政府は、2022年度内にはマイナンバーカード機能をAndroidスマホに搭載。カードを持ち歩かなくても、同じサービスを利用できる仕組みを提供するほか、2024年度には運転免許証のマイナンバーカードへの一体化を目指すなど、さまざまな機能を提供予定。マイナンバーカードの今後を解説する。
マイナポイントが9月まで期限延長。カード取得者のメリットも拡大へ
マイナンバーカードの普及とキャッシュレス利用促進を目的とするマイナポイント事業は、あらかじめ指定した決済サービスの利用金額に対して25%相当、最大で5000ポイントの還元が受けられる仕組み。2021年3月末までの予定で実施されていたが、マイナンバーカード発行手続きの遅れもあって制度利用が進まず、予算を増額したうえで9月まで延長される見込みだ。
マイナポイントは、マイナンバーカードを取得した人が還元先の決済サービスを選ぶと、最大5000ポイントが自動的に入手できる仕組み。還元先のサービスは一つしか選べないため、上乗せの還元があるサービスや、ふだんの買い物に使いやすいサービスを選ぶといい。
また、2020年12月1日時点でのマイナンバーカード交付枚数は2934万枚で、普及率は23%。政府目標に遠く及んでいないのが現状。発行に手間がかかること、必要とされる場面がそれほどないこと、情報漏洩への懸念などが理由とされる。
そのため、政府はマイナポイント事業のような直接的な還元に加え、マイナンバーカードの機能性や利便性を高めることで利用を促進する考えだ。その一つが、2021年3月以降に順次展開される健康保険証機能の追加。マイナポータルに保険証を追加すれば、医療機関や薬局でマイナンバーカードを提示するだけで保険証として利用可能になる。
保険証や免許証としても使えるように!
2021年3月には健康保険証として利用できるようになるほか、今後もさまざまな機能や利便性が付加される。時期については目標であり、今後変更の可能性もある。
2021年3月 | マイナンバーカードの健康保険証利用開始 |
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2021年9月 | マイナポイントの利用期限 |
2021年10月 | マイナポータルで自分の薬剤や医療費情報が閲覧可能に |
2021年度内 | 確定申告の医療費控除の自動入力対応 |
2022年度内 | マイナンバーカード機能のAndroid端末への搭載対応 |
2022年以降 | マイナポータルで公金受取口座登録対応 |
2024年度内 | マイナンバーカードと運転免許証の一体化 |
このほか、2022年度内にはマイナンバーカード機能をAndroidスマホに搭載。カードを持ち歩かなくても、同じサービスを利用できる仕組みを提供するほか、2024年度には運転免許証のマイナンバーカードへの一体化を目指すなど、さまざまな機能を提供予定。複数枚のカードを1台のスマホにまとめられるメリットは大きい。
さらに、マイナンバーカード未取得者へは、スマホなどで本人写真を撮影して簡単に申請が可能な申込書の発送も順次開始されており、役所に出向くことなく申請できるようになった。コロナ禍でも取得しやすい環境が整ってきている。
TEXT●鈴木淳也(ITジャーナリスト)