健康志向の高まりで注目を集める「大豆ミート」。高たんぱくで低カロリーなのにお肉と変わらないおいしさで、コンビニのお弁当やファストフードのハンバーガーなど、続々と新商品が登場しています。今回はスーパーで手軽に購入できる「大豆ミート」を使い、我が家で料理に挑戦しました!
今注目の「大豆ミート」とは?
「大豆ミート」とは、大豆の油分を搾って除き、たんぱく質を取り出して加工した食品。見た目や味、食感はお肉のようなのに、高たんぱく質で低カロリー、低脂質、コレステロールフリーで、食物繊維は豊富といいことづくめ。健康志向が高まるなか、ダイエット中の人や糖質を控えている人、ベジタリアン・ヴィーガン(動物性食品を食べない人)の注目を集めています。昨年には、大手コンビニ各社からお弁当や総菜などの新商品が次々と登場。ファストフードでも大豆ミートのハンバーガーが新発売されるなど、大豆ミートブームはまだまだ続きそうです。
大豆ミートはおいしくなった!
今、大豆ミートが流行しているのは、健康・環境への配慮だけでなく、味が格段においしくなったことも要因。先日、モスバーガーの「ソイモス野菜バーガー」を食べましたが、言われなければ大豆とはわからないほど。
そんな技術革新の立役者となったのが、創業70年の製油メーカー「不二製油グループ本社」です。2021年2月4日放送の『カンブリア宮殿』(テレビ東京系)に社長の清水洋史氏が出演し、今から60年以上も前に大豆ミートの開発を始めたことを語りました。「製油で残る大豆の搾りかすは、栄養価が高いのに、家畜のエサにするのはもったいない」と研究・開発を進めますが、おいしくないうえに値段が高いため、売れずに赤字続き。それでも「孫の代になればわかる」「大豆は地球を救う」と世界の食料不足を予測して、諦めることはありませんでした。今では肉と間違えるほどのおいしい商品ができ、大手外食企業やコンビニ、食品加工メーカーに供給。大丸心斎橋店(大阪市)にオープンした、大豆を使った食を提供するレストラン「UPGRADE(アップグレード) Plant based kitchen」が話題を集めています。
▼不二製油グループ本社
家庭で手軽に使える「大豆ミート」商品も多数
大豆ミートは外食や中食だけでなく、家庭の食卓にも普及。味噌ブランドでおなじみのマルコメ、丸大食品や伊藤ハムなどの食肉加工メーカーのほか、イオンのトップバリュー商品、コンビニのPB商品などがあります。ここでは、代表的な大豆ミートの種類と特徴を紹介します。筆者自宅の近所にあるスーパーでは、マルコメの「ダイズラボ」シリーズが豊富でした。
経済的な「乾燥タイプ」がおすすめ!
加工食品や惣菜の素は、レンチンするだけで食べられるので簡単。一人暮らしの方や仕事が忙しい方には嬉しいアイテムです。その一方で、毎日家族の食事を作る私にとっては、少し割高。乾燥タイプは、湯戻しまたは茹でる必要がありますが、一番経済的です。ちなみに今回、購入した「ダイズラボ 大豆のお肉」のミンチタイプ(100g)とブロックタイプ(90g)は348円(税別・近所のスーパーでの購入価格)。一見高価に感じますが、お湯で戻すと倍以上の重量になります。
ブロックタイプは100g約145円、ミンチタイプは100g約87円。精肉と変わらない価格で購入できるのです!そこで、今回は「乾燥タイプ(ブロックとミンチ)」を使った料理にチャレンジしてみます。
下準備:大豆ミートの戻し方
(1)「浸す:鍋に湯を沸かし、沸騰したら火を止めて商品を入れる」または「茹でる:鍋に湯を沸騰させて商品を入れる」のいずれかでお肉を戻します。
ブロックタイプ:浸す目安は8分、茹でる目安は5分
ミンチタイプ:浸す目安は3分、茹でる目安は1分
(2)冷ましてから水気をよく切る(味がしみ込みやすくなります)。両手でボールをギュッと握るようにして、水分を搾ります。2、3回繰り返しましょう。現時点で食べてみると…食感は肉に近い。柔らかい鶏肉、練りものに似ていますが、大豆の香りが強いですね。
乾燥ミンチタイプで作る「肉詰めピーマン」
ハンバーグにしたいところですが、うまく成形できる自信がなかったので肉詰めにしました。
肉詰めピーマンの材料(4人分)
大豆のお肉(ミンチタイプ)…1袋(100g)
ピーマン…1袋(4個)
玉ねぎ…1/2個
卵…1個
パン粉…大さじ3
★塩コショウ、ウエイパー、しょうが、にんにくなど…適量
肉詰めピーマンの作り方
(1)玉ねぎはみじん切りにして、電子レンジ(600w)で1分程度加熱して冷ます(炒めてもOK)。
(2)ピーマンは2等分にして種を取り、内側に小麦粉を振る。
(3)(1)と下準備した大豆のお肉、卵、パン粉を混ぜる。さらに、★の調味料・薬味を加えて味をなじませる。
(4)(3)をピーマンに詰めて小麦粉を振る。
(5)テフロン加工のフライパンで、肉の面を下にして中火で焼く。
(6)キツネ色の焼き色がついたらひっくり返す。
(7)お皿に盛り、ケチャップを添えて完成!
8個の肉詰めピーマンを作り、余った肉はハンバーグにしました。
乾燥ブロックタイプで作る「から揚げ」
子どもから大人まで人気のから揚げは、濃いめの味付けに。大豆の肉は火が通っているので、短時間でさっと揚げます。
から揚げの材料(4人分)
大豆のお肉(ブロックタイプ)…1袋(90g)
小麦粉…適量
卵…1個
★塩コショウ・ウエイパー、しょうが、にんにくなど…適量
から揚げの作り方
(1)ボウルに下準備した大豆のお肉、★の調味料と薬味を入れる。味見をしながら調整し、揉み込んで味をなじませる。
(2)ポリ袋に小麦粉(適量)、汁気を軽くきった(1)を入れる。袋を閉じて全体を振ってお肉に小麦粉をまぶす。
(3)余分な小麦粉をふるい、溶いた卵に投入してよく混ぜる。
(4)中温(170~180度)の油で揚げる。色がついてきたら強温(190度)にして1~2分。キツネ色になったら完成。
「肉詰めピーマン」と「から揚げ」を実食
2つとも、しょうがとにんにく、ウエイパーが効いたパンチのある味わい。大豆独特の香りは、さほど気になりません。唐揚げは弾力があり、淡白な鶏肉に似ていて、食べ応えも抜群です!私自身、健康志向で大豆も大好きなので、定番料理にしたいくらいおいしく感じました。
一方、肉好きの高校生の息子は、「肉とは違う、大豆の匂いがする」と辛口評価。最初に肉詰めピーマンを作ったとき、内緒にしていたのが失敗で、翌日に肉料理をすると「これは本物?」と不信感を抱かれるように…。信頼関係崩壊の危機!1週間後にから揚げを作ったときは、肉詰めピーマンよりも濃い味付けにして、大豆ミートであることをきちんと報告。すると「肉ではないけど、これはおいしい」と名誉挽回できました。
健康志向の人や大豆好きの人はおいしく感じると思いますが、そうでない人には工夫が必要です。
そのほかの商品も食べてみた
大豆ミートのレトルトタイプと加工食品も食べてみました。
※税別・近所のスーパーでの購入価格です。
【レトルトタイプ】SOY MEAT 大豆のお肉 ミンチタイプ
湯戻し・水切り不要、しっとりとしたソフトミンチは、下準備不要ですぐに調理できます。甘辛く味付けしてそぼろにしたり、麻婆豆腐や野菜炒めに使えたりして便利です。
【加工食品】大豆ライフ 大豆のお肉を使ったから揚げ
ハムやソーセージなどの加工品売り場で見つけた冷蔵食品。1袋にから揚げが4個入っています。ラップをせずに約30秒レンチンすれば完成です。ファストフードのメニューに出てきそうなスパイシーでジャンクな味に、息子からは「魚肉ソーセージの進化形のような食感と濃い味がおいしい」と高評価をもらいました。
まとめ
大豆ミートの魅力をおさらいしてみましょう。
(1)高たんぱく・低カロリー、低脂質、コレステロールフリー、食物繊維たっぷり。ダイエット中の人や糖質を控えている人におすすめ!
(2)乾燥タイプなら精肉と同価格で経済的。日常的に利用できる。
(3)加熱済みなので、味見しながら味を調整できる。生焼けの失敗がない。
(4)濃い味付け、スパイス・薬味を効かせると大豆の香りが気にならず、お肉のような食感や味を楽しめる。
私は、不二製油グループ本社・清水社長の「大豆は地球を救う」という言葉が、とても印象に残りました。大豆ミートを食べることで健康維持はもちろん、畜産による環境負荷、世界的な食料不足といった課題解決にも貢献できる。まさに、新時代のヘルシーフードといえます。ぜひ、みなさんも一度試してみませんか。
■文:藤田美佐子
京都市在住。フリーランスの編集兼ライターとして観光、食、求人、医療、ブライダルなど幅広い取材・執筆活動を行う。1児の母。趣味はマラソン・トレラン、美味しいものを食べたり、つくることが大好きな食いしん坊。