【電動キックボードとは】公道走行可能なの?法律は?自転車レーン走行解禁へ 規制緩和に向け活発化

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電動キックボードなどマイクロモビリティを巡る動きが加速している。マイクロモビリティの普及促進を図る「日本電動モビリティ推進協会(JEMPA)」の設立や、特定エリアにおいて普通自転車専用通行帯(自転車レーン)での走行を可能にする実証実験がスタート。さらに電動キックスクーターを自転車モードで運用できる特例が認められるなど、マイクロモビリティを取り巻く取り組みがいよいよ本格化し始めたのだ。

執筆者のプロフィール

会田 肇(あいだ・はじめ)

1956年茨城県生まれ。大学卒業後、自動車系出版社の勤務を経てフリージャーナリストとして独立。カーAVやカーナビなど、カーエレクトロニクスの分野を中心にレポート活動を展開しつつ、カメラ系の評論も行う。日本自動車ジャーナリスト協会会員。
▼日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ会員)
▼走りも楽しいエコカーの実力(イミダス)

電動キックボードは「原付」扱い

免許も必要でヘルメット着用も義務

そもそも電動キックボードを含むマイクロモビリティは、モーターで走行できることから、日本では「原動機付自転車(原付)」のカテゴリーに含まれている。そのため、車体には前照灯やウインカーといった保安部品の装着も義務付けられ、乗車するには運転免許の資格が必要で、ヘルメットの着用も欠かせない。中でも利用者を悩ませているのが、走行車線の問題だ。

マイクロモビリティが原付である以上、走行できるのは車道のみ。電源オフの状態で走行したとしても、運転免許やヘルメットが必須で、歩道の走行は原則できない。そのため、不適切な走行をする事例が後を絶たない状況にある。また、モーターで駆動するとは言え、マイクロモビリティで使われるモーターのパワーは、それほど大きくないのも事実だ。そのため、機種によっては車道を原付の制限速度30km/hを下回る走行を強いられ、自動車との速度差から、怖さを感じる人も少なくないという。

それに対して、自転車は専用レーンが用意されているほか、歩道上を並行して走行できる場所もある。海外では、マイクロモビリティは自転車と同様の扱いをしている国もあり、専用レーンの整備も進んでいるという。日本でも、新型コロナ感染症拡大の影響を受け、公共交通機関を補完できる移動手段として注目されているところだが、インフラ整備は追いついていないのが現状だ。

規制の見直し・解禁へ

電動キックボードを普及促進する団体「JEMPA」設立

そうした状況の改善を目指そうと、今年9月に設立されたのが「日本電動モビリティ推進協会(JEMPA)」(代表:グラフィット代表取締役 鳴海禎造)だ。この団体は、次世代に向けたマイクロモビリティのあり方の提言や普及を促進する団体として設立され、参加団体は、E-KON、glafit、クリエイティブジャパン、SWALLOW、ブレイズ、ベルッドの6社。同団体は今後、日本において新たな生活環境に適したマイクロモビリティを多くの人に知ってもらうための認知活動や、利用者の目線に立った規制の見直しを提言していくことにしている。

2020年9月に設立された「日本電動モビリティ推進協会(JEMPA)」の発足記者会見。マイクロモビリティの認知活動や、規制の見直しを提言していくことにしている。

また、自転車レーンを使う実証実験も、地域を限定して実施されている。参加したのは、国内で電動キックボードのシェアリング事業などを展開するEXx(東京都港区)、mobby ride(福岡市)、Luup(東京都渋谷区)の3社。東京や福岡などの許可を受けた特定エリアで、来年3月31日まで電動キックボードを自転車レーンで走らせる実験を行う。この結果を受け、電動キックボードの運転要件や安全確保措置、車両の区分といった交通ルールの在り方を検討し、2021年前半頃には結論を打ち出す方針だ。

東京・丸の内地区で自転車レーンを活用した電動キックボードの実証実験が来年3月末まで実施。まちづくり協議会と共にマイクロモビリティにおける様々な課題を検討する(写真提供:Luup)

JEMPAの発足記者会見には国会議員数人が出席。参議院議員の山田太郎氏も駆けつけ、マイクロモビリティ普及促進に向けた協会の活動に対して協力していく考えを示した。

電動バイクを「自転車モード」で走行

法律上でも自転車と同じ扱いを受けられる

これとは別に、特例として自転車モードでの走行を可能にしたのが、電動キックスクーターを手がけるgrafit(和歌山市)だ。これは、内閣官房の新技術等実証制度(規制のサンドボックス制度)を活用して実現したもので、同社のペダルがついた「grafitバイク(GFR-01)」に専用機器を取り付けることで自転車モードでの走行が可能になる。

ペダル付き電動バイクを自転車モードとして運用が可能となる新機構を取り付けたgrafitの電動バイク「GFR-01」。

ポイントは、カバーでナンバーを隠すことで、電動バイクであっても自転車モードに切り替えること。法律上でも、自転車と同じ扱いを受けられることにある。電動バイクモードから自転車モードに切り替えるときは、電動バイクの電源をOFFにして、ロックボタンを両手で解除して、ナンバーを隠すことが必要だ。これは、安易に両モードを切り替えて反則行為をしにくくするために採られた措置。

この機器は、すでに試作機を公開済みで、来年春以降にはブラッシュアップした実機を販売する予定。既発売のGFR-01向けに後付けタイプの他、この機器を取り付けた新型車の発売も予定しているという。

大手町・丸の内・有楽町地区 まちづくり協議会が描く近未来のモビリティのあり方を示したイラスト。駅との出入口に様々なモビリティとシームレスに乗り換えられる。

時代の変化と共に、今後も新たな乗り物が出てくるのは可能性は高い。走行する上での安全性を高めていくことは当然だが、新たな乗り物ということで、他の車両とどう共存していくか議論していくことは極めて重要だ。今回の様々な動きが、そんな時代に合わせた新たな変革を生み出すきかけになることを期待したい。

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