イヤホンについて専門家にきいた。音質は好みによる面もあるし、10倍の価格差があるから10倍音がいいとは限らないそうだ。数万円のモデルでも製品によって音質に違いがあり、好みによっては価格ほどの音質とは感じられない場合もある。実際に聴いて、好みに合うものを選ぶことが重要だ。
イヤホンの価格差は性能差によるもの?
読者からの質問
今、売られているイヤホンの価格を見ると、数千円程度のものもありますが、数万円のものも少なくありません。この価格の差というのは、性能の差によるのでしょうか?(T.Y)さん 埼玉県 32歳)
編集部:
これは、AVライターの鳥居一豊さんに聞きましょう。
専門家の回答
専門家:
「スマホ向け音楽配信サービスの普及もあり、今やイヤホンは世界的に人気が高く、膨大な数のメーカーから製品が発売されています。それだけに、誰でも手の届く価格のものから、音質にこだわる人のための高級モデルまで価格の幅もかなり広くなっています。 イヤホンの価格の差は、一つは方式や機能の違いによるもので、有線式とワイヤレス式では後者のほうが価格は高めですし、ノイズキャンセル機能が付いたモデルはさらに高価になります。完全ワイヤレス型のイヤホンは、登場初期は高価なモデルが多かったですが、人気の高まりもあって、今は1万円以下の価格のものも増えてきています。
高額なモデルは、専用のケースやイヤピースなどの付属品も充実していますが、最大の違いは音質です。高音質を追求し、ドライバーやハウジングに貴重な素材を使う、複数のドライバーを搭載するなど、さまざまな先端技術を導入することで高価になるのです。また、安価なモデルは大量に生産・販売することでコストを下げることができますが、高級機になるほど少数生産になりますので、どうしても割高になる傾向はあります」
編集部:
やはり、高性能モデルは高いのですね。
専門家:
「問題は、価格差と音質は比例するのかという点です。音質は好みによる面もあるし、10倍の価格差があるから10倍音がいいとは限りません。数万円のモデルでも製品によって音質に違いがあり、好みによっては価格ほどの音質とは感じられない場合もあります。イヤホンは専門店や大型量販店では試聴機を用意していることが多いので、実際に聴いて、好みに合うものを選ぶことが重要です。
現在、1万円以下のモデルが最も数が多くなっていますが、3万~5万円クラスの製品もかなり増えてきています。そして、10万円以上の超高級機も決して珍しくはありません。音質にこだわるといっても、無理に高価なものを選ぶ必要はなく、手の届く価格帯のモデルから、好みに合うものを探すといいでしょう。
今、スマホなどに付属してくるイヤホンをお使いの人は、1万円以下のモデルから好みに合うものを選ぶのがおすすめ。音質的にも、スマホの付属品より明らかに優秀ですし、選択肢も多いので、初心者には最適だと思います」
編集部:
初心者は1万円以下のものから選ぶのがいいんですね。了解しました!
イラスト/はやし・ひろ