2020年は新型コロナの影響はあるもののメーカー各社が精力的に新製品を投入。単価の高いフルサイズ機にシフトしていこうという思惑がうかがえるなか、APS-C、マイクロフォーサーズにも意欲的なニューモデルが登場しており、まだまだカメラ選びを楽しめそうだ。
各社が精力的に新製品を投入
新型コロナの影響はあるものの、メーカー各社が精力的に新製品を投入。2020年は、原稿執筆時点でミラーレス11機種と一眼レフ4機種が登場したほか、締め切りには間に合わなかったが(*雑誌掲載時)、ニコンからZ7II、Z6IIの情報も飛び込んできた。
この2機種も含めると、17機種中11機種がフルサイズ機。決して順風満帆とはいえない状況で、単価の高いフルサイズ機にシフトしていこうという思惑がうかがえる。
その一方、APS-Cサイズのみの富士フイルムやマイクロフォーサーズ2社も頑張っていて(オリンパスの映像事業譲渡というニュースはあったが)、意欲的なニューモデルも登場しており、まだまだカメラ選びを楽しめそうだ。
そんな中から、今回は注目の12機種を辛口採点。気になる機能や性能をチェックしつつ、おすすめ機種を選んでみた。〈北村〉
【今回採点した機種】
ミラーレス
〈フルサイズ〉
・キヤノン EOS R5
・キヤノン EOS R6
・ソニー α7S III
・ニコン Z5
・パナソニック DC-S5
〈APS-C〉
・富士フイルム X-T4
・富士フイルム X-T200
〈マイクロフォーサーズ〉
・オリンパス OM-D E-M1 Mark III
・オリンパス OM-D E-M10 Mark IV
・パナソニック DC-G100
一眼レフ
〈フルサイズ〉
・ニコン D780
〈APS-C〉
・キヤノン EOS Kiss X10i
【採点項目】※採点は各5点満点。
■ 画質(高感度含む)
画素数や解像感、発色などに加えて、高感度でのノイズの少なさや細かい部分の表現力なども含めて評価した。
■ AF性能
測距点がカバーする範囲の広さ、ピント合わせのスピード、動体追従性、瞳や動物AFの可否などを評価した。
■ 連写性能
連写スピードや連続で撮れる枚数、AFで連写したときの歩留まりのよさなども総合して評価した。
■ 手ブレ補正
スペック上の補正効果に加え、撮影時の体感も含めて評価した。ボディ内非搭載の機種は、やや不利となる。
■ 動画機能
解像度やフレームレートといったスペックのほか、画質や連続で撮れる時間の長さなども評価した。
■ 携帯性
キットレンズとセットの大きさ、重さで評価した。上級機は交換レンズをそろえることも検討要素とした。
■ システム性
その機種に見合う純正の交換レンズや対応するアクセサリーがどの程度充実しているかを基準に評価した。
■ 満足度(CP)
価格の高い安いだけでなく、納得できる価格かどうか、満足感が得られるかどうかも含めて評価した。
※価格は記事作成時のものです。
キヤノン「EOS R5」
全方位的にハイスペック。価格以上の魅力を備える
ミラーレス フルサイズ
実売価格例:50万6000円(ボディ)
2020年7月発売
液晶モニターはバリアングル式。EOS伝統のホイール型サブ電子ダイヤルも備えて操作性も良好。
有効画素数 | 最高感度 |
---|---|
4500万 | ISO 5万1200 |
AF測距点 | 最高連写速度 |
1053点 | 約20コマ/秒 |
●ボディ/幅138.5mm×高さ97.5mm×奥行き88.0mm・738g ●レンズマウント/キヤノンRFマウント(レンズキットなし) |
プロ、ハイアマチュア層に人気の「5」シリーズとして登場したフルサイズ機。新開発の有効4500万画素撮像センサーと最新エンジンのDIGIC Xを搭載する。
AFは最新のデュアルピクセルCMOS AFIIで、人や動物の顔、瞳などにも対応。そのうえ連写は最高20コマ/秒(電子シャッター時)とトップクラス。しかも、ボディ内手ブレ補正はレンズ側と協調制御で最大8段分と高い。
動画はミラーレス一眼では初の8K(8192ドット×4320ドット)をいち早く実現するなど、全方位的にハイスペック。価格以上の魅力を備えている。
〈北村〉
このサイズに8K動画を詰め込んだのはすごい!
熱関連の注意情報はあるが、このサイズに8K動画を詰め込んだのはすごい。手ブレ補正も強力で、多画素機なのに連写も速い。レンズは重めで高価なものが多く、数も少ないのは難点。予算さえ確保できれば満足度は高い。
画質 | 5 | 動画機能 | 5 |
AF性能 | 5 | 携帯性 | 3.5 |
連写性能 | 5 | システム | 4 |
手ブレ補正 | 5 | 満足度 | 4 |
合計 36.5 |
風景や建築物だけでなく、動体撮影にも強い
高画素モデルだが、連写性能も高い。だから、風景や建築物だけでなく、動体撮影にも強い。そして、強力なボディ内手ブレ補正機構が搭載されたことで、撮影領域がより広がった。けっこう高価な製品だが、満足度は高い。
画質 | 5 | 動画機能 | 4.5 |
AF性能 | 4 | 携帯性 | 4 |
連写性能 | 4 | システム | 4 |
手ブレ補正 | 5 | 満足度 | 4 |
合計 34.5 |
キヤノン「EOS R6」
R5のハイスペックをそのままに、グッと身近にした一台
ミラーレス フルサイズ
実売価格例:33万5500円(ボディ)
2020年8月発売
操作系はEOS R5とほぼ同じ。ホイール型のサブ電子ダイヤルなどを装備。操作性は良好だ。
有効画素数 | 最高感度 |
---|---|
2010万 | ISO 20万4800 |
AF測距点 | 最高連写速度 |
1053点 | 約20コマ/秒 |
●サイズ・重量(ボディ)/幅138.4mm×高さ97.5mm×奥行き88.4mm・680g ●キットレンズ/RF24-105mm F4-7.1 IS STM |
EOS R5のハイスペックをそのままに、グッと身近にしたモデル。撮像センサーは有効2010万画素とこのクラスでは控えめな数字だが、そのぶん高感度性能は高く、常用感度はトップクラスのISO 10万2400を誇る。
AFは、R5と同じくデュアルピクセルCMOS AFII。人だけでなく動物の顔、瞳などの検出も可能なので、ペットなどの撮影にも強い。連写最高速も、電子シャッター時20コマ/秒で、R5と同等だ。
動画は、最高4K・60p(3840ドット×2160ドット)。外装はポリカーボネート樹脂製で、高級感や重厚さはやや落ちる。
〈北村〉
AF、連写の能力、手ブレ補正の効果が素晴らしい
画素数は控えめだが、高感度は兄貴分より有利。AFや連写のパフォーマンス、手ブレ補正の効果も素晴らしい。気軽に持ち歩ける軽さのレンズが少ないのと、この価格のカメラで樹脂ボディというのが少々おもしろくない。
画質 | 4.5 | 動画機能 | 4.5 |
AF性能 | 5 | 携帯性 | 3.5 |
連写性能 | 5 | システム | 4 |
手ブレ補正 | 5 | 満足度 | 3.5 |
合計 35 |
フルサイズミラーレスのスタンダード機らしい仕様
センサー画素数を抑えて、撮影モードダイヤルを装備と、フルサイズミラーレスのスタンダード機らしい仕様だ。約2010万という画素数は少し物足りないが、総合的な性能は高い。だから多くの人におすすめできる。
画質 | 4 | 動画機能 | 4 |
AF性能 | 4.5 | 携帯性 | 4 |
連写性能 | 4.5 | システム | 4 |
手ブレ補正 | 5 | 満足度 | 4 |
合計 34 |
ソニー「α7S III」
高感度性能を強化し、屋内スポーツや夜間撮影に強い
ミラーレス フルサイズ
実売価格例:44万9900円(ボディ)
2020年10月発売
944万ドットの有機ELを採用した高倍率ファインダー、バリアングル式モニターに要注目だ。
有効画素数 | 最高感度 |
---|---|
1210万 | ISO 40万9600 |
AF測距点 | 最高連写速度 |
759点 | 約10コマ/秒 |
●サイズ・重量(ボディ)/幅128.9mm×高さ96.9mm×奥行き80.8mm・699g ●レンズマウント/ソニーEマウント(レンズキットなし) |
画素数を有効1210万画素に抑えて高感度性能を強化したモデルで、常用ISO10万2400、拡張ISO40万
9600を達成。トリミングの許容度が低いという弱みはあるが、屋内スポーツや夜間撮影などの用途には強い。
先代のα7SIIに比べてセンサーからの読み出しを2倍に高速化。新型の画像処理エンジン、BIONZ XRを2基搭載。内部の放熱構造の見直しなどにより、長時間の4K動画を可能にしている。
CFexpressタイプAカードとSDカードの両対応や、タッチ対応新メニュー、バリアングル式モニターなど見どころは多い。
〈北村〉
画素数を抑えたからこその高感度性能は魅力
用途は限られるだろうが、画素数を抑えたからこその高感度性能は魅力。2基の新エンジンや新しい放熱システムも見逃せない。性能を引き出すのに高価で重いレンズをそろえたくなるが、予算と体力が十分なら満足度は高い。
画質 | 4 | 動画機能 | 5 |
AF性能 | 5 | 携帯性 | 3.5 |
連写性能 | 4.5 | システム | 5 |
手ブレ補正 | 4 | 満足度 | 4 |
合計 35 |
圧倒的な高感度画質やダイナミックレンジを誇る
圧倒的な高感度画質やダイナミックレンジを誇るα7Sシリーズ。センサー画素数の少なさは、それらの特徴とのトレードオフ。そこが納得できる人なら魅力的。最高ISO感度が初代α7Sと同じ40万9600なのは少し残念。
画質 | 4 | 動画機能 | 4.5 |
AF性能 | 4.5 | 携帯性 | 4 |
連写性能 | 4 | システム | 4 |
手ブレ補正 | 4 | 満足度 | 3.5 |
合計 32.5 |
ニコン「Z5」
Z6をベースに低価格化を図ったモデルで軽快さが売り
ミラーレス フルサイズ
実売価格例:18万2600円(ボディ)
2020年8月発売
右手側上面にモードダイヤルが移動した以外はZ6とほぼ同じ。液晶モニターはチルト式だ。
有効画素数 | 最高感度 |
---|---|
2432万 | ISO 10万2400 |
AF測距点 | 最高連写速度 |
273点 | 約4.5コマ/秒 |
●サイズ・重量(ボディ)/幅134mm×高さ100.5mm×奥行き69.5mm・675g ●キットレンズ/NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3 |
2018年11月に発売されたZ6をベースに低価格化を図ったモデル。沈胴式の新標準ズームとセットで、870グラムの軽快さが売りだ。
撮像センサーや画像処理エンジン、ファインダーなどの重要部分はZ6と同等。瞳AFや動物AFも可能な273点AFも変わらないが、連写スピードはZ6の最高12コマ/秒に対してZ5は4.5コマ/秒と低い。
上面の表示パネルなど、上級者にアピールする要素を削ったぶん、フルサイズ入門機と呼べるお手ごろ価格に抑えている。ボディ内手ブレ補正の効果は5段分。動画は4K・30pと標準的な仕様だ。
〈北村〉
連写の速さを必要としない人にはいい選択肢
Z6よりスペックダウンしている一方、手ごろな価格を実現している。連写の速さを必要としない人にはいい選択肢だ。キットレンズが小型・軽量なので携帯性は良好。交換レンズが充実してくれば、さらに魅力は上がるだろう。
画質 | 4 | 動画機能 | 4 |
AF性能 | 5 | 携帯性 | 4 |
連写性能 | 3.5 | システム | 4 |
手ブレ補正 | 3.5 | 満足度 | 4.5 |
合計 32.5 |
AF性能は優秀だが、連写があまり速くない
「動物AF」など、AF性能は優秀だが、高速連写撮影が約4.5コマ/秒とあまり速くないのがネック。また、4K UHD動画撮影時にレンズ画角が大幅に狭くなるのも残念。フルサイズミラーレスとしては、価格が手ごろなのは魅力。
画質 | 4 | 動画機能 | 3 |
AF性能 | 4 | 携帯性 | 4 |
連写性能 | 3 | システム | 3.5 |
手ブレ補正 | 4 | 満足度 | 3.5 |
合計 29 |
パナソニック「DC-S5」
DC-S1の機能と性能を小型・軽量ボディに凝縮した
ミラーレス フルサイズ
実売価格例:27万5000円(ボディ)
2020年9月発売
大がらなDC-S1と同等の操作性を維持しながら小型化している。モニターはバリアングル式だ。
有効画素数 | 最高感度 |
---|---|
2420万 | ISO 20万4800 |
AF測距点 | 最高連写速度 |
225点 | 約7 コマ/秒 |
●サイズ・重量(ボディ)/幅132.6mm×高さ97.1mm×奥行き81.9mm・714g ●キットレンズ/LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6 |
2019年3月発売のDC-S1の機能と性能を小型・軽量ボディに凝縮。ファインダーや連写はスペックダウンしているが、写りの要である撮像センサーや画像処理エンジンは兄貴分と同等だ。
AFは、スピードや動体追従性の面で不利といわれるコントラスト検出式だが、顔や瞳、頭部、人体、動物などの検出速度や追従性を大幅アップ。動体撮影にも強くなった。
4K・60pの動画は最長30分の制限があるが、画質をやや落とした8ビットの30p記録であれば時間無制限での撮影が可能。対面撮影がやりやすいバリアングル式モニターの採用も見どころだ。
〈北村〉
動画機能と描写に魅力を感じるなら満足度が高い
兄貴分より小型・軽量とはいえ、ほかと比べていい勝負になっただけ。交換レンズも大がらで重く、高価なものが目立つうえに数も少ない。が、パワフルな動画機能と上質な描写を魅力と感じるなら、満足度の高いカメラだ。
画質 | 4.5 | 動画機能 | 4.5 |
AF性能 | 4 | 携帯性 | 3.5 |
連写性能 | 3.5 | システム | 3.5 |
手ブレ補正 | 3.5 | 満足度 | 4 |
合計 31 |
連続撮影速度は平凡だが、機能や仕様はハイレベル
大がらで重めのS1シリーズから小型・軽量化が図られているが、他社製品と比べると微妙。連続撮影速度が平凡な点を除けば、機能や仕様はハイレベル。価格がもう少し安ければ、S1シリーズとの差別化が明確になるのだが。
画質 | 4 | 動画機能 | 4 |
AF性能 | 4.5 | 携帯性 | 3.5 |
連写性能 | 3.5 | システム | 4 |
手ブレ補正 | 4 | 満足度 | 3.5 |
合計 31 |
富士フイルム「X-T4」
X-Tシリーズで初めてボディ内手ブレ補正機構を搭載
ミラーレス APS-C
実売価格例:22万4950円(ボディ)
2020年4月発売
前モデル、X-T3と大差ない外観。液晶モニターの可動方式は、チルト式からバリアングル式に変更。
有効画素数 | 最高感度 |
---|---|
2610万 | ISO 5万1200 |
AF測距点 | 最高連写速度 |
117点 | 約30コマ/秒 |
●サイズ・重量(ボディ)/幅134.6mm×高さ92.8mm×奥行き63.8mm・607g ●キットレンズ/XF16-80mmF4 R OIS WR |
一眼レフスタイルのX-Tシリーズで初めてボディ内手ブレ補正機構を搭載。先行してボディ内手ブレ補正を搭載したX-H1の8倍のブレ検出精度を持つジャイロセンサーにより、5軸・最大6.5段の補正効果を実現した。
新開発のフォーカルプレーンシャッターを採用したことで、約15コマ/秒の高速連写も可能。アルゴリズムの進化などにより、最短約0.02秒の高速・高精度AFを達成し、動体の追従も優秀だ。
裏面照射型のX-Trans CMOS4センサーや、写真フィルムなどの研究開発で培った色再現技術による卓越した写真画質も健在。
〈吉森〉
AFや連写のパフォーマンスも上々。手ブレ補正もいい
ローパスフィルターレスのキレのよさと独特の発色がいちばんの魅力。AFや連写のパフォーマンスも上々で、手ブレ補正もいい。大がらなレンズが多いのが気になるが、ラインアップは多彩。癖のある操作系に慣れれば楽しめる。
画質 | 4 | 動画機能 | 4.5 |
AF性能 | 4 | 携帯性 | 3.5 |
連写性能 | 4.5 | システム | 4.5 |
手ブレ補正 | 4.5 | 満足度 | 4.5 |
合計 34 |
5軸・ボディ内手ブレ補正の搭載で、魅力が高まった
外観は従来のX-Tシリーズの一桁モデルと大差ないが、5軸・ボディ内手ブレ補正の搭載が、本機の魅力を高めている。約15コマ/秒の高速連写も特徴の一つだが、画質モードRAW時の連続撮影枚数の少なさ(35~38枚)が痛い。
画質 | 4.5 | 動画機能 | 4 |
AF性能 | 4 | 携帯性 | 4 |
連写性能 | 4 | システム | 4 |
手ブレ補正 | 4.5 | 満足度 | 4 |
合計 33 |
富士フイルム「X-T200」
独自の色再現技術で「記憶色」を実現したエントリー機
ミラーレス APS-C
実売価格例:7万7000円(レンズキット)
2020年2月発売
16対9の3.5型バリアングル液晶モニターを搭載。ホールド性を高める形状のグリップも採用した。
有効画素数 | 最高感度 |
---|---|
2424万 | ISO 5万1200 |
AF測距点 | 最高連写速度 |
117点 | 約8コマ/秒 |
●サイズ・重量(ボディ)/幅121.0mm×高さ83.7mm×奥行き55.1mm・370g ●キットレンズ/XC15-45mm3.5-5.6 OIS PZ、XC50-230mmF4.5-6.7 OIS II |
従来モデル、X-T100よりも約80グラム軽量化された、一眼レフスタイルのエントリーモデル。
小型・軽量なボディに、約2424万画素センサーと高性能な画像処理エンジンを搭載。そして、独自の色再現技術などにより、人間の記憶に残る「記憶色」を実現した。
そして、AF性能もアップ。センサー全面に配置される像面位相差画素とアルゴリズムの進化により、動体追従AFや顔・瞳AFの性能が向上している。
また、4K・30p動画撮影機能も装備し、電子式手ブレ補正よりも強力な効果が得られる「電子ジンバル」も初めて搭載した。
〈吉森〉
軽快さと価格の安さに魅力を感じる
AFや連写はまずまず。手ブレ補正はレンズ頼みとなる。電子ジンバルやバリアングル式モニターなど、動画向けの装備は見どころ。ボディに比べて重めの交換レンズが多いのは気になるが、軽快さと価格の安さに魅力を感じる。
画質 | 3.5 | 動画機能 | 4 |
AF性能 | 3.5 | 携帯性 | 5 |
連写性能 | 3.5 | システム | 3.5 |
手ブレ補正 | 3 | 満足度 | 4.5 |
合計 30.5 |
小型・軽量なのでバリアングル液晶も生きてくる
一眼レフスタイルだが、小型・軽量モデルなので軽快に扱える。だから、液晶モニターのバリアングル機能も生きてくる。また、前モデル、X-T100よりも4K動画撮影時の品質が向上(フレームレート以外も)したのもうれしい。
画質 | 4 | 動画機能 | 4 |
AF性能 | 4 | 携帯性 | 4.5 |
連写性能 | 3.5 | システム | 3.5 |
手ブレ補正 | 3 | 満足度 | 3.5 |
合計 30 |
オリンパス「OM-D E-M1 Mark III」
高速AFや高速連写など、持ち味の機動力の高さは健在
ミラーレス マイクロフォーサーズ
実売価格例:20万9250円(ボディ)
2020年2月発売
モニター右上にマルチセレクターを新搭載し、AFターゲットの迅速な移動が可能だ。
有効画素数 | 最高感度 |
---|---|
2037万 | ISO 2万5600 |
AF測距点 | 最高連写速度 |
121点 | 約60コマ/秒 |
●サイズ・重量(ボディ)/幅134.1mm×高さ90.9mm×奥行き68.9mm・580g ●キットレンズ/M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO |
OM-Dシリーズのプロフェッショナルモデル3代目。その外観は、2代目であるMarkIIと似ていて、機能や仕様も共通する点が多い。
121点オールクロス像面位相差センサーによる高速AFや、AF/AE追従で最高約18コマ/秒の高速連写。機動力の高さも健在だ。
進化した画像処理エンジンなどにより、画質、AF、手ブレ補正能力の向上、撮影領域の拡大などを実現。5000万画素の高画素写真を生成する「手持ちハイレゾショット」や疑似的に露光時間を延ばす「ライブND」、夜空のピント合わせに特化した「星空AF」も特徴的だ。
〈吉森〉
AFや連写はパワフルで、手ブレ補正も超強力
高感度に泣きどころはあるが、シャープな描写は一見の価値がある。AFや連写はパワフルで、手ブレ補正も超強力。使い勝手を重視してやや大がらだが、堅ろうさや防塵・防滴性は素晴らしい。決して安価ではないが、満足度は高い。
画質 | 4 | 動画機能 | 4 |
AF性能 | 5 | 携帯性 | 4 |
連写性能 | 5 | システム | 5 |
手ブレ補正 | 5 | 満足度 | 4.5 |
合計 36.5 |
定評のある手ブレ補正はより強力になった
AFや連写などの仕様がMarkIIと同じなので少し地味。だが、定評のある手ブレ補正はより強力になり(5軸シンクロ/6.5段→7.5段)、シャッター耐久回数も2倍の40万回に。E-M1Xに搭載された被写体認識AFがないのは残念。
画質 | 4 | 動画機能 | 4 |
AF性能 | 4.5 | 携帯性 | 4 |
連写性能 | 4.5 | システム | 4 |
手ブレ補正 | 4.5 | 満足度 | 4 |
合計 33.5 |
オリンパス「OM-D E-M10 Mark IV」
下開きのモニターを初採用。小型・軽量で、軽快さが魅力
ミラーレス マイクロフォーサーズ
実売価格例:9万6800円(ボディ)
2020年9月発売
前モデルとほとんど変わらないサイズだが、軽量化は進み、電池とカード込みでも300グラム台だ。
有効画素数 | 最高感度 |
---|---|
2030万 | ISO 2万5600 |
AF測距点 | 最高連写速度 |
121点 | 約15コマ/秒 |
●サイズ・重量(ボディ)/幅121.7mm×高さ84.6mm×奥行き49mm・383g ●キットレンズ/M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 EZ、M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6 R |
優れた機能を有しながら、ボディは小型・軽量で、軽快さが魅力のE-M10シリーズ。その4代目となる本機は、撮像センサーの高画素化、手ブレ補正効果の向上、可動式モニターの進化といった点が特徴である。
有効2030万画素のLiveMOSセンサーと、最大4.5段分に補正効果が向上したボディ内5軸手ブレ補正。この組み合わせにより、さまざまなシーンでブレを抑えた高精細な描写が得られる。
そして、OM-Dシリーズで初採用された下開きの可動式液晶モニターによって、タッチ操作による自分撮りが快適に行えるのもいい。
〈吉森〉
低感度では、キットレンズでも素晴らしくシャープ
やはり高感度には弱いが、低感度ではキットレンズでも素晴らしくシャープな描写。AFや連写は弱めで、手ブレ補正も上位機に比べ、やや見劣りする。似合うサイズのレンズは限られるが、身軽に持ち歩ける軽快さはうれしい。
画質 | 4 | 動画機能 | 4 |
AF性能 | 3.5 | 携帯性 | 5 |
連写性能 | 3 | システム | 3.5 |
手ブレ補正 | 3.5 | 満足度 | 4.5 |
合計 31 |
動体にピントを合わせ続ける精度が高い
コントラストAFながら、動く被写体へピントを合わせ続ける「C-AF」の精度の高さは評価したい。下開きモニターは、ファインダー非搭載のE-PLシリーズでは以前から採用済みなので、よりカジュアルなモデルといえるだろう。
画質 | 3.5 | 動画機能 | 4 |
AF性能 | 4 | 携帯性 | 4.5 |
連写性能 | 3.5 | システム | 3 |
手ブレ補正 | 3.5 | 満足度 | 3.5 |
合計 29.5 |
パナソニック「DC-G100」
日常や旅先の出来事などを動画で記録して公開可能
ミラーレス マイクロフォーサーズ
実売価格例:11万1100円(Kキット)
2020年8月発売
バリアングル方式のモニター搭載で、自分撮りや極端なポジション・アングルに対応する。
有効画素数 | 最高感度 |
---|---|
2030万 | ISO 2万5600 |
AF測距点 | 最高連写速度 |
49点 | 約10コマ/秒 |
●サイズ・重量(ボディ)/幅115.6mm×高さ82.5mm×奥行き54.2mm・345g ●キットレンズ/LUMIX G VARIO 12-32mm / F3.5-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S. |
日常や旅先の出来事などを動画で記録して公開する「VLOG」。それが、簡単かつ快適に行えるモデルである。
高画質な4K動画撮影ができるだけでなく、ノキア社製のOZO Audioを採用した内蔵マイクを新搭載。撮影シーンに合わせた臨場感のある音声記録が可能になる。
さらに、本体の5軸電子手ブレ補正とレンズの2軸光学手ブレ補正を連動させる、新たな5軸ハイブリッド手ブレ補正を採用。歩き撮りなどでの大きなブレが抑制できる。
なお、手持ち撮影が快適に行える専用グリップを同梱したVキット(DC-G100V)も用意される。
〈吉森〉
軽快さは抜群だし、手ごろな価格も魅力
小型ボディにハイスペックな動画機能とバリアングル式モニターなどの装備で自撮りも楽しめる。手ブレ補正はレンズ頼みで、動きモノをねらうにはAFや連写のスペックは弱めだが、軽快さは抜群だし、手ごろな価格も魅力だ。
画質 | 4 | 動画機能 | 4 |
AF性能 | 3.5 | 携帯性 | 5 |
連写性能 | 3 | システム | 3.5 |
手ブレ補正 | 3 | 満足度 | 5 |
合計 31 |
背面のボタンやダイヤルの操作が少々窮屈
撮影状況に応じた内蔵マイクの設定(指向性の選択)が実用的。特に「フロント」と「ナレーション」が便利だ。静止画撮影の画像品質も良好だが、小型ボディの弊害で、背面のボタンやダイヤルの操作が少々窮屈だ。
画質 | 3.5 | 動画機能 | 4.5 |
AF性能 | 4 | 携帯性 | 4.5 |
連写性能 | 3.5 | システム | 3 |
手ブレ補正 | 4 | 満足度 | 4 |
合計 31 |
ニコン「D780」
AF性能のほか、低消費電力設計など基本性能が向上
一眼レフ フルサイズ
実売価格例:27万5000円(ボディ)
2020年1月発売
チルト式3.2型モニターは、ドット数が2倍近くなり、タッチパネル機能も搭載。
有効画素数 | 最高感度 |
---|---|
2450万 | ISO 20万4800 |
AF測距点 | 最高連写速度 |
51点 | 約7コマ/秒 |
●サイズ・重量(ボディ)/幅143.5mm×高さ115.5mm×奥行き76mm・840g ●レンズマウント/ニコンFマウント(レンズキットなし) |
2014年発売のロングセラー、D750の後継モデル。ファインダー撮影時の51点AFシステムは、フラッグシップ機、D5のAFアルゴリズムを最適化。被写体検出性能の向上が図られている。
ライブビュー撮影時のAFは、さらに進化。像面位相差AFとコントラストAFを自動的に切り替えるハイブリッドAFシステムで、迅速かつ正確なピント合わせが可能だ。オートエリアAF時の瞳AFにも対応する。
また、バッファメモリーの大容量化によるRAW設定時の連続撮影枚数増加、低消費電力設計による大量撮影など、基本性能の向上も見逃せない。
〈吉森〉
フルサイズとしては軽量だが、散歩撮りには不向き
フルサイズ一眼レフとしては軽量なほうだが、サイズは大きく、散歩撮りには不向き。AF測距点のカバーエリアが狭いのは弱みで、手ブレ補正もレンズ頼み。多彩な交換レンズが選べることやフルサイズらしい画質は見どころ。
画質 | 4.5 | 動画機能 | 4 |
AF性能 | 4 | 携帯性 | 3 |
連写性能 | 3.5 | システム | 4.5 |
手ブレ補正 | 3 | 満足度 | 4.5 |
合計 31 |
斬新さはないが、総合性能の高い実力モデル
内蔵フラッシュは非搭載だが、基本的には前モデルD750の正統進化版。斬新さはないが、総合性能の高い実力派モデル。望遠レンズ使用時のバランスを考えると、マルチパワーバッテリーパックが用意されていないのは残念。
画質 | 4 | 動画機能 | 4.5 |
AF性能 | 4.5 | 携帯性 | 3.5 |
連写性能 | 4 | システム | 4 |
手ブレ補正 | 3.5 | 満足度 | 4 |
合計 32 |
キヤノン「EOS Kiss X10i」
DIGIC 8に進化し、ISO感度の拡大、4K動画などを実現
一眼レフ APS-C
実売価格例:11万5500円(ボディ)
2020年6月発売
背面にサブ電子ダイヤルやAFスタートボタンを搭載し、上位モデルに近い操作性を実現。
有効画素数 | 最高感度 |
---|---|
2410万 | ISO 5万1200 |
AF測距点 | 最高連写速度 |
45点 | 約7.5コマ/秒 |
●サイズ・重量(ボディ)/幅131.0mm×高さ102.6mm×奥行き76.2mm・515g ●キットレンズ/EF-S18-55mm F4-5.6 IS STM、EF-S55-250mm F4-5.6 IS STM |
EOS Kissといえば、エントリーモデルの代名詞ともいえる名称である。そのKissシリーズの中で、最も高機能・高性能なモデルが本機である。
光学ファインダー時のオールクロス45点AFや、ライブビュー時のデュアルピクセルCMOS AFなどは、前モデルのX9iから継承。光学ファインダー時に顔検出&追尾ができるEOS iTR AFのほか、ライブビュー時の測距エリア拡大なども可能になった。
映像エンジンがDIGIC 8に進化したことにより、常用ISO感度の拡大や、4K動画撮影を実現した。
〈吉森〉
二つの電子ダイヤルで操作性を高めている
エントリー機ながら、二つの電子ダイヤルで操作性を高めている。高感度も含めて画質は悪くないが、スペックに目新しさがない。AFのカバーエリアが狭い。軽さは魅力だが、大がらなのは要注意。光学ファインダーが欲しい人に。
画質 | 3.5 | 動画機能 | 4 |
AF性能 | 4 | 携帯性 | 5 |
連写性能 | 3.5 | システム | 3.5 |
手ブレ補正 | 3 | 満足度 | 4.5 |
合計 30 |
EOS 9000Dを凌駕する機能や性能を実現
エントリークラスの最上位機種はEOS 9000Dだが、EOS Kiss X10iは、それを凌駕する機能や性能を実現。上面の表示パネルがない以外はエントリー最強モデルといえる。表示パネルがあれば、上位機種感が出るのだが。
画質 | 4 | 動画機能 | 4 |
AF性能 | 4 | 携帯性 | 4 |
連写性能 | 3.5 | システム | 3.5 |
手ブレ補正 | 3.5 | 満足度 | 4 |
合計 30.5 |
まとめ
「手の届きやすい価格でハイエンドの性能を実現したE-M1 MarkIII」〈北村智史〉
EOS R5 | EOS R6 | α7S III |
36.5 | 35 | 35 |
Z5 | DC-S5 | X-T4 |
32.5 | 31 | 34 |
X-T200 | E-M1 III | E-M10 IV |
30.5 | 36.5 | 31 |
DC-G100 | D780 | Kiss X10i |
31 | 31 | 30 |
獲得点数では、キヤノン・EOS R5とオリンパス・OM-D E-M1 MarkIIIが同点(36.5点)で1位となった。だが、価格の高いカメラは性能が悪いはずもないので、上位になるのは当たり前。ということもあり、ここではE-M1 MarkIIIを推す。
新型のフルサイズミラーレス一眼が上位を占める中、マイクロフォーサーズの高級機とはいえ、比較的手の届きやすい価格でハイエンドの性能を実現しているのはすごい。
もちろん、EOS R5とEOS R6の2機種も、(予算的に問題ないなら)素晴らしい選択肢なのも保証する。
「フルサイズのミラーレスでは、キヤノンの2モデルが際立った」〈吉森信哉〉
EOS R5 | EOS R6 | α7S III |
34.5 | 34 | 32.5 |
Z5 | DC-S5 | X-T4 |
29 | 31 | 33 |
X-T200 | E-M1 III | E-M10 IV |
30 | 33.5 | 29.5 |
DC-G100 | D780 | Kiss X10i |
31 | 32 | 30.5 |
フルサイズのミラーレス一眼では、キヤノンの2モデル(EOS R5/R6)が際立つ。待望のボディ内手ブレ補正が搭載され、その補正効果の大きさにも驚かされた。
APS-Cサイズでは、富士フイルム・X-T4の総合性能・完成度の高さが印象的。マイクロフォーサーズでは、VLOG撮影を意識して開発されたパナソニック・DC-G100の個性が目立った。
ミラーレスに圧倒された感のある一眼レフだが、ニコン・D780とキヤノン・EOS Kiss X10iは、どちらもカテゴリートップクラスの能力を実現していて感心した。
■採点&解説/北村智史(カメラライター)、吉森信哉(フォトグラファー)