の社会で大きな注目を集めています。

無料配信のものだけでなく、昨今では電子チケットによる有料配信ライブも多数行われており、新たな興行形態のひとつとして定着を見せているイベント手法です。

配信ライブの主要プラットフォーム

2020年以降、多くの媒体で配信ライブが行われています。ここでは2020年8月現在、国内で主要なフォーマットとして利用されている媒体をいくつかご紹介します。

ZAIKO

まずご紹介するのが「ZAIKO」です。
メジャーからインディーズまで、知名度を問わず多くのアーティストが利用しています。ライブ配信サービスの提供自体は2020年3月からスタートしたのにも関わらず、1500本を越えるオンラインイベントが開催されるなど、現状の主要フォーマットとして注目されています。

YouTube Live

続いてご紹介するのは「YouTube Live」です。
世界最大の動画プラットフォームの配信機能として、世界各国のアーティストが利用しています。チャンネル登録者数など一定の条件を満たせば「スーパーチャット」という投げ銭機能を利用でき、アーティストを直接支援することも可能です。

他にも「Twitch」や「新体感ライブCONNECT」、「Twitcasting Premier」や「LINE LIVE」など、数多くの配信サービスが利用されています。「AbemaTV」などのインターネットテレビサービスも、配信ライブを多数展開しています。

また、近年では「フォートナイト」や「あつまれどうぶつの森」といったゲーム内空間、「cluster」や「realive360」などVR空間で行われるライブイベントも存在しており、今後もさまざまなフォーマットでライブイベントが開催されていくと思われます。

国内外の配信ライブの事例を紹介

画像: 国内外のアーティストが積極的に配信ライブを行っている(写真はイメージ/Adobe Stock)

国内外のアーティストが積極的に配信ライブを行っている(写真はイメージ/Adobe Stock)

配信ライブについての基本を整理できたところで、続いては国内外で実際に開催された配信ライブの事例を紹介します。コロナ禍の今、どんな形でアーティストはライブを開催しているのでしょうか。

Travis Scottがフォートナイトの世界で開催したバーチャルライブ

アメリカの超人気ラッパーTravis Scott(トラヴィス・スコット)が配信ライブのフォーマットとして選んだのは、何とオンラインゲームの空間でした。

Travis Scottは2020年4月、世界最大級の人気を誇るオンラインゲーム「Fortnite」(フォートナイト)上で、自身の作品と結びつくイベント「Astronomical」を開催し、巨大なアバターでバーチャルライブを熱演しました。ライブを目撃したプレイヤーは世界1230万人以上(同時接続数)にも上るとされ、大きな成功を収めました。

ライブの模様は一部YouTubeなどでも確認できますが、既存のシステムを破壊し、新たな可能性を提示するようなパワーを感じられるものです。単なる「実験的な面白さ」を超えたものとして、世界中の人々の記憶に残る内容でしょう。

「仮想空間×YouTube」が実現した音楽フェス「SECRET SKY MUSIC FESTIVAL」

アメリカの人気DJとして知られるPorter Robinson(ポーター・ロビンソン)が主催したSECRET SKY MUSIC FESTIVALは、日本では緊急事態宣言下の5月10日(現地時間:5月9日)にYouTube Live にて開催されました。

計14時間以上に渡るライブには世界各国から述べ25万人もの人々がアクセスし、日本からもVTuberのキズナアイや若手シンガーソングライターの長谷川白紙、ミュージシャンのkzによるソロユニットlivetuneが参加したことから話題を呼びました。

筆者も実際に視聴したのですが、デジタルであることを活かして各アーティストが自宅からのライブ配信を行いつつ、ファンはコメント欄上で活発に動くなど、画面上で行われているイベントながら確かな熱狂を感じられるものでした。

特に印象的だったのが、国内では注目され始めたものの、海外では知名度のない長谷川白紙などの日本人アーティストが好意的に受け止められていることでした。リアルイベントでは難しい場所の制限を逆手に取り、フラットに「良いものは良い」と受容される様子は、コロナ禍における数少ない規模に思えます。

8つの配信メディアを駆使したサザンオールスターズの無観客ライブ

国内でも配信ライブの事例は数多く存在しますが、直近で大きな話題を集めたのがサザンオールスターズによる無観客アリーナツアーの配信です。AbemaやGYAOといったストリーミングサービスを中心に、計8つの媒体からライブの模様を伝えることで、幅広いユーザーの同時視聴を可能にしました。

このライブ配信には「コンテンツグローバル需要創出等促進事業費補助金」という助成金が用いられ、政府によるエンタメ事業への支援の試金石としても期待されていたそうです。
3600円の有料チケットを約18万人にも上る人々が購入するなど、工業的にも大きな成功を収めた事例として、配信ライブの収益化を考える上で見逃せないものとなりました。

アリーナ自体の収容人数は1万人前後でも、オンライン上は実質無限大という特性など、配信ライブのメリットを最大限に活かした興行的成功はもちろん、MCなどで画面上のファンへ積極的に呼びかけるスタイルなど、ライブイベントとしても単純に評価される内容だったようです

まとめ

画像: バーチャルである利点を最大限に活かした配信ライブが求められている(写真はイメージ/Adobe Stock)

バーチャルである利点を最大限に活かした配信ライブが求められている(写真はイメージ/Adobe Stock)

今回は国内外の事例を踏まえつつ、コロナ禍における配信ライブの現状を整理しました。
新しい生活様式として社会的に定着しつつある配信ライブですが、「収益化の難しさ」「既存の映像コンテンツとの差別化」など課題も存在しています。

確かにサザンオールスターズの配信ライブ事例では興行的な成功を収める形となりましたが、それは国内トップクラスの知名度あってこそのものです。

インディーズシーンなどで配信ライブを収益化することはまだまだ難しく、各地でライブハウスが廃業するなど社会問題となっており、「#SaveOurSpace」という音楽業界への支援を求める運動では経済的に厳しい状況が報告されています。

また、パッケージ化された過去のライブ映像と、生配信でのライブイベントが差別化されているかというと、そうではありません。実際のところ、視聴機会が限定される配信ライブは、「いつでも閲覧できるライブ映像」に対して不利とすら言えます。
そんな現状をより良くしていくためには、海外で行われた仮想空間上でのライブなど、より新しい取り組み、バーチャルである利点を最大限に活かした試みが求められているのかもしれません。

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