今回は、今どきの映画館の上映の仕組みについて専門家に聞いた。劇場用プロジェクターのほとんどは2Kタイプで、徐々に4Kタイプを導入する映画館が増えているそうだ。また、今もフィルム映写機を所有している映画館はあるが、旧作を扱う名画座や一部の文化施設などを除くと、通常の映画館はほぼ100%、DCP(デジタル・シネマ・パッケージ)による上映だ。
昔はフィルム上映だったが、今どきの映画館は?
読者からの質問
昔の映画はフィルム上映でしたが、今の映画の上映の仕組みはどうなっていますか?(U.Tさん 大阪府 39歳)
編集部:
この質問は、AV評論家の藤原陽祐さんに聞いてみましょう。もうフィルムは使われていないようですね。
専門家の回答
専門家:
「かつて映画といえば、ポジフィルムを高速(24コマ×2回映写なので48コマ/秒)で送り、映写機でスクリーンに投映するという方式でした。ところが10年ほど前から、デジタルデータをプロジェクターに入力して投映するDCP(デジタル・シネマ・パッケージ)への移行が始まり、2013年ごろには、新作を上映する全国の大規模映画館の多くがフィルム方式を完了しています。
今もフィルム映写機を所有している映画館はありますが、旧作を扱う名画座や一部の文化施設などを除くと、通常の映画館はほぼ100%、DCPによる上映になっています。
映像と音声のクオリティが管理しやすいことや、ほぼフルオートで稼働されるため人件費が抑えられる(フィルム映写技師も不要)など、デジタル化のメリットは計り知れず、これも時代の趨勢といっていいでしょう」
編集部:
なるほど。今どきの映画館の上映の仕組みを、もう少し詳しく教えてもらえますか?
専門家:
「上映用の映画(映像データ)は、各映画館が厳密な管理のもと、インターネット経由(あるいは専用回線)でダウンロードされ、HDDに保存します。そして、それをそのまま再生して上映するというシステムを採用しています。
映像、音声ともに軽い圧縮がかかっているようですが、コンテンツ管理を徹底させる意味合いもあって、汎用のコーデック(圧縮/伸張方式)ではなく、映画配給専用の特殊なコーデックを使用しているようです。これは、限りなくベースバンド(データを変調せずに送受信する方式)に近いといえます。映像データの容量については、正確にはわかりませんが、4K映像であれば2時間の作品で数Tバイトくらいにはなるかもしれません。
劇場用プロジェクターのほとんどは2Kタイプですが、徐々に4Kタイプを導入する映画館が増えています。ドルビーシネマやIMAXレーザーでは、高輝度4Kプロジェクターを2台使用し、二つの映像をスクリーン上で精緻に重ね合わせることで、高輝度・高コントラスト化を図っています」
編集部:
映画館もデジタル化し、しかも4K化が進んでいるんですね。ありがとうございました!